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アワブロ01 『Season鳥 始動』

2017.06.23

『髑髏城の七人』Season鳥を楽しみにお待ち頂いている皆様、こんにちは! 劇団☆新感線の粟根まことです。通常の新感線の公演の場合、よく私は「アワブロ」という稽古場レポートを書いているのですが、今回はなにしろ公演期間が長い! 二ヶ月以上もあるんですよ。
というワケで、こちらのTBSさんの公式ブログをお借りして、稽古場レポートというよりは、稽古場や劇場の現場レポートとして、ボチボチと、ダラダラとお届けしたいと思います。

客席が360°回るという本邦初の画期的劇場・IHIステージアラウンド東京のこけら落としとして連続上演されている劇団☆新感線『髑髏城の七人』花鳥風月。すでに“Season花”も無事に千秋楽を迎え、現在は“Season鳥”の準備に入っております。
客席が回る劇場と聞いても想像がつかないかもしれません。でも“Season花”をご覧頂いた方ならお判りでしょう。客席が回るってああいうコトです。ガンガングルグル回るというよりは、向く方向によってシーンが変わり、次々とシーンを繋いでいくという感じです。

このシステムの利点の一つとして、セットを作り置きにできます。通常の舞台の場合、シーンが変わるとセットを一旦バラして次のセットを組みます。舞台は一つしかありませんからね。これを「飾り替え」と言うのですが、そのためにセットは組みやすくバラしやすい構造に作られているのですね。
しかし、この劇場では客席の方が回ってくれるので、セットを置きっぱなしにできます。しかもかなり凝った造りのセットを。シーンごとにバラす必要がありませんからね。もちろん多少はセットチェンジもありますが、通常の舞台よりは楽になります。

では、どうやって稽古しているのか気になりませんか? そんな凝った造りのセットを、稽古場ではどのようにしているのか。次々と変わるシーンをどうやっているのか。
ええと、答えとしてはいつもの稽古と同じです。簡易なセットを組んではバラし、バラしては組んでいるのです。こんなカンジ。

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居並ぶは今回の髑髏党幹部の四天王さまがた。あまり強そうには見えませんが、これでも偉い幹部なのです。いや、四天王の話はいいでしょう。注目して頂きたいのは彼らが立っている簡易セットです。
このように、汎用性のあるパネルや高台や階段で疑似セットを組んでいるのです。別のシーンではこれらの要素を組み直して別のカタチにします。要するに、普段の稽古と同じですね。
地面が凸凹している荒野などのセットの場合はどうでしょう? ええと、それは「あるテイ」、つまり凸凹しているつもりでの稽古になります。もちろん大きな段差にはビニールテープで「バミリ」と呼ばれるガイドラインが引かれていますが、その段差もあるテイです。

そんなワケで、稽古場にはバミリのビニールテープがいっぱいです。場面によって色分けされたラインがビッシリと貼られています。

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これもまあ、いつもの稽古場の風景なのですが、今回が決定的に違うのは「これらのラインが引かれているのはそれぞれ別の舞台の上である」というコト。いつもの舞台なら一つの舞台をシーンごとに共有しますから、バミリも同じ舞台の床に描かれます。しかし、今回は客席の外周をグルッと取り巻く大きな舞台ですから、ビニールテープの色ごとに別の舞台に描かれることになります。
それで何が困るのか? 実は、我々俳優はこのバミリを立ち位置などのガイドとしても使っているのです。例えばあるシーンの椅子のバミリなんだけど、別のシーンでは私の立ち位置のガイドとしても使っちゃう、なんてコトがあるのです。まあ、勝手に使っちゃってるんだけなんですけど、あるんだから使おうよ。
ところが! 今回はさっきも言ったように別のシーンのバミリは別の舞台面に描かれているのです。だもんですから、稽古場で立ち位置の目安として勝手に使っているバミリは、この舞台面には描かれていないのですよ。ああ、困った! 勝手な悩みですが困った! それが今回戸惑っているコトです。

まあ、そんな私の困惑は別として、稽古は順調に進んでおります。トリでは歌と踊りがたくさん入るということで、振付やら歌稽古やら、ハナよりもやることが多いんですよ。
今回の振付はMIKIKOさん。そう、あのPerfumeの振付や「逃げ恥」の恋ダンスなどでおなじみの、あのMIKIKOさんです。新感線としては初めての、いのうえ演出作品としては2012年の雪之丞一座〜参上公演『サイケデリック・ペイン』以来二度目のコラボレーションとなります。
やはり無界の里の遊女たちのシーンに踊りが多いのですが、ダンサーのみなさんや極楽太夫役の松雪泰子さんたちとディスカッションしながら振付は進んでいきます。

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マイクを持ちながら、歌いながらの振りを、上手くはまるように相談しながら確認していきます。
そして、こんな華やかなダンスシーンが出来上がりました。

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こんなカンジで稽古が進んでいるトリドクロ。間もなく開演です。ハナとはひと味違った髑髏城の七人をどうぞお楽しみに!