手作りフリップ|サンデーモーニング|TBSテレビ

「サンデーモーニング」毎週日曜日あさ8:00~9:54放送、出演:関口宏,橋谷能理子,張本勲,唐橋ユミ,水野真裕美,杉浦みずき ほか

手作りフリップ(2021年10月10日放送)

「温暖化…ノーベル賞に真鍋淑郎氏」

※ 一部端末では動画がうまく再生できない場合がございます

まずは温暖化の基本的なメカニズムを説明します。
太陽によって地表は暖められ、暖められた地表は熱を赤外線として放出します。

手作りフリップ

このままだと地表は氷点下になるのですが、大気が熱の放出を防いでくれています。 大気の中にはCO2やメタン、フロンなどの「温室効果ガス」が含まれていて、そのうちのCO2は大気のわずか0.04%ですが、赤外線の吸収力が高いため、濃度が少し上昇しただけで、温暖化に影響します。しかし濃度がどれだけ上昇すれば、温度がどれだけ上がるのかを計算する方法はありませんでした。ところが真鍋さんがモデル化に成功したのです。

1967年「CO2が2倍になれば、地上の気温が2.3度上昇する」という論文を発表、このモデルが今の温暖化研究の基礎になっているのです。

手作りフリップ

国立環境研究所が作成した気候変動のシミュレーションです。

2100年には地球の平均気温が5度上昇するという結果が出ていますが、これも真鍋さんが開発した気候モデルから導き出されたものです。真鍋さんの論文のほとんどは、アメリカに渡ってから発表されていますが、渡米のきっかけは、なんだったのでしょうか?

日本気象学会の機関誌「天気」によると、東大の大学院生だったときに書いた修士論文がアメリカ気象局の目に留まり、スカウトされたといいます。

真鍋さんが渡米した1958年、アメリカ気象局には日本にはない最新のコンピューター(IBM7030)がありました。1日の使用料は8000ドル、当時のアメリカ人の年収の1.5倍以上です。

手作りフリップ

これを自由に使えたそうですが、そこには時代背景もありました。
真鍋さんが渡米する前年の1957年、旧ソ連が「スプートニク」で世界初の人工衛星打ち上げに成功、アメリカは「スプートニクショック」で、科学研究に力を注いでいました。 そうしたアメリカの環境の中で、真鍋さんの「気候モデル」は生み出されたのです。

明るいニュースの裏で、懸念されることもあります。日本の素晴らしい才能が海外に渡ってしまう、いわゆる“頭脳流出”です。

ノーベル物理学賞の受賞者で、海外の国籍を取得し、海外を拠点とした科学者は真鍋さんとの他に、青色発光ダイオードの中村修二さんと、亡くなった素粒子物理学の南部陽一郎さんがいます。 2人が選んだのもアメリカでした。

手作りフリップ

こうした背景には日本の研究環境があります。
研究開発費で日本は世界3位ですが、金額は2位中国の3分の1です。 引用回数の多い科学論文の数で、日本は過去最低の10位に転落。その数は中国の1割程度です。

真鍋さんは常々、「自分の原動力は好奇心だ」と語っていますが受賞発表後の会見では「最近の日本の研究は、好奇心を原動力にしたものが減ってきた…」と日本の科学研究の現状を憂いていました。

手作りフリップ

»手作りフリップ 一覧

»HOME

Copyright© 1995-2024, Tokyo Broadcasting System Television, Inc. All Rights Reserved.