手作りフリップ(2021年12月12日放送)
「ロシア、ウクライナ国境集結の訳?」

ロシアが10万人とも言われる軍隊を集結させているウクライナ国境。 ちなみに史上最悪の事故を起こしたチェルノブイリ原発がある国ですが…なぜ、ロシアはウクライナにこだわるのか?

ウクライナが黒海に面していることが重要で、地中海を経由し、東にも西にも抜けることができます。 更に真冬でも凍らない事からロシアはクリミアに海軍基地を置き地政学的にも重要な場所です。 そしてプーチン大統領は『どうしても勢力圏に取り戻したい』場所だと主張しています。
というのもプーチン大統領は今年7月論文を発表。「ロシア人とウクライナ人は一つの民族」と強調し「いかにウクライナ国内の過激派と西側諸国が引き裂いたか」と強調しているのです。

そもそもウクライナは、14世紀にはリトアニア大公国に支配され、17世紀にはポーランドとロシア領となり、18世紀後半には完全にロシアの一部となり、大国間の勢力争いの舞台となってきました。
そのロシアとイギリス・フランスを中心とした連合軍が戦ったクリミア戦争の際、看護活動で活躍したのが「ナイチンゲール」です。
そして1991年、ソ連崩壊とともにウクライナとして独立を宣言。長年の支配からやっと独立したというのが、親EU派の多い西部や政府の見方といわれています。 ただウクライナ東部では親ロシア派が多く、世論が二分されたままです。

一方、ロシア側が強く懸念しているのが、この青色の国が加盟するNATO=北大西洋条約機構の存在です。 こんな所にもロシアの飛び地があるんですね。
ロシアは、ウクライナのNATO加盟への動きに対し「レッドライン=超えてはならない一線」と強く反発。 NATOのミサイルシステムが、これ以上ロシアの国境に近づくと、ものの数分でモスクワに到達してしまうと強くけん制しています。
加盟国は北米と合わせ30か国と、西ヨーロッパで増加していて、ウクライナは位置的にもまさにロシアとの緩衝地帯なのです。

緊張を高めるプーチン大統領の動きに、注視している国があると言います。
それは『中国』。
スウェーデンの元首相が先月『ウクライナ侵攻を中国が支援しない理由はない』との論文を発表。 中国問題を重視してきたアメリカがヨーロッパへと軸を移すことで、アジアが手薄になる可能性があると指摘。 アメリカの政治専門誌「ザ・ヒル」も先月、アメリカの防衛戦略を混乱させるために『ウクライナと台湾の問題が同時進行する可能性がある』とまで報じています。
中国と深い関係にあるプーチン大統領の動きですが、ウクライナを巡る 米ロの緊張緩和の糸口は 見えていません。
