手作りフリップ|サンデーモーニング|TBSテレビ

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手作りフリップ(2023年2月19日放送)

“気球騒動”から見える米中の情報戦…戦闘機の緊急発進が難しい高高度での攻防とは?米軍の無人偵察機の性能は?

手作りフリップ

“偵察気球”撃墜から続くアメリカと中国の緊張。今回の騒動から見えてきたのは、電波情報などをめぐる米中の熾烈な情報戦です。緊急発進して偵察機の領空侵犯を防ぐ戦闘機と、その戦闘機の一般的な運用空域よりもはるか上空で繰り広げられる米中の攻防とは?アメリカの“超高性能”無人偵察機「グローバルホーク」の性能とは?手作り解説でお伝えします。

■領空侵犯前の“砦”、防空識別圏とは

気球の問題でにわかに注目された偵察を巡る米中の攻防。相手の領空にどこまで近づけるか、様々な高度でせめぎ合いがあるのです。

例えば、アメリカ軍は電波情報を収集する偵察機「EP3」を運用しています。日本の自衛隊も保有していて、海上近くの低空から10キロ前後を飛行しています。こうした偵察機が相手国に近づこうとした場合、まずは領空の手前の「防空識別圏」でレーダーに捕捉され、そのまま領空に近づこうとすると、戦闘機がスクランブル=緊急発進をしてきて、進路の変更を求められることになります。ただ、こうした戦闘機のスクランブルも上空15キロほどまでが一般的とされます。

■一般の戦闘機では撃墜困難、“ローテク”とも思える気球の利点

一方、今回、さまざまな波紋が広がっている中国の気球。移動する方向はほとんど風任せですが、20キロほどの高度を飛行していました。バイデン政権は当初、「地上に対する脅威はない」として、すぐには撃墜しなかったので、気球はアメリカの領空を悠々と横断していきました。アメリカ軍の重要施設などの上も通過し、一定の電波情報などを収集していたとみられています。

■アメリカが保有する“ハイスペック偵察機”グローバルホークとは?

対するアメリカですが、気球と同じ高い高度、20キロの上空を飛行できるハイスペックな偵察機を保有しています。それが無人偵察機「グローバルホーク」。 一般的な戦闘機の活動空域よりも高い空域を飛ぶため、撃墜のリスクが低く、さらにパイロットが乗っていないため、リスクを冒して相手国の領空に近づくことができるのです。

偵察能力としても、赤外線センサーや極めて高精度のカメラを搭載しているため、20キロ上空から地上にあるゴルフボールほどの小さな物も識別できるとされています。2003年のイラク戦争で、地上のイラク軍の動きを把握するために活用されたほか、2011年の福島第一原発の事故では、水素爆発を起こした直後の原子炉建屋を上空から撮影しました。

グローバルホークを使った日常的な偵察活動の全容は明らかになっていませんが、2019年には中東のペルシャ湾上空で、イラン軍に撃ち落とされた例もあり、世界のあらゆるところで情報収集を行っている可能性があります。

■警戒を強める日米、今後の中国の出方は?

今回の気球騒動を受けて、現在、バイデン政権は、飛行速度が遅い物体を捉えられるようにレーダーの設定を変更。次々と正体不明の飛行物体を捉えて、撃ち落とすようになりました。

日本政府も自衛隊の武器使用のルールを緩和し、気球の撃墜も可能とすることを決めました。

情報収集の手段として、中国は今後どんな方法に打って出るのでしょうか。

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