手作りフリップ(2021年6月20日放送)
「その正体…インド型変異株」

日本でも懸念されるインド型変異ウイルスの広がり。そこで気になるデータがあります。
これはイギリスの新規感染者数と、ワクチン接種率の推移をあらわしたグラフです。 ワクチン接種が始まったのは去年12月8日。1月5日には3度目のロックダウンが開始され 感染者数は順調に減少。1月の6万8千人が、4月には千人台にまで抑えられました。

ところが5月に入ると感染者数が再び増え始め、6月17日には4か月ぶりに1万人を超えてしまいました。なぜ増加に転じたのでしょう?
そこにあるのが「インド型」変異ウイルス。新規感染者の99%と、置き換えが完了したといわれ、その特徴は従来のウイルスとはまったく違っていました。
従来のウイルスは、高齢者が感染しやすく、子どもは感染しにくいということもあって、イギリスでは「18歳未満はワクチン接種の対象外」でした。

ところが最新の調査で、「インド型」で最も感染者数が多いのは、ワクチン接種を受けていない若い世代であることが分かりました。
症状も違います。
新型コロナの代表的な症状といえば「咳」と「発熱」そして「味覚・嗅覚の障害」でしたが、「インド型」ではまず「頭痛」次いで「鼻水」「のどの痛み」と、普通の風邪とほとんど変わりません。
データをまとめたキングスカレッジのスペクター教授は「ただの風邪と思ってパーティーに出席、そこでクラスターが起きるのだろう」と分析しています。
また「インド型」にはワクチンが効かないのではないのではないかと、心配する声もありましたが、ファイザー社を例に見てみると、従来の「イギリス型」では1回目の接種の予防効果は50%だったのに、「インド型」では33%に下がっていました。

ところが2回目の接種では、「インド型」も88%の効果が得られることが分かりました。あくまで2回でワンセット。1回の接種では十分な効果が期待できないということです。
日本国内で「インド型」変異ウイルスは、14日の時点で、12都府県の117人しか確認されていませんが、『7月中旬には国内で「インド型」が過半数を占める』という専門家の試算もあり、決して油断はできません。
さて新型コロナについてもう一つ。厚生労働省の研究チームなどは、過去に新型コロナに感染した人の「後遺症」について調査を続けていますが、思った以上に深刻な実態が明らかになりました。

日本呼吸器学会のチームが、中等症以上で入院した512人に、退院から3か月後の症状を聞いたところ、30%の人が「息苦しさ」、25%の人が「倦怠感」、そして53%の人がいまも「筋力の低下」を感じていました。
また重症の人ほど、後遺症が残りやすく、重症化を防ぐことも課題といえます。
