手作りフリップ（5月26日放送）
「EU選挙…欧州統合の理想は」
そもそも、EU＝ヨーロッパ連合とは、どういった経緯でできたのかといいますと…
ヨーロッパは第一次世界大戦の際には主戦場となるなど、絶えず戦争を繰り返してきた歴史があります。その歴史への反省から、不戦と平和に向けた取り組みが始まり、ヨーロッパを統合する、EUの誕生へとつながったのです。
そのEUで23日から行われている議会選挙。26日、深夜に結果が判明する見通しなのですが、どういった選挙なのでしょうか…
EU議会選挙は、加盟28か国で行われ、有権者はおよそ4億2700万人にものぼります。EU議会の定数は、751議席。加盟国の人口に応じて、議席が分配されるしくみで、最多はドイツの96議席です。議員の任期は5年。各国の選挙制度に従い、直接選挙によって選出されます。
このEU議会に加え、EUのトゥスク大統領や各国の首脳による「EU首脳会議」や、ユンケル委員長率いる「欧州委員会」などが、加盟国をまとめるための様々な施策を打ち出します。こうしたEUの運営にかかる予算は、加盟国の経済力に応じて負担することになっていますが、負担金の多いイギリスでは、EU離脱派の不満が高まっているのです。
そして、今回の選挙…
注視されているのが、こうしたEUに懐疑的な勢力の議席数が増えるのではないか？と予想されていることです。その勢力の代表格とされるのが…イタリアのサルヴィーニ氏率いる「同盟」や、フランス・ルペン氏が党首を務める「国民連合」、ドイツの「AfD＝ドイツのための選択肢」などの極右政党です。いずれも、EUが掲げる条約に、“NO！”を主張する勢力です。
また、イギリスでは、先月できたばかりの、ファラージ党首が率いる「EU離脱党」が、大きく躍進するとの見方があります。現に、最新の世論調査によると、EU議会選挙の投票先に、38％の有権者が「EU離脱党」だと、回答。メイ首相が党首を務める保守党は、わずか12％です。つまり、EU議会選挙において、右派やポピュリズム政党のような懐疑派が、大きく躍進するという皮肉な構図になってしまう可能性があるのです。
景気の低迷や、移民問題などに不満を持つ人々の受け皿となっている、EUに懐疑的な勢力。結果次第では、EUの方向性が変わる可能性も否定できません…