手作りフリップ(8月18日放送)
「領土で緊迫・インドとパキスタン」
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今回、インドが直轄領とした、カシミール地方。
どういったところなのかといいますと・・・。
インド・パキスタン・中国の間に位置する国境地帯で、日本の本州と同じくらいの広さ。毛織物のカシミアの語源にもなっている地域です。このカシミール地方、現在は、このように、インド・パキスタン、そして、中国が実効支配していて、それぞれが領有権を主張しているという、かなり複雑な地域なのですが・・・。

・・・その理由は、1947年にさかのぼります。
当時、この地域は、イギリスの植民地であった「インド帝国」の一部だったのですが、「インド帝国」が、独立する際、ヒンズー教徒が多数のインドとイスラム教徒が多数のパキスタン、2つの国に分かれることとなりました。
カシミール地方も、どちらかに帰属することになったのですが、ここで問題が発生。 カシミール地方の住民はおよそ8割がイスラム教徒で、パキスタンへの帰属を望んでいたのですが、「インド帝国」の指導者である藩王は、ヒンズー教徒だったため、インドに帰属することを決定してしまったのです。そして、混乱を避けるため、特別な自治権が与えられました。

しかし、これをきっかけに、第一次インド・パキスタン戦争が勃発。
その後、国連によって停戦ラインが引かれましたが、第二次、第三次と次々と戦争が起こりました。
さらに、テロ活動や、中国軍による係争地への侵犯なども絶えず続いていて、 現在に至るまで、3か国が、それぞれ領有権を主張。 この軍事的緊張が、インド、パキスタンを核開発競争に走らせたという背景もあります。
こうした緊張が続いているにも関わらず、6日、インド政府は、今まで自治権を認めてきた、カシミール地方の一部、ジャム・カシミール州の自治権を剥奪し、直接統治としたのです。
なぜ、このタイミングなのか・・・理由のひとつとみられるのが、今年5月にインドで行われた総選挙です。

モディ首相が所属する与党は「ヒンズー至上主義」を提唱し、ジャム・カシミール州の自治権はく奪を公約に掲げることで圧勝。 イスラム教徒が多い、ジャム・カシミール州を、完全統治下に置いて、ヒンズー教徒の支持をより強めようとする狙いがあったとみられます。
また、自治権のはく奪によって、州外のインド人も、土地を購入できることになったのですが、ヒンズー教徒の移住により、イスラム教徒優勢の人口構成を変える目的があるのでは・・・とも指摘されています。
現在、インド政府は、ジャム・カシミール州の、電話や、インターネットを遮断。 州内に7万人以上もの治安部隊を配備し、集会なども禁じています。
さらに、500人以上もの市民や活動家らを拘束。海外メディアは、治安部隊による市民への発砲もあったと報じるなど、市民は生活すらままならない状態です。
核保有国同士で、一触即発の事態に直面しています。
