手作りフリップ（10月20日放送）
「トルコが攻撃…クルド人とは」
軍事作戦の停止中にもかかわらずトルコからの攻撃を受けるクルド人。
『国家を持たない世界最大の民族』と呼ばれていますが、どういった人々なのでしょうか？
今の国境ができる前、オスマン帝国の時代のクルド人は、緑色の地域、山岳地帯に暮らしていて、第一次世界大戦でオスマン帝国が敗れると、戦勝国のイギリス･フランス･ロシアが中心になって、領土が分割され、クルド人の居住地域が、今の4つの国＝トルコ･シリア･イラク･イランに分かれることになりました。
そのクルド人の人口は3000万人から4500万人とされます。
クルド人の『願いは“国家の樹立”』と言われていますが、ただ一度だけソ連の支援でクルド人国家がイラン北西部に誕生しました。しかしそれも、わずか11か月で崩壊。 その後もそれぞれの国で差別や迫害を受け続けました。
その一つがイラク。
1988年サダム・フセイン政権によって、独立を求めたクルド人
およそ5000人が化学兵器で虐殺されました。イラク戦争などを経て、2005年クルド人自治区が正式に認められたものの、クルド人が支配していた油田地帯をイラク政府軍が制圧するということもありました。
そしてトルコでも、1980年代には国家の樹立を掲げた「クルド労働者党」がトルコ政府と武装闘争を開始。犠牲者はおよそ4万人と言われ、その後も衝突は続きました。
そのトルコ軍が、シリア北部からのアメリカ軍撤退を機に、9日、シリア北東部を実効支配するクルド人勢力への攻撃を始めたのです。
エルドアン大統領は、シリアのクルド人勢力を、トルコ国内の「クルド労働者党」と同一視し、「テロ組織」とみなして国境地帯から排除しようとしています。というのも、シリアでのクルド人による自治獲得の動きが強まれば、トルコ国内でも自治獲得の動きが強まる可能性があるためと、海外メディアは伝えています。
そもそもクルド人勢力は、アメリカ軍と協力し「イスラム国」掃討に大きく貢献してきたにも関わらず、なぜアメリカ軍は撤退したのか？
アメリカのメディアは「駐留予算を削減することが大統領選挙にプラスになる」とトランプ大統領の考えを伝えています。
トルコ側は「クルド人勢力の撤退を停戦の条件」としていますが、今後どうなるのかは全く不透明なままです。海外メディアは、今回のトルコの攻撃を、『クルド人に対する民族浄化だ』と非難しています。