手作りフリップ(2022年8月7日放送)
爆発しない暗殺兵器“忍者爆弾”を使用 米政府「アルカイダ」トップ・ザワヒリ容疑者を殺害…その内幕は
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アメリカ・バイデン大統領は国際テロ組織「アルカイダ」のトップ・ザワヒリ容疑者を殺害したことを発表。隠れ家のバルコニーに姿を現したところをドローンで攻撃しました。20年以上に及ぶ執念の追跡、その内幕は…
■ザワヒリ容疑者とは…
殺害されたアイマン・ザワヒリ容疑者はエジプト出身の医師で71歳。2001年の911アメリカ同時多発テロのときはナンバー2でした。アルカイダの当時の指導者、ビンラディン容疑者はパキスタン北部に潜伏していた2011年5月、1万キロ以上離れたホワイトハウスでオバマ大統領らが作戦を注視する中殺害されましたが、その後を継いでトップとなったのが、このザワヒリ容疑者でした。
■世界に根を張る「アルカイダ」ネットワーク
アルカイダはビンラディン=ザワヒリ系統の“本体”の組織と、アフリカや中東、インドなどに散らばるテロ組織によるネットワークです。
2000年代は、関連組織がインドネシアのバリ島で2度、爆弾テロを行い220人以上が死亡しました。2010年代にザワヒリ容疑者がトップになってからも、系列組織がテロを繰り返し、2013年のアルジェリア人質事件では日本人10人を含む48人が死亡、2015年にはフランスの新聞社「シャルリー・エブド」襲撃事件を起こしました。
一方、“本体”の方はテロを呼びかけるメッセージ動画を出すくらいで、活動自体は目立たなくなっていました。ザワヒリ容疑者はパキスタンとアフガニスタンの国境の山岳地帯に潜伏しているとみられていましたが、特定されたのは、意外な場所でした。
■ザワヒリ容疑者殺害の内幕は…
ザワヒリ容疑者が潜伏していたのはアフガニスタンの首都カブール中心部。各国の大使館が多くある地域です。隠れ家はタリバンでも強硬派とされるハッカーニ内相の側近が所有する建物とされ、タリバンが匿っていたとの指摘もあります。
殺害されたのは現地時間7月31日午前6時過ぎ。使われたのは米軍の暗殺兵器「ヘルファイアミサイル」でした。刃が飛び出して標的を切り裂くもので、爆発しない暗殺兵器であることから「忍者爆弾」の異名を取ります。標的をピンポイントで攻撃できるのが特徴です。
アメリカの情報機関は今年に入りザワヒリ容疑者がカブールに潜伏していることを確認。早朝バルコニーに出る習慣があることを把握し、攻撃のタイミングを見計らっていたといいます。
■相次ぐ米政府による過激派の殺害、その影響は…
アメリカによるテロ組織幹部の殺害は他にも相次いでいて、2017年には、シリアでザワヒリ容疑者に次ぐアルカイダのナンバー2を殺害。2019年にはやはりシリアで、「イスラム国」のトップ・バグダディ容疑者が、また今年に入ってからは、その後継者も米軍の作戦により死亡しています。
バイデン大統領は「どんなに時間がかかろうと、どこに隠れようと、必ず見つけ出し排除する」と述べるなど、ザワヒリ容疑者の殺害は国の威信をかけた報復だったことをにじませました。
アメリカはアルカイダにとって大きな打撃だとしていますが、中東調査会の金谷(かなや)上席研究員は「世界のアルカイダ系組織は独自にテロ活動を展開しており、ザワヒリ容疑者がいなくなっても影響は限定的」だといい、脅威はなおくすぶり続けています。