ナビゲーターより|TBSテレビ:夢の扉


ナビゲーター/庄司麻衣

ナビゲーターより

今回は北海道にある北里大学の牧場へ行ってきました!!
目の前に広がる緑がとてもきれいな場所。肉牛となる牛が放牧されている、まさによく映像で見る北海道のイメージ。
当たり前のようで、広大な土地がないと出来ない数少ない牧場です。
そこで育つ牛は穏やかでのびのびしていて、私が近づいても気にすることなく、ただこちらの様子を伺っています。
そして何よりも驚いたのは、異臭がまったくない事でした。
通常はエサの独特の臭いや、排泄物の臭いが漂いそうなものですが、全くと言っていいほど臭いはありません。
なぜ、この様な事が起きるのか。それは牛のエサを放牧されているその場所にある草だけで賄っているからだと、萬田先生に教えて頂きました。
牧草だけとは驚きでしたが、時々舐める塩以外は草だけで育つ牛の肉はどんなものなのか、牧場の方々が用意して下さった北里牛を頂きました。
感想は驚くほどに本当に美味しく、食べた事のない味でした。
今、主流でブランド牛とされている霜降り牛とは逆で、ほぼ赤身の北里牛。
赤身というと、硬いとかパサパサというイメージがありませんか?でも北里牛は違うんです。
本当にやわらかくジューシーで、噛めば噛むほど味が出るようなお肉でした。
味はしっかりしているけど赤身臭さもなく、もたれる事なく、さっぱりしてヘルシーな美味しいお肉だなと感じました。
肉のランクは脂身のさしの量と入り方で決まるらしく、脂身の少ない北里牛はどうしてもランクが下がってしまうんだそうです。
その為か、まだ北里牛を頂けるお店は少ないそうです。
しかし、それでも自信を持って育てている萬田先生は、「牛は本来、広大な土地でのびのびと自由に生活し、人生をまっとうすべきなんだ。
肉牛だからいずれは人の命となる大切な食料。
せまい土地で牛舎の中でストレスをかけ生活させるのは牛にとって本意ではない。
私達が生きるために育てるのだから、生きている間は、ストレスのない自由な生活をさせてあげる事が私達の仕事だ」と。
さらに牛はエサを食べる庭師なんだ。と、印象に強く残った先生の言葉です。

ストレスなく育った肉牛を頂くからまた私達が元気で健康に生きられるんだなぁ。と、食のありがたさ、大切さを感じました。
牛の出産もまた、大変静かな時でした。
今までイメージしていた親牛から人間の手で引っぱり出される出産ではなく、静かに遠くからただ生まれるのを待つ。
牛は本能で木陰の安全な場所へ行き静かに出産、本当に自然の姿はスゴイなと感動しました。
翌日よちよち歩きの子牛が幸せそうに母親牛の横で元気そうにたわむれていました。

取材に行ったはずの私は、この環境が本当に心地良く、身も心も癒されてしまいました。

本当の食の安全が認知され、北里牧場で育つような国産牛が沢山増えて近い将来、こういう牛をみんなが食べられる日が来ればと思います。