手作りフリップ(5月19日放送)
「大阪の古墳群が世界遺産に」
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大阪で初めての世界文化遺産に登録される見通しとなった、百舌鳥・古市古墳群。堺市・藤井寺市・羽曳野市にまたがり、大小合わせて49基の古墳で構成されています。
イコモスは「傑出した古墳時代の埋葬の伝統と、社会政治的構造を証明していて、顕著な普遍的価値がある」として世界遺産に登録するよう勧告しました。

日本には全国におよそ20万基の古墳がありますが、巨大古墳(全長)のトップ10のうち、赤で示した5基がこのエリアに集中しています。作られたのは、古墳時代の最盛期、4世紀後半から5世紀後半で、天皇や皇族、豪族らが埋葬されています。中でも日本で一番大きい、これまで仁徳天皇の墓とされてきた大山古墳が有名です。
これが完成当時の大山古墳の想像図です。盛り土の表面には石が敷き詰められ、様々な埴輪で飾り立てられています。

古墳にはさまざまな形がありますが、特に格式が高いとされているのが、四角と円の組み合わせの「前方後円墳」です。どうしてこの形になったのかは分かっていません。
では、内部はどうなっているのかというと、円の方の上段中央に石を積み上げた空間、石室があり、そこに石の棺がある形態が一般的です。ただ、さきほどの、大山古墳は明治5年、清掃中に四角の方からも石室と棺が発見されました。
また副葬品として、銅でできた甲冑やガラスのお椀、皿などが見つかっていますが、埋め戻されたということで、こちらは記録を元に復元したものです。

現在では宮内庁が「静安と尊厳を保持するため」として天皇陵などへの立ち入りを制限していて、考古学的な調査がほとんどできていません。
大山古墳では去年、内側の堤の3か所を調査したのみです。そのため誰が埋葬されているのかは確定しておらず、この点がどう評価されるか注目されていましたが、イコモスはこれを問題視しませんでした。
6月末からアゼルバイジャンで開かれるユネスコ世界遺産委員会で世界遺産への登録が正式決定となる予定ですが、今後は、人類共有の宝として「保存」とともに「調査」や「公開」の仕方が問われることになりそうです。
