アブカジアにおける戦闘はほとんど終わった。コドリ谷を占拠していた軍隊は去り、人々の生活も日常に戻りつつある。スクミでの粉砕作業も何の問題もなく進んでいる。現在我々は、スクミの「ロウアー・ブリッジ(低い橋)」と呼ばれる場所の土を処理しているところだ。イングリ川には橋が2つ架けられている。一つは町の先にある高い橋、もう一つはHALO事務所と敷地近くの低い橋だ。戦争中は2つの橋の周辺に地雷が埋設されていたが、今はどの橋も地雷除去が終わっている。
HALOが最初にアブカジアに来た時、当局は全ての地雷原の位置が示した地図をHALOに渡した。それによると「ロウアー・ブリッジ」は戦争終結後にロシア軍によって除去済みとされていた。ロシア軍は特殊なローラーのついた戦車で地面をならした後に除去が終わったと宣言したが、このローラーは残念ながら幅が広すぎてあまり効果がないのだ。HALOサイドで除去をやり直したところ、52個の地雷が発見された。ほとんどの地雷はローラーが届かない溝に埋設されていたが、まだ地面に残っている地雷もあった。
実際、ロシア軍がこの場所の除去をしても誰もその言葉を信じていなかった。1998年にそこで草を食べていた馬が地雷を踏んで死んだが、馬の死体は骨になるまで何ヶ月もそのまま放置され、それからそこが危険地帯とされるようになった。去年、2人の少女がこの地雷原で怪我をした。少女たちは対人地雷を見つけ、それが何だか知らずに地雷の上に立って怪我をしたのだ。危険地帯という看板も立ててあるその場所が立入禁止であることは誰もが知っているはずだったので、スクミの住人はこの出来事に非常にショックを受けた。
我々は手作業による除去を開始したが、金属破片の量が多く除去スピードも遅かったので機械チームを使うことにした。まず表面の土を取り除き、その土を山にして盛って粉砕機の到着を待った。粉砕機が来るまで1年かかったが、到着した今はすばやく土の山の処理が行なわれている。粉砕機はあと一週間ほどここで使用してから別の場所に移動する予定だ。
1993年以来多くの地雷が埋設されていたロウアー・ブリッジ地帯もようやく安全になった。以前ここにはピクニック客が良く訪れていたが、来年にはまたそうなるだろう。冬が近づき、高地には雪が降り始めた。スクミ周辺の山々は雪化粧に変わり、冷たい風が谷に吹き込んでいる。HALOの地雷除去員はこの4年間をグミスタ谷で過ごしていたが、4000個近くの地雷が除去され安全になったので、今年は別の場所に移動するだろう。もうここの人が地雷で傷つかないと思ったらとてもイイ気分だが、地雷はまだまだあるので除去を続けなければならない。時間のかかる作業だが、これ以上子供が傷つく前に地雷を破壊したいと思っている。
アリ・マクマチャノフ 粉砕機チーム フィールド・オフィサー
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