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撮影レポート 宮野真守 篇

2017.12.02

IHIステージアラウンド東京で上演が続いている劇団☆新感線の『髑髏城の七人』、“Season花”、“Season鳥”、“Season風”に続く、第4弾“Season月”は“上弦の月”と“下弦の月”に分かれて挑む、ダブルチーム制となります。その“下弦”チームのトップバッターを務めるのは<捨之介>役の宮野真守さん。新感線には、これが記念すべき初参加となります。

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なぜか「よう〜」と言いながら控室を出たところで立ち止まり、バシッとひとポーズ決めてからの宮野真守さんの登場に「おおー!」と瞬時にテンションが上がるスタジオ内。その明るいキャラクターは、まさに捨之介そのままのような雰囲気です。それでいて、いつもの捨之介ともちょっと違う雰囲気があり、「あ、前髪があるからだ〜!」と気づいた女子スタッフたち。ヘアは高い位置で髪をしばっているボリュームのあるスタイルで、切れ長風のアイメイクの効果もあり、宮野さんならではの色気あるいでたちには「エロい!」「ヤバイ!!」などと早々とあちこちで歓声が上がっています。

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今回の捨之介の武器は番傘。小道具担当の高橋岳蔵さんが用意した傘は4本あり、その色や大きさを確認したアートディレクターの河野真一さんが、その中から明るい色の一本をチョイス。その傘を肩に担いでみたり、開いてまるで満月を背負っているかのように立ったり、裾を自らはしょって素足をチラ見せしたり。チラッと見える着物の裏地の赤も効いています。“上弦”の捨之介・福士蒼汰さんの衣裳の差し色が青だったのに対して、“下弦”の捨之介の差し色は紫。デザインはそっくりでも、差し色を変えただけでキャラクターの違いが浮き出てくるのが不思議です。

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河野さんが「ここから、風を入れよう」と声をかけると、早速ヘアメイク担当の宮内宏明さんがブロワーを駆使して絶妙な微風を起こし、垂らした毛束を揺らします。そこでカメラマンの野波浩さんから「もうちょっと、女を口説く顔にしてみてよ」と言われた宮野さん。照れたのか「アハハハ!」と、つい人懐こい笑顔になってしまい、その陽気な雰囲気につられて周囲のスタッフたちからも自然と笑顔がこぼれます。

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「次は、左手を懐手にして」と河野さんが注文すると、衣裳スタッフに腕を胸元から出すようにする懐手の仕方を指導され、出した左手で顔を触ったりする宮野さん。腕を抜いた左袖がひらりと風に揺れ、少しワイルドさが加わってきました。野波さんから「ちょっと自分で好きに動いてみてくれる?」と言われると「はい、いろいろ動いてみます!」と、シャッター音に合わせるかのようにして身体の捻り具合や目線、手の位置を次々に変え、ポーズを工夫。さらに口を開けたり、歯を食いしばったりしながら、さまざまな表情を披露していきます。

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傘を使いながら動きのあるショットを撮る段階になると、アクション指導として横山一敏さんが登場。その場で、傘を使った簡単な殺陣をつけていきます。傘を開いた状態で後ろを向いて立ったところから始め、振りむいて前を向き、傘をたたんで下ろし、手のひらにプップッと唾を吐いてから、足を開いてぐっと腰を落とし、刀を抜いて構える……。両手で構えた刀がギラリと照明を反射し、なかなかの迫力。宮野さんの動きに合わせて、野波さんも左右、前後に動きながらシャッターを切っていきます。「かっこいいじゃん、イケるよ!」との声に、自然と拍手が巻き起こります。

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たっぷりと時間をかけた撮影が無事に終わった直後、宮野さんにこの日の感想、および作品への想いや意気込みを語っていただきました。

——まずは、本日の撮影の感想からお伺いしたいのですが。
実は僕がスタジオに入ってきた時、ちょうど早乙女太一さんが撮影中だったので、その様子を先に見ることができて、とても嬉しかったし、衝撃だったし、感動しました。このスケールの大きさなのか、ヤバいなーと思うと同時に、自分のテンションも上がってものすごくワクワクして。そのあとで実際に捨之介の衣裳とカツラをつけ、メイクをしてもらった瞬間、スイッチが入りましたね。自分が『髑髏城の七人』の捨之介を演じるなんてことは、まるで夢みたいで実感のないものだったんですけど、この撮影中にどんどん自分の中で形になっていくのを感じられて、とても楽しかったです。ふだん経験している撮影とは雰囲気も違いましたし、着物でのポージングは初めてではないのですが、自分の中のレパートリーとしては多くはないので、いろいろと試行錯誤しながら臨みました。

——すごくさまになっていましたし、あちこちから「カッコイイ!」って声が上がっていましたよ。
本当ですか! だったら良かった〜、ありがとうございます!

——そもそも、今回の『髑髏城の七人』へのオファーを聞いた時はどう思われましたか。
いや、冗談かと思いました(笑)。まさか自分にそういうオファーをいただけるなんて思ってもみなかったことだったので。でも、このチャンスは絶対に掴みたいとも思いました。『髑髏城の七人』ということは、あの立ち回りがあるのか、しかも未知の新しい劇場で? それはきっと大変だろうな!とは思ったんですけど(笑)。でもそこで一歩引くのではなく、自分にチャンスをくださったことに感謝して立ち向かいたいと思いました。

——しかも“Season月”はダブルチーム制で。
そうなんですよ! “Season月”が一番、まだ見ぬ『髑髏城』になりそうですよね。過去もいろいろな形で『髑髏城の七人』を上演されてきていますけど、きっと今回だからこそできるチャレンジなんだと思います。

——作品自体はご存知でしたか?
はい、でも映像でしか観たことがなかったので、ナマで観たのは“Season花”の時が初めてでした。資料でもいろいろなバージョンを観させていただきましたが、最初に観た1997年版がめちゃくちゃ面白かったです。2011年版の“ワカドクロ”もまたそれとは全然違う雰囲気だったので、きっと今回もこういう風に演出を変えられるんだろうな、すごいなーと思いました。

——先ほど、撮影中にいのうえひでのりさんとも遭遇されて。
はい。ビックリしちゃいました(笑)。わー、すんません、わーいのうえさんだ!みたいな。「おっ、カッコイイじゃん」っておっしゃっていただけた気がするので(笑)、とてもうれしかったです。

——「これはイケるね!」ともおっしゃっていましたね。
ね、そうですよね、言ってくださってましたよね!(笑)本当かなあ、ドキドキします。

——“上弦”と“下弦”のチーム制だと、お互いにライバル心が湧いたりもするんでしょうか。
どうなんでしょうか・・・。でも今のところ僕自身はそういう気持ちはあまりなくて、どちらかというと逆にうれしいですよ。一緒に向かっていける仲間が大勢いるような、そんな気分ですし、仲間たちと一緒に並んで挑戦できるのは心強いです。とはいっても頼ってばかりいるわけにはいかないので、ちゃんと自分でしっかり真ん中に立ち、自分のチームを引っ張っていけるようになりたいですね。

——中島かずきさんの脚本に取り組まれるのは『戯伝写楽—その男、十郎兵衛—』(2011、2012年)以来だと思いますが、中島さんの書くセリフの魅力はどういうところに感じられますか。
『戯伝写楽』の時にも思ったんですが、世界観の作り方が非常に巧妙でキャッチーなんですよね。物語に史実をからめて、実はこうだったのかもしれないと思わせるファンタジー感も楽しくて、設定から心を掴まれてしまうんですよ、かずきさんの脚本って。まさに『髑髏城』もそうだなと。まさかの展開があって、あれが実は誰で、これが実はこうだったなんてことがわかった瞬間は、震えますよね(笑)。そういう展開の持って行き方が絶妙ですし、それでいて、その設定の華やかさの奥底には人間の業が描かれている。演じる側にいた時は苦しかったけど、観ている側の時にはそこに心震わされてしまっていました。あ、なんだか偉そうに言っちゃったかも、恥ずかしい(笑)。

——いえいえ、きっと中島さんも喜びますよ。
「へえ〜、そんな風に思ってたの、宮野くん?」って言われそうです(笑)。

——そして宮野さんは、もちろん声のお仕事や歌のお仕事もやられているわけですが、今回のような舞台のお仕事ならではの醍醐味というのは、どういうところに感じられていますか。
先日、大きい舞台でやらせて頂いた時は、久しぶりだったこともあってすごく楽しかったんですよ。自分がステージに立ち、お客様の前でパフォーマンスをするということはずっと長くやってきていますけど、お芝居で長い期間舞台に立ち表現をするというのはとても刺激的でした。舞台に立っているのは、ある意味自分自身ではないわけですし。

——役を演じているから。
ええ。ライブの時は、ずっと自分ですからね。役として生きるということはもちろん声優のお仕事でもたくさんやってきているので、そこに違和感はないんですが、ナマで自分の身体を使い、あらゆる神経を張り巡らして、役として表現をするということは、改めてとても勉強になりました。そう考えると、お芝居の醍醐味としては役者として生きること、生を感じることというか。舞台にいる間はすべてを見られていて、その2時間ないし3時間の上演時間の間は、ずっと舞台の上で役として生き続ける。しかも同じことをやりつつも、やっぱり毎日違うところが必ずあるので、そこにもライブ感、生きているなあってことを実感しましたし。そういう刺激が、自分には必要なんだなとも思いました。

——そういう刺激、今回の『髑髏城〜』でも。
たくさんありそうですね。ふふふ。むしろ、刺激しかないかもしれない(笑)。

——では、最後にファンのみなさんへお誘いメッセージをいただけますか。
間違いなく宮野真守史上、とてつもなく大きなチャレンジになると思います。なので、僕の戦っている姿をぜひみなさんに目撃していただきたいです。そして観に来てくださったお客さまを必ずアッと驚かせるような表現をしたいですし、しっかりと楽しんで帰ってもらいたいと気合十分でおりますので期待してください。とにもかくにも作品自体、この企画自体がとてつもなく面白いですから。そしてぜひ、福士くんのほう、“上弦の月”も観に行ってくださいね(笑)。いやホント、どちらも絶対に面白いはずなので、是非両方観ていただきたいです!