会場:国立科学博物館[東京・上野]/期間:2012年7月21日(土)〜10月8日(月・祝)

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元素って何?

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「 水兵リーベ僕の舟…。

学生時代に一度は必ず触れる元素記号ですが、そもそも元素って何でしょうか? 草や木や動物、海、山、大気、宇宙、そして私たち自身も、この世にある全てのものは元素から出来ています。これまでに知られている元素はたったの118種類。しかも天然に存在するのは90種類ぐらいです。その一つでも欠けてしまうと、今ある世界は一変してしまうと言われています。

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水素 (H) がなくなると水はなくなってしまい、地球上のあらゆる生き物が生きていけません。マッチに使われるリン (P) も生物が生きていくのに欠かせません。放射性元素だって欠けると今の生態系は変わってしまうかもしれないのです。

また、私たちの生活や産業の発展を支えているのも元素です。炭素 (C) は、重要なエネルギーである石炭や石油など化石燃料を作り出しています。鉄 (Fe) は現在の様々な器具や建物を作り出しています。

聞きなれないイリジウム ( Ir ) やガリウム (Ga) など今話題のレアメタルは電子部品としてパソコンやテレビ、携帯電話などを作り出しています。

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先端技術や次世代技術にも元素は重要です。銀 (Ag) は太陽電池の電気伝導体として使用されています。金 (Au) はスペースシャトルや人工衛星の防御膜に使われています。白金 (Pt) は燃料電池に使われています。また、ユウロピウム (Eu) やエルビウム (Er) などの希土類 (レアアース) も、蛍光体や光ファイバーに使われています。

良く知られた元素も、なじみのない元素も一つ一つが役割を持っており、組み合わさり、形づくる事で、現在の世界を生み出し、また、私たちの生活を豊かにしているのです。

元素メモ

  • 宇宙も地球も私たちも、全てのものは元素からできている。
  • 今知られている元素は全部で118種類。そのうち、正式に認定されたのは114種類。
  • 2012年5月30日に、2つの新元素名が決定!--NEW!-
    2012年5月30日、114番元素の 「 フレロビウム (Fl)」 および116番元素の 「 リバモリウム (Lv)」 の、正式な英語名と元素記号が決定 (日本語名は、6月4日時点で未決定)。これによって、正式に認定されている114種類の元素について全て名前がつけられた。
  • そうした元素の組み合わせで作られる物質の種類は、登録されているものだけでも6千万種類を超える。今もどんどん増え、7千万種類を超えるのも、もうすぐ。
  • 約100年前に日本で発見されていた元素 「 ニッポニウム 」。しかし、周期表上の位置が違ったため、登録されず 「 幻の元素 」 になった。その元素は、今 「 レニウム 」 と呼ばれている。
  • 113番元素が日本で発見された元素として認定されるかもしれない。認定されると、命名権が与えられる。
  • セレン (Se) やヨウ素 ( I ) など毒とされる元素でも、実は人が命を保つためには、ごく微量が必須な元素が少なくない。
  • 人の体の約60%は酸素で出来ている。

監修者プロフィール

若林文高 (国立科学博物館理工学研究部理化学グループ長)

1955年生まれ。東京都出身。
東京大学大学院理学系研究科相関理化学専門課程修士課程修了。博士 (理学)。

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好きな元素N (窒素)。中性の窒素ガスを使って固体の酸性を調べられることを示して、いろいろな論文で引用されるようになったので。窒素はおとなしい顔をしていますが、この世界をバラエティ豊かなものにしています。
専門分野触媒化学、表面化学。化学普及・化学教育。触媒の表面でどのように反応が進むのかを物理化学的手法で調べています。身近な素材を使った化学教材も開発しています。
本展の見所元素という視点で見ると、自分たちの目の前におもしろい世界が広がっていることが実感されると思います。

米田成一 (国立科学博物館理工学研究部理化学グループ研究主幹)

1960年生まれ。大阪府出身。
東京大学大学院理学系研究科化学専門課程博士課程単位修得退学。理学博士。

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好きな元素Ba (バリウム)。隕石中に同位体の異常を見つけた元素。毒になったり薬に利用されたり、身近に使われていますよ。
専門分野隕石の化学分析、同位体分析。小さな隕石のかけらから太陽系の成り立ちを理解しようと想像をたくましくしています。
本展の見所私たちの身体や身の回りにあるもの、そして地球や宇宙すべてが元素でできています!はやぶさが取ってきた小惑星イトカワと同じ種類の隕石のかけらもありますよ。

宮脇律郎 (国立科学博物館地学研究部鉱物科学研究グループ長)

1959年生まれ。岐阜県出身。
筑波大学大学院化学研究科博士課程修了。理学博士。

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好きな元素Y (イットリウム)。初めて書いた論文の研究材料ガドリン石や初めて新種記載に関わった木村石の主要成分。
専門分野鉱物の結晶化学。地球という雑多な「るつぼ」で作られた鉱物という多様な物質をミクロの視点から眺めています。そこで原子はどのように化学結合を保つのか、その規則性を調べて、鉱物の生成過程を理解し、新材料の開発に反映させようと、目論んでおります。
本展の見所118の元素が場面場面で、主役、脇役、エキストラを交代しながら物語を展開します。地味で渋い主役も、派手なエキストラもいますが・・・

門馬綱一 (国立科学博物館地学研究部鉱物科学研究グループ研究員)

1980年生まれ。東京都出身。
東北大学大学院地学専攻博士後期課程修了。理学博士。

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好きな元素Si (ケイ素) ケイ素と酸素からなる鉱物、水晶に魅せられて鉱物の研究者になった。初めて記載に関わった新鉱物、千葉石の主成分も Si。
専門分野鉱物学、結晶化学。鉱物中での原子の配列がどのような規則性を持っているか、また、様々な鉱物がどのような地質条件で形成されるのかを研究しています。
本展の見所各元素を主成分として含む鉱物を一堂に展示。元素がどのような形で自然界に存在するかをご覧頂けます。

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