手作りフリップ(2021年7月25日放送)
「承認…抗体カクテルとは」
※ 一部端末では動画がうまく再生できない場合がございます
「抗体カクテル療法」は、新型コロナに感染し、入院した場合、重症化を防ぐ、大きな支えとなるかもしれません。
「抗体カクテル療法」は去年、当時のトランプ大統領が、まだ未承認の段階で、投与を受けた治療薬としても知られています。

新型コロナに関しては、これまで承認されている治療薬はいずれも中等症から、重症患者向けでしたが、今回、初めて軽症から使える薬が承認されました。
重症化する人の事例では、症状が出てから、5日~8日で急速に悪化することが多いとされているため、軽症段階で治療ができる薬が認められたことは大きな前進です。

これまでに国内で承認されている、レムデシビルなど3つの治療薬は、エボラ出血熱やリウマチ治療など別の目的で開発された薬を転用したもので、「抗体カクテル」は初めて新型コロナ用に特化して開発、承認された画期的な薬となります。
なぜ「カクテル」と呼ばれているかというと、コロナから回復した人の抗体などを増殖させ、いろいろな抗体を作り、その中から、効果が高い2種類の抗体を混ぜて作られるからです。

この抗体は、コロナウイルスのトゲ部分に結合することで、ヒトの細胞に侵入することを防ぐ作用があります。またウイルスが変異して、抗体Aが作用しなくなった場合でも、もう一つの抗体Bが防御するため、感染力が強い変異株に対しても効果が期待できるとされています。
現在使うことが想定されているのは、軽症から中等症で基礎疾患があるなど重症化リスクがある入院患者です。

海外の臨床試験では、こうした人の入院や死亡のリスクがおよそ70%低くなりました。 ただ、人工呼吸器を必要とするなどの症状まで進んだ患者に対しては、悪化したとの報告もあるため、発症後、速やかに投与することが求められています。
「抗体カクテル療法」は海外の臨床データを用いて国内審査を簡略化する形で「特例承認」されました。一般的に新薬を1から開発するのに9年~16年かかるといわれることを考えると、かなりのスピード承認となります。

国内ではワクチン接種が徐々に広まっていますが、完全にコロナを防げるわけではありません。守りの「ワクチン」と攻めの「治療薬」、どちらもあることで、ようやくかつての日常が戻ってくることになります。
