2018.2.21 OA
#20 戸田奈津子
81歳 映画字幕翻訳者

50年近くに渡り、日本の映画字幕を支えてきた第一人者。
ハリウッド俳優の通訳を担当することも多い。

「これしかない!」と思って
この仕事を諦めなかった

人生全てを映画で過ごしてきて
何か学んだことがあるとしたら
それは全て、映画を通じて。
現実に自分で何かを体験することなんてしてないから。
机の前に座っている一生だったから。
映画の中の映像を通して色々なことを学んできたのです。
いろんな人になって、疑似体験をしてきたわけです。
だから私の人生、実際には何もしてないけど、
何もドラマチックじゃないけど、
頭の中ではいろいろな人の人生を送ってきたんです。

仕事って「完璧」になったら終わりだと思いますよ。
必ずどこか良くする部分があるはずよ。
自分の字幕を見るたびに直したくなります。今でもよ。

「これしかない!」と思ってこの仕事を諦めなかったし
とにかくやりたくないことはやらない主義で、
やりたいことだけ突き進む主義だから。
もちろん人間は、一生で全てを持てないから。
捨てたものは山ほどあるけど、自分が捨てたのだから。
誰かに「捨てろ」と言われたわけじゃないから。
そのことは満足しているし、
自分なりにやりたいことはやったかな、
という気はします。