手作りフリップ(2021年12月26日放送)
「オミクロン株・市中感染の拡大」
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オミクロン株の感染は106の国と地域に拡大。 そのうち少なくとも31の国と地域で市中感染が始まっています。
中でも、1日の新規感染者数が10万人を超えるイギリス、アメリカではデルタ株からオミクロン株への「置き換わり」が進んでいて、新規感染者のうちアメリカでは73%、イギリスでは81%(イングランド)をオミクロン株が占めています。

アメリカは対策として、検査キット5億個の無償提供や、ワクチンを追加接種した人に100ドル提供するという施策をスタートしました。またイスラエルは世界に先駆けて、4回目のワクチン接種を始める意向を示しています。
一方、この1か月で、オミクロン株の特徴も分かってきました。
入院リスクについて、3つの研究グループが初期段階の研究報告を公表。 イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンの調査では、入院リスクはデルタ株と比べて55%から60%に低下、エディンバラ大学の調査ではおよそ3分の1に、また南アフリカの国立感染研究所の調査ではおよそ20%まで低下すると、いずれも入院リスクはデルタ株よりも低くなることを示しました。

そして香港大学の研究チームが、入院リスクの低下を裏付けるような実験結果を発表しています。
人の肺組織に、オミクロン株を感染させたところ、24時間後には、デルタ株の10分1しか増殖しませんでした。
重症化は、主にウイルスの肺の増殖によって起きますが、オミクロン株は肺で増えにくいことから、研究チームは「重症度が低いことを示唆している可能性がある」と指摘。 一方、入り口に近い気管支組織にオミクロン株を感染させたところ、今度はデルタ株の70倍も増殖したといいます。研究チームはこの気管支での増殖が、強い感染力を生み出しているのではないかと分析しています。

但しこれらの結果はいずれも初期段階の研究結果で、オミクロン株のサンプル数も十分とはいえず、最終結果が出るまでは、目安の一つと考えるべきでしょう。
さて日本での、オミクロン株の感染者は現在233人。
市中感染は大阪、京都、東京、そして福岡で合わせて17人が確認されて、厚労省専門家会合の脇田座長は「流行が始まってもおかしくない状況にある」と、感染の再拡大を、想定すべき時期がきたという見解を示しました。

名古屋工業大学の研究グループが今月17日に、AIを使って出した試算では、オミクロン株の市中感染が12月25日に確認された場合、東京都では2月11日に新規感染者が3000人を超えるという結果が示されています。現実にはこの3日前に市中感染は確認されていて、今後の感染拡大に注意する必要があります。
政府分科会の尾身会長は感染拡大について「ここまで来ると止めることは難しい。この1週間、10日が非常に重要な時期になる」と警鐘をならしています。
