手作りフリップ(2021年11月28日放送)
「世界初実験『小惑星の衝突から地球を防衛』」
※ 一部端末では動画がうまく再生できない場合がございます
NASAなどが行っているのは、世界で初めてとなる「接近する小惑星から地球を防衛するための実証実験」で、DART=ダートと呼ばれています。
6600万年前に、小惑星がメキシコのユカタン半島に落ち、恐竜を絶滅させたとされており、こうした最悪のリスクに備えることが目的です。

大ヒット映画「アルマゲドン」では、小惑星の内部で核爆弾を爆発させ破壊しますが、DARTでは、小惑星に探査機を衝突させ、軌道を変えることを目指します。
このミッションに挑戦する探査機は重量550キロ、軽自動車並の重さです。 実験台として選ばれたのは、木星の内側の宇宙空間を楕円の軌道で回る双子の小惑星ディディモスとディモルフォス。 小さい方のディモルフォスがディディモスの周りを月のように回っています。 これらの小惑星が実際に地球に衝突する危険があるわけではありません。

東京スカイツリーとの大きさを比較すると、このようになります。
ディディモスは直径およそ780メートルで、ディモルフォスは長さおよそ160メートルでラグビーコートほどの大きさです。
実験は、来年の秋、地球の軌道に最も近づく時期に行われ、探査機を時速2万4000キロの猛スピードで、小さい方のディモルフォスに衝突させるもの。 ディモルフォスを狙うのは、その周回軌道の変化を観測するためで、理論上はこの衝突で軌道をわずかに変えることができるといいます。

実際、危険な進路の小惑星でも、このわずかなずれを作れれば、地球にぶつからないようにすることができるとされ、今回の実験データを採ることで、衝突回避技術を研究する基盤としたい考えです。
恐竜を絶滅させた小惑星は大きさ10キロメートルほどと推定されていますが、ディモルフォスほどの大きさでも、直撃すれば一つの都市圏を壊滅させる威力があるとされています。 実際、2013年にロシア上空で、17メートルほどの小惑星が爆発した際も、衝撃波が50キロ先まで広がり、建物のガラスが割れるなどして1500人がケガをしました。

小惑星の衝突を止めるというのはSF小説の世界でのことでしたが、探査機の製作を主導したジョンズ・ホプキンス大学のエレナ・アダムス氏は今回の実験で「小惑星が地球に向かってきても大惨事は防げるということを示したい」としています。
