ブログ

撮影レポート 羽野晶紀 篇

2018.01.28

東京は豊洲に誕生した新スポット、IHIステージアラウンド東京にてロングラン上演中の劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月。その撮影レポートの最終回を飾るのは“下弦の月”チームで<極楽太夫>を演じる羽野晶紀さんです。ヘアメイクを完了してスタジオに姿を現した途端、「おっ、キレーイ!」「イケてるやん!」「乙姫様だー、竜宮城!」「水の精みたい!」と、大好評。広いところに出てきてから、帯(前に垂らす部分)を7〜8人がかりで装着するのですが、その帯やヘッド部分には、さまざまな色合いの青い花と蝶の飾りがいくつもついていて、なんともゴージャス。高さが30cm近くある“花魁下駄”には左右両方からスタッフに手を握られておっかなびっくりでのったものの、「ふだんと景色が違うー!」となんだかとても楽しそうな様子です。

picture

今回の<極楽太夫>のために用意された小道具のひとつが白檀の扇。よーく見ると、着物や帯に描かれているものと同じ花が描かれています。その扇を開いてみたり、閉じてみたり、また半分だけ開いてみたりしながらポーズをとる羽野さんに、アートディレクターの河野真一さんが「暑くない?」と声をかけると「暑くないよー」とにっこり。

picture

胸元の青い花をアンニュイな感じで見つめる姿には「めっちゃ綺麗!」という言葉以外にも「元祖! 初代!!」という声がかかります。その通り、羽野さんは『髑髏城の七人』の記念すべき初演で、この<極楽太夫>を演じていた“オリジナルキャスト”なのです。「あれからなんと27年も経つというのに……何の違和感もないね!」とスタッフ陣も、この仕上がりにはいかにも満足げ。

picture

picture

カメラマンの野波浩さんからは「ゆっくり正面を向いて、目線をカメラに」「目はもう少し細く」「口角を上げて」などなど、細かい指示が飛びます。そのたびに表情を変え、クールに薄く笑みを浮かべる羽野さんに「色っぽいじゃん!」と河野さんが声をかけると、その声に反応して思い切りニコッと笑ってしまい、その無防備な笑顔がモニターに映し出された瞬間、周囲からは笑い声と共に「なんだかキュンとしちゃった!」との声も聞こえてきます。

picture

一度、高下駄から下りてきてモニターチェックをする羽野さんは、「大丈夫、イケてる、イケてる」と周りから言われながらも自ら「あら、やっぱり顔が長く見える気がするなあ」などとつぶやいては、あはは!とお茶目な笑顔を振りまいています。再度、高下駄のもとに戻ると「ハッ!」と掛け声と共に勢いをつけて上がり、両脇のスタッフの手をガイドにバランスをとる姿には「なんだかこのまま歌い出しそうだね」との声もかかります。

picture

全身が写るショットでは、真横を向くパターンでぐっと背中を反るポーズにも挑戦。撮られる側の身体的にはかなりしんどそうな姿勢なのですが、その分とても美しく見える写真になります。野波さんからの「右手を前にできるかな。今度は左手を少し下げて」「顎を少し上げてからゆっくり下げていって」「目線はずっと遠くの方を見て」「上に出ているお月さまに何かを祈っている感じで」などというさまざまなリクエストには、シャッター音のリズムに合わせるようにしてパッパッと鮮やかに対応していく羽野さん。「ちょっと肩が張ってきた?」と河野さんが気遣ってフォローすると「ふふっ」と笑いながら肩をキュッキュッと上げ下げ。仕草からして、何もかもがキュートです。さらに野波さんから「腕をもう少し上げられるかな?」と聞かれると「あのね、着物の袖がここまでしか上がらないの。これでも、がんばって上げてるの」と、羽野さん。「よし、じゃあ、もっとがんばっていこうか!」と励ます野波さんの声に、再びスタジオ中が笑いに包まれます。

picture

長時間にわたる撮影を終えた後の羽野さんを直撃、なんと17年ぶりとなる劇団復帰のこと、今回の企画への想いなどについて、語っていただきました。


——17年ぶりの劇団復帰ということで。おかえりなさい(笑)。
ありがとうございます。なんだか、出戻りみたいな感じですよね(笑)。

——今日、久しぶりにこうして新感線でヴィジュアル撮影してみての感想はいかがでしたか。
すごく素敵な衣裳で、綺麗にしていただいて。

——本当に、お綺麗でした。
ありがとうございます、ほどよい筋肉痛です(笑)。そういえば、前もこんな感じだったなあって思い出しました。

——今回の『髑髏城の七人』で復活、というのはどんな流れで?
いや、劇団がもうちょっとこじんまりしてたらもっと早い時期に戻れたとは思うんですけどね。私がいないうちに、どんどんすごいことになっちゃっていたので。本公演は毎回すごく長い期間になってしまうし、さらに地方公演も長くて、1カ月とか2カ月かかったりしていたじゃないですか。

——それで、なかなかチャンスがなかった。
そうなんです。まだ子供も小さかったですし、それでどうしてもタイミングが合わなくって。

——それで、17年も経ってしまった。
そうです、そうです。もう、劇団もみるみる立派になっちゃってたから。

——じゃ、今回は豊洲での公演だけだったので。
それなら、いけるかもってことに。

——それで、とんとん拍子で決まった?
とんとん拍子ではないですけどね。最初はどんな作品をやるのかもわからなかったですし。だけど私の場合、初演の『髑髏城〜』に出ているんですもんね。そこから勘定したら、ものすごい前の話ですよ、27年前か。もともとは古田(新太)さんが一人二役だったこともあるし、イメージがかなり違いますけど。最近の『髑髏城〜』は、シュッとしてるから。私が出ていた時のは、こんなにシュッとしてなかったと思う。

——でも、その初演で演じていた<極楽太夫>をまたやっていただけるわけで。“初代”の復活だと、みなさん喜んでいると思います。
そう言っていただけると、ちょっと光栄ですよね。私自身、あまり再演自体やったことがないんですよ。だから以前やった役をこうしてもう一回やれるということ自体は、私もうれしいです。もう昔のことは、ほとんど忘れちゃいましたけど。

——初演時のことは、全然覚えてないですか?
東京公演は、池袋の東京芸術劇場の前にテントを張って上演したんですけど、途中であの噴水に誰かが落ちたなってことは覚えてます。当時は、自力で現地集合現地解散だったんですけど、東京にはそれほど来たことがなかったから怖くてね。池袋にもその時に初めて降り立ったんじゃなかったかな。裏方の仕事からなにから全部自分たちでやってたから仕込みが大変だったなとか、役や芝居の内容はほとんど覚えてないですけど、そんなことばかり覚えていますね。台本も自分が出ているところだけしかもらっていなかったから、通し稽古になるまでどんな物語なのかすら、わかっていなかったし(笑)。そのまま稽古通りやればいいんだっていうような状態だったから、どんなお話だったのか覚えていないんですよ。あの時、わからなかったことを今回ようやくちゃんと理解できそうです。

——そう考えると、昔とはかなり稽古の様子も違うでしょうね。
でも、いのうえさんには私、いつも怒られていた記憶しかなくて。本番中もずっとビクビクしながらやっていたんですから、間違うたら怒られるやろうなあって思って。だから、今回もちょっと怖いんです。

——いのうえさんっていつもニコニコしているイメージで、怒っているところを見たことがないですけど。
あら、本当に? なんで? 身体も丸くなって人間も丸くなったの?(笑) でも相変わらず頭の中ではアホなことばっかり考えてるんでしょ? そこは変わってないんだ、よかった(笑)。だけど、私ブランクあるし、絶対また怒られると思う、だからホンマに怖いねん。

——じゃ、羽野さんだけが怒られたりして?
あははは! ありえる、ありえる!

——17年でいのうえさんだけでなく、劇団員の方々も変わりましたか?
劇団員に関してはみんな年々、舞台を観るたびに、前と同じ感じでずっと生きてるのがすごいなーって思ってます(笑)。

——どういうことですか(笑)。
だって全員、見事に変なおじさんと変なおばさんに仕上がってるじゃない? すごいですよね。だからこそ、ゲストがみんな、よりシュッと見えるんですよ。たけぞうくん(インディ高橋)も、いっそん(礒野慎吾)も、村木(よし子)ちゃんの仕事っぷりにも、いつもすごく感動しています。

——そして、“上弦の月”の<極楽太夫>は高田聖子さんです。
それもホント、ありがたいです。一緒に稽古できるから、心強いですしね。今回、出ることになった時は「よかったやーん!」って言われました(笑)。

——では、お客さんへ向けて、羽野さんからお誘いメッセージをいただけますか。
まあ、一生懸命やります。……一生懸命やります。(小声で)

——2回言いましたね(笑)。
はい。だって楽しんでやれる境地までは、まだ当分は行けないと思いますから。本番に入っても、余裕なんてきっと出てこないだろうなあ。せめて、みなさんにご迷惑をおかけしないようにがんばります。

——じゃ、あとは果たして本当にいのうえさんに怒られることがあるのか、どうか。
そうですね。どうなるか、楽しみにしててください(笑)。