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三島由紀夫の長時間の未発表肉声テープを公開2017.1.12

写真 TBSヴィンテージクラシックスは、世界的な文学者三島由紀夫が自決の年に自らの死生観や文学論、憲法観などを語りつくした長時間の未発表肉声テープを発見しました。三島文学のみならず、人間三島由紀夫の思想と行動を理解する上で、貴重な資料となります。

ボタン写真 このテープはTBSの社内から発見されたもので、これまで「放送禁止」という扱いで歴代のアーカイブ部門の責任者が特別に保管してきたものです。テープには、「自決前の思想」とタイトルが記されていました。テープの存在は、社内でもほとんど知られておらず放送されることもありませんでした。

このインタビュー内容について、三島由紀夫文学館特別研究員である山中剛史氏は、「録音は、具体的な自決への行動を構想しはじめたころのもの。事件を前提にした語り口となっている。また、このインタビューで注目されるのは、文学観と憲法観であり、三島自身が自身の文学観を明らかにしている。特に自らの文学の欠陥を油彩画に例えながら語っていることはかつて知られていない。また自らの行動の原理に、言葉に対する  純粋な姿勢があり、三島由紀夫の戦後社会の偽善論や平和憲法批判の根本的な理由であることを述べている」としています。
また生前、芸術を通じて三島由紀夫と親交のあった歌手で俳優の美輪明宏さんは、「三島由紀夫さんが無防備なまでに素で話していてとても珍しい。三島さんが、私に上演を望んでいた葵上・卒塔婆小町(あおいのうえそとばこまち)の芝居の稽古を始めたこのときにというタイミングにも驚きました。純粋な少年のようだった三島さんが思い出されてとても懐かしゅうございます。」と語っています。

この肉声は12日のTBS報道番組『Nスタ』『News23』などにて放送致します。またこの発見を受けて、美輪明宏さんは15日朝7時からのTBSラジオ『美輪明宏・薔薇色の日曜日』にて感想を話す予定です。

■インタビュー内の三島由紀夫の主なコメント■
自身の文学について:
「僕は油絵的に文章をみんな塗っちゃうんです。僕にはそういう欠点があるんですね。日本的な余白がある絵ってあるでしょう。それが僕は嫌いなんです」

死生観について:
「死が肉体の外から中に入ってきた気がするんです」

憲法について:
「平和憲法は、偽善です。憲法は、日本人に死ねと言っているんですよ」

美について:
「美とは、なにか。自分の一回しかない時間を奪い、塗りつぶし陶酔する濃密なかたまり」

このインタビューについて:
「これは、ひとつのコンフェッション(告白)なんです」

思想の主張について:
「僕は今の日本じゃ、言葉を正すってこと以外に道はないんだろうなって思いつめている。文体でしか思想が主張できない」

子ども時代の気持ち:
「僕は、ショーウィンドウで見た空気銃が欲しいね、欲しいねって友達と話していた。それが何十年かたって、どうしても鉄砲が欲しくなったのと同じでしょうか。あっはははははは。かかかかか」


■録音日時 :1970年2月19日
テープの中で三島由紀夫が、遺作となった小説「豊饒の海」第3部「暁の寺」を脱稿した日であると明かしていることから、1970年の2月19日に録音されたものと見られる。「豊饒の海」の節目では、次の第4部脱稿の日の11月25日に三島由紀夫は、自決を決行している。
■録音時間 :約1時間20分
■聞き手:ジョン・ベスター(イギリスの翻訳家) ※日本語で質問

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