手作りフリップ(2021年8月8日放送)
「デルタ株の脅威とワクチン接種」

デルタ株が確認されているのは、こちらの紫色で示した135の国と地域です。
デルタ株が占める割合を国ごとに見ると、イギリス、日本、アメリカではご覧の値になっています。

感染力が強いとされてきたデルタ株ですが、アメリカのCDC=疾病対策センターの内部文書が報じられ、大きな話題となりました。
その中身を見ると、デルタ株の場合は、1人の感染者から最大9.5人に感染を広げるといいます。これは、従来株の3倍近い値です。 ワレンスキー所長は「デルタ株は、はしかや水ぼうそうのように最も感染力の強いウイルスの1つ」と警戒感をあらわにしました。

では、なぜデルタ株は感染力が強いのでしょうか。
中国の研究チームは、デルタ株の感染者のウイルス量は、従来株より1260倍も多く、
飛沫として排出されるウイルス量が増えて、感染しやすくなるのでは、と指摘しています。
さらに、ウイルスが排出される期間が、従来株よりも5日長いと、
シンガポールの研究チームは分析しています。
こうした要因も、強い感染力を生み出しているのかもしれません。
デルタ株は、ワクチン接種を完了したとしても油断はできません。
1回目、2回目のワクチンを打ち、2週間ほど経つと免疫がつきますが、それでも感染してしまうケースがあります。これを「ブレークスルー感染」といいます。

国立感染症研究所は今年4月から6月まで日本国内で67人がブレークスルー感染したと発表しています。
一方、海外では、ブレークスルー感染によるクラスター=集団感染が報告されています。 CDCによると、アメリカ・東部マサチューセッツ州の町で先月、470人あまりのクラスターが発生。 そのうちの7割以上(74%)がワクチン接種を完了していたといいます。
また、ワクチン接種を完了した感染者からは、接種を受けていない感染者と同じウイルス量が確認されたことが明らかになりました。 つまり、接種を完了してもデルタ株に感染して、周囲に感染を広げ、集団免疫の獲得が困難になる恐れがあるのです。
こうしたデルタ株の脅威に備えるため、1回目、2回目の接種を終えた人が、さらなる効果を得るため、3回目の接種を受ける「ブースター接種」の動きが加速しています。

製薬大手ファイザー社はブースター接種により、2回目までと比べて、デルタ株に対する抗体が最大11倍多くなったと発表。モデルナ社は2回目の接種をして、半年から1年後にブースター接種が必要となる可能性が高いとしています。
ここまでブースター接種の説明をしてきましたが、それでも、デルタ株に対して2回のワクチンは依然として非常に高い効果を持ち、川崎医科大学の中野教授は「ワクチンの2回接種はデルタ株で重症化するリスクを9割以上減らせるので打つメリットは大きい」と強調しています。
