手作りフリップ(2024年4月28日放送)
東京オリンピック前に“禁止薬物陽性” 中国競泳選手23人「知らずに摂取」 出場認めたWADAに批判も…

2021年の東京オリンピックの7か月ほど前に、中国の競泳選手らが薬物検査で陽性反応を示していた問題。その後の出場が認められたことについて、批判の声も出ています。ニューヨーク・タイムズなどの報道で明るみに出たこの問題。手作り解説でお伝えします。
■東京オリンピック前に 禁止薬物“陽性”中国の競泳選手23人
陽性が明らかになったのは、東京オリンピックで金メダルを獲得した張選手や汪選手を含む23人の競泳選手です。23人は2020年の暮れ、中国国内で開かれた大会で、禁止薬物「トリメタジジン」の陽性反応が出たというのです。これは心臓疾患に使われる薬で、血流を良くすることで、心肺機能を高める効果があり、競泳やスケートなどの競技では、持久力が向上するといいます。
■中国側「知らずに摂取」 WADAは出場認める
ニューヨークタイムズなどによると、中国のアンチ・ドーピング機構は発覚から2か月後に、世界アンチ・ドーピング機構=WADA(ワダ)に報告。この時、中国側は、「宿泊先のホテルのキッチンを調べたところ、香辛料の容器などから、トリメタジジンが検出された」「選手たちは知らずに摂取していた」などと説明しています。WADAは「数日間検査したが、結果は陰性と陽性の間を行ったり来たりしていた。濃度が低かった」として「問題は無い」と判断。公表もしなかったのです。国際機関である「スポーツ仲裁裁判所」で仲裁人を務める早川吉尚弁護士は「WADAは本来、ドーピングに対して前のめりに調査を進める機関。今回は処分を出すほど証拠が集まらなかったのでは」と話しています。
■対応は“不公平”?批判の声も
今回検出された、トリメタジジンをめぐっては、2022年の北京オリンピックで金メダルを獲ったロシアのフィギュアスケート・ワリエワ選手が大会中に陽性が判明。この時は「おじいさんの心臓の薬を誤って飲んだ」などと説明しましたが、金メダルを剥奪され、4年間の出場停止となりました。このため、今回のWADAの対応については、「公平性に疑問がある」、「違反を公表し、失格にすべきだった」などと批判の声が上がっています。
■ドーピング検査“突然”に…
こうしたドーピングの検査は抜き打ちで行われていて、競技後に会場で行われたり、深夜や早朝に突然、自宅や滞在先に、検査員が来ることもあるといいます。このため検査の対象となっているアスリートは、自分の滞在先などを、検査機関側に3か月先まで伝えているとといいます。
■“いたちごっこ”のドーピング
初めてドーピング検査が導入された1968年、およそ30種類だった禁止薬物や手法は、いまや300種類以上に膨れあがり、ずっと増え続け、“いたちごっこ”の状態なんです。 例えば、赤色の薬が禁止されたとしても…別の似たようなオレンジ色の薬、そして黄色の薬が出てきてしまいます。この“いたちごっこ”は止められるのでしょうか…?