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CD「伊福部昭トリビュート 春の音楽祭 in Kitara」の魅力2018.8.30

ボタン写真 ■北海道命名150年記念のライブ!
オール北海道キャストで、北海道という土地に結びついた音楽をつくった!

蝦夷地が北海道と命名されて150年。その命名記念演奏会をアンコールを含めその全容を収録しています。
北海道を代表する世界的音楽家の伊福部昭(釧路生まれ、音更、札幌育ち)、演奏会場(札幌Kitara)、指揮者(藤田崇文=帯広出身)、そしてオーケストラ(札幌交響楽団)とオール北海道キャストです。
果たして、演奏会は、北海道という土地に結びついた個性ある音楽が、その土地で生まれ育った人々の手によって、北海道の地において、北海道の聴衆のよろこびと一体化し、特別に高まり響きわたったのです。
(TBSヴィンテージクラシックスが加わっているのは、かつてHBC音源の伊福部作品「ウポポ」「ヌタック・カムシュペ」をCD化した縁。
戦後作曲家発掘集成/コロムビア=2016年レコードアカデミー賞特別賞受賞)

■こころをゆさぶる伊福部昭の音楽の原点にアイヌの音感あり!
伊福部昭(1914-2006)は、北海道に生まれ育ち、北の風土の中で独自の土俗的な音楽性を養った作曲家です。北海道の周年を嘉するに相応しい存在です。伊福部昭は大正、昭和の戦前、戦中に音更村でアイヌ民族と交流し、行住坐臥とともにあった民族の音楽を肌で感じてきました。戦後のゴジラなどの映画音楽以前に音楽原理としてアイヌの歌があり、執拗なる繰り返し=オスティナートがありました。

■各紙で絶賛された演奏会!「伊福部イズム、北の大地に」(朝日新聞)「生命力あふれる」(北海道新聞)
コンサートはまず「ウポポ」で幕を開けます。アイヌの「歌」です。演奏会を主催したHBC北海道放送は、北海道初の民間放送局です。NHKと一線を画した新しい放送開始音楽を伊福部に委嘱しました。遠い民族の情感が山鳴りしているようなこの独特な調べは、北海道の人々が耳で感ずるアイヌ文化でもありました。次にショスタコーヴィチ、ハチャトリアンの楽曲となります。北海道は、地理的にロシアの影響を強く受けてきました。伊福部昭は学生時代には当時のソビエトの最先端の音楽をレコードで聞き、巨きなスケールと北方の民族性を吸収しました。続いて、門下生の音楽です。指揮を担当した藤田崇文は北海道帯広に育ち運命的に伊福部昭に出会い、最後の門下生となりました。彼の作品と一番弟子、芥川也寸志の作品にも伊福部イズムが通低しています。後半は、伊福部昭の作品群です。ご存知ゴジラなどが並びます。最後は伊福部昭の純音楽の最高傑作「シンフォニカ・タプカーラ」です。伊福部昭は生前この曲について「ともに過ごしたアイヌへの共感と追憶である」と書いています。アンコールは、「北海道賛歌」です。この地に生きた人々への敬意を奏しています。最後は藤田崇文の作品「北の舞」です。北海道の倭人の民謡であるソーラン節とアイヌ音楽に根源を持つ伊福部昭のゴジラに深い親和性があることがわかります。会場は最高潮に達します。世界が差別や分断に軋み続ける今日、伊福部昭が諸民族への敬意と理解に基づいて生み出した音楽が訴えかけるものの意義は小さくないと思います。

TBSヴィンテージクラシックス 小島英人

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