【セミナー開催〜放送史の金字塔、「ぽんぽこ物語」の魅力を探る〜】
12月19日、横浜で日本初のテレビ映画「ぽんぽこ物語」の価値と魅力を深める公開セミナーが開催されました。これは(公益財団)放送ライブラリーが主催したもので、事前の抽選で選ばれた放送ファンが詰めかけ熱心に登壇者の解説に耳を傾けました。
セミナーでは「ぽんぽこ物語」が放送史を切り拓くことになった時代背景やテレビ局の事情、ドラマ史における位置づけをテレビプロデューサーで元中央大学特任教授の市川哲夫氏が解き明かしました。また眠っていた「ぽんぽこ物語」を発掘プロデュースしたTBSヴィンテージクラシックスの小島英人氏が「ぽんぽこ物語」の出演者、脚本家、プロデューサーたちの知られざる横顔を紹介しました。
セミナー全文書き起こしPDF(2.3MB)はこちら
写真右から
進行 髙橋香名(放送ライブラリー)
ゲスト小島英人(TBSヴィンテージクラシックス)
解説 市川哲夫(テレビプロデューサー)
司会 吉田正和(テレビアナリスト)
【消えた美男(びなん)子役 62年ぶり公の場に!】
セミナーの終盤では、予定になかったサプライズとして、「ぽんぽこ物語」で凛々しい少年剣士役をつとめ、この番組を最後に引退した栗原眞一さん(71)が62年ぶりに公の場でマイクを握りました。
栗原さんは昭和30年代に映画、テレビで活躍し原節子 (映画 「智恵子抄」1957年)や宇野重吉 (日本テレビ 「次郎物語」 1956年)と共演し、8才の時に出演した
「ぽんぽこ物語」の最終回(1958年2月22日)を最後にテレビ、映画から引退し、公の場からは遠ざかっていました。
【修復フィルムの上映会は年内27日まで、来年は5日から24日まで】
「ぽんぽこ物語」は二年前に発掘され、腐食したフィルムの修復が進められていましたが、補修が済んだ未公開フィルムを放送ライブラリーで全話無料公開しています。また公開トークイベントの第2回を来年、1月16日に開催致します。(抽選申し込み1月6日到着分まで)
【登壇者プロフィール】
【吉田 正和(よしだ・まさかず)/司会・テレビアナリスト
1964年、大阪市生まれ。86年、芸能事務所で俳優マネージメントに従事。「火曜サスペンス」「土曜ワイド劇場」など2時間ドラマ企画に携わり、プロット、脚本、キャスティングを担当。トーク・バラエティー、ラジオ番組の構成、放送作家をつとめる。また子供番組音楽のパッケージ化を提案。『人造人間キカイダー/01』『スケバン刑事』などのテレビ映画サウンドトラックCDの企画、構成、解説に加え、80年代アイドルCD、アニメCDの構成も行う。『快傑ズバット』『大激闘マッドポリス'80』などのDVD、Blu-rayのパッケージ・プランニング、映像演出など、過去作品のアーカイブ作業を推進している。「ぽんぽこ物語」ライナーノーツでは取材と執筆を担当した。
【市川 哲夫(いちかわ・てつお)/解説・テレビプロデューサー
1949年浦和市生まれ。中央大学法学部卒。74年TBSに入社、以後制作局でディレクターやプロデューサーとして30年以上にわたり、多くの番組(主としてドラマ)制作に取り組む。主な作品に、金曜ドラマ『突然の明日』(80年)・『港町純情シネマ』(80年)、日曜劇場『課長サンの厄年』(93年)、連続ドラマ『親にはナイショで…』(86年)・『代議士の妻たち』シリーズ(88〜89年)。他に参議院選挙特番ドラマ『永田町〜平成元年の変』(89年)、特別企画3時間ドラマ『閨閥(けいばつ)』(90年)、松本清張作家活動40年記念作『迷走地図』(92年)、『派閥人事・頭取が泣いた日』(92年、第30回ギャラクシー賞奨励賞)など。2003〜07年、日本映画テレビプロデューサー協会常務理事・エランドール賞委員会委員長、07〜16年にTBS『調査情報』編集長を務めた。16〜20年、中央大学総合政策学部特任教授(放送文化論担当)。現在は、日本映画テレビプロデューサー協会事務局長を務める。編・著書に『70年代と80年代〜テレビが輝いていた時代』(15年、毎日新聞出版)がある。
【小島 英人(こじま・ひでと)/ゲスト・発掘プロデューサー、TBSヴィンテージクラシックス
1960年東京生まれ。東京大学法学部卒、ニューヨーク大学大学院映画研究学修士。TBS入社後、外信部記者として世界各地の内戦や変革をレポート。その後『NEWS23』のディレクターを経て、『報道特集』では多数のドキュメンタリーを制作。記者として、潜伏江副リクルート社長発見・幻の憲法音頭発見・石井四郎731部隊長戦後日記・北朝鮮中国国境河川世界初全走破・「三島由紀夫憲法」公開など、スクープを多数手がけた。2003年、深夜ドキュメンタリー枠『報道の魂』(現『ザ・フォーカス』)立ち上げに携わる。13年にはTBSヴィンテージクラシックスを創設。以降、「三島由紀夫未公開インタビュー」・「楽聖パブロ・カザルス来日演奏会音源」・「ヴィルヘルム・バックハウス音源」・「三島由紀夫VS東大全共闘」フィルム原盤など多数発掘。「戦後作曲家発掘集成」で16年にレコードアカデミー賞特別賞、19年「三島由紀夫VS東大全共闘」の原盤発掘ニュースで第57回ギャラクシー賞奨励賞、20年、映画『三島由紀夫VS東大全共闘』は報知映画賞特別賞を受賞。