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撮影レポート 大原櫻子 篇

2018.08.17

7月23日(月)についに開幕した新感線☆RS『メタルマクベス』。豊洲では今、IHIステージアラウンド東京の、客席が360°回転するという特殊な機構を活かして、新生『メタルマクベス』の世界が日々繰り広げられています。現在上演中のdisc1続いて9月に開幕するdisc2へのワクワク度も同様に高まる一方ですが、そのdisc2のランダムスター夫人役に扮するのは、シンガーとしても女優としても着々と活躍の場を広げている大原櫻子さんです。ここでは、そのチラシ用などの宣伝ヴィジュアル撮影時の模様をレポートします!

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控室から出てきた姿を目にした途端、スタジオ内のスタッフたちが口々に「カワイイ!素敵!!」を連呼していたのが、大原さんのランダムスター夫人の誕生の瞬間でした。黒ずくめの衣裳はこれまでの大原さんのイメージとは真逆と言っていいほどで、とにかく新鮮。それでも「夫人、というよりプリンセスって感じだなあ」という声も出たように、黒ずくめであっても素の表情の時にはやはりそのキュートさは消しようがありません。

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よく見ると背中部分がシースルー素材になっていて、セクシーさに関してもオフィシャルなイメージよりかなり増幅していそう。今回、衣裳を手がけているのはスタイリストの伊賀大介さんで、このdisc2のランダムスター夫人のために用意された衣裳は、紫のファーの付いたオーガンジーのガウンのような羽織ものや、指先が出ているタイプの手袋などなのですが、レース素材が多く使われており、ダークな印象の中に可愛さがプラスされているデザインのものが多い様子です。

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アートディレクターの河野真一さんから「お願いしまーす!」という声がかけられると、立った姿勢の全身ショットから撮影が開始されました。それまでの柔らかな笑顔がキュッと引き締まり、クールな表情になる大原さん。羽織ものをファーの部分を活かして片方だけ肩にかけるスタイルにしたり、手の位置を変えて表情をつけながら、さまざまなポーズをとっていきます。

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カメラマンの岡田貴之さんの「少し顎を上げてみて」という注文に合わせて、大原さんがスッと顎を上げると、それだけで一気に大人っぽいムードに。左から当たるライティングの影がピンク色になっているのも相俟って、妖艶さも出てきました。大原さんの事務所スタッフも「なんだか、知らない子を見ているみたい……」と驚くほど、ふだんとのギャップが大きくなってきています。

撮影の途中で角度が変わると、ヘアメイクの宮内宏明さんがフロアに出てきて、大原さんの右耳のイヤリングが見えるように髪をアレンジ。この髪に赤いメッシュが入っているところも、クールな表情にいい効果を出すポイントになっています。赤い唇も、かなり印象的。風を入れての撮影になると、伊賀さんが自らブロワーを持ち、シャッター音に合わせて絶妙な風を巻き起こして髪や衣裳の裾を巧みに揺らしています。

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セットチェンジをしているスタンバイ時間に、モニターチェックをしに来た大原さん。「うわっ、こんなの見たことなーい!新鮮!!」とはしゃぐ姿は、先程のクールさとは真逆の可愛らしさ。その笑顔につられて、周囲で見守っていたスタッフたちもいつも以上にニコニコと柔らかな雰囲気になっています。

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続く撮影では革張りの黒いソファの背もたれに腰をかけるポーズをとることに。
片足を上げての大胆なセクシーポーズにも果敢に挑戦、ここではラメの入ったストッキングがその効果を増大させます。岡田さんが「肩が出ていた方がいいな」と言うと、伊賀さんが羽織もののまとわせ方を微妙に調整し、美しいラインをその場で作り出していきます。「腰に手を当ててみてもいいかも」と言う伊賀さんに、モニターで全体のバランスを見ていた河野さんも「いいぜいいぜ、カッコいいね」とOKサイン。

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撮影終了後には、大原さんに今回の舞台への想いを語っていただきました。

——『メタルマクベス』への出演の話を聞いた時、まずどんな思いを抱かれましたか。
シェイクスピアの『マクベス』という作品自体に、もともとすごく興味はありましたが、今回は『メタルマクベス』ということでしたので、前回の松たか子さんが出られていた舞台をDVDで観させていただいて。『わっ、これをやるのか!』と、すごくビックリしました(笑)。自分にない要素の役ですし、これまで経験したことのない役柄でもありますのですごく楽しみですし。お声をかけていただいて、本当にうれしかったです。

——初演のDVDを観た時、相当驚いたのではないですか?(笑)
そうですね(笑)。でも宮藤官九郎さんの世界観が何より抜群に面白かったですし、単にカッコ良かったり、ゴージャスなだけじゃなくて。すごく笑えるところもありますし。宮藤官九郎さんの作品に出させていただけるというのも、すごく光栄だなと思いました。新しい脚本が今からすごく楽しみです。

——初演とは、少し変わるかもしれないですしね。
それに今回は3パターンに分かれているので、ひとつひとつ違った色の『メタルマクベス』をお届けできたらいいなとも思っています。大原櫻子の『メタルマクベス』というのも一色、出せたらいいなと思っているんですけれども。

——劇団☆新感線にはどんな印象をお持ちでしたか。
『髑髏城の七人』を、IHIステージアラウンド東京に何度か観に行かせていただいていて。もう観るたびに毎回、圧倒されていました。演出もそうですし、衣裳とかセットとか、幕が開いた瞬間から一気に世界に引き込まれる印象がありましたね。今回の『メタルマクベス』という、このド派手な作品でもぜひお客さんの心をがっつり掴んで、シェイクスピアの世界観に持って行けたらいいなと思っています。

——この作品に出ると決まってから、新感線の作品をご覧になったんですか?
いえ、その前から新感線のお芝居は観に行かせていただいていました。私と同世代の女優さんも客演で出ていらっしゃったりしていて、そこで立ち回りをされている様子とか、私はまだあまりやったことはないですけれども、勉強させていただいたりして。いつか、ああいうアクションとかもやってみたいなと思っていました。ですので、今回はこういった形で参加させていただけるのが本当にうれしいです。

——でも今回のランダムスター夫人の役は、大原さんのふだんのイメージとは全然違うキャラクターになりそうですよね。
ふふふ!そうですねえ。今日も撮影をしながら改めて、ふだんの自分にはない雰囲気がどんどん生み出されていく感じがありました。だから、なるべく撮影中はしゃべらないようにしていたんですよ。

——IHIステージアラウンド東京という、この特殊な劇場についてはどんなイメージを持たれていますか。
観客として観に行かせていただいた時、自分の周りの360°がすべてステージになっていて、新感覚ですごい劇場だなと思いました。なんかちょっと、アトラクションに乗っている気分にもなりますよね。『メタルマクベス』という作品は、とてもあの劇場に似合いそうな気がしています。観ている側も躍動してくるようなステージングでしたしね。それを体感として楽しむことができる劇場なんじゃないかなと思います。

——客席で観ている時も、次は自分があそこに、と思いながらご覧になったんですか?
もちろんそれはありましたね。ものすごく、いろいろなことを考えながら観ていました(笑)。「あれって、裏でどれくらい走り回っているんだろう?」とか。相当、ゼーハーゼーハーする作品になるんだろうなと覚悟しています。

——体力面の自信はいかがですか?
いやあー、がんばりますよ、今から鍛えます!(笑)

——でもコンサートもやられているから、大丈夫そうですね。
まあ、そうですね。ステージでは、よく踊ったりもしているので。だけど、とにかくあの劇場でどう動くことになるかは、まだ未知の世界なので。今までにない挑戦ができるんじゃないかなと、思っています。

——ランダムスター夫人は、つまりマクベス夫人の役まわりになると思うのですが。マクベス夫人というと多くの演劇人が憧れる役でもあって、それを演じるということに関してはいかがですか。
そうですね、きっと脚本によってどういうマクベス夫人になるかでも、すごく変わってくると思うんですけれど。でも私自身も、今回のお話をいただいた時から「わっ、マクベス夫人を私が?」って驚いていたくらいですからね。だけど確かに難しい役ではありますが、今22歳の私ができるマクベス夫人ということで、逆にオリジナリティに溢れるキャラクターとして演じられたらいいなという風に思っています。

——大原さんにしかできない、マクベス夫人。とても楽しみです。
ふふ、なんだか今、自分でハードルをものすごく上げてしまった気がしますが(笑)。

——シンガーとしての活動とは別に、こうして舞台女優としてもお仕事をされることの面白さは特にどういうところに感じられていますか。
やっぱり、まずは役になりきって歌うというところでしょうか。舞台(演劇)の時には、ひとつ仮面をかぶって歌っている感じがあるんですよね。自分が歌うというのとはちょっと違う感覚がありますし、さらに舞台(演劇)で歌う時のほうがなんとなくナマ感が強くあるような気がします。

——大原さんがいつも歌われている楽曲から考えると、ヘヴィメタルを歌うというのはかなりのギャップがあるのかなとも思いますが。
ふふふ!ですよね!(笑)

——ヘヴィメタル、ハードロックというジャンルはお好きですか?
ふだんはあまり聴きませんが、でもやってみたいという願望はあります。ヘドバンとか、ガンガンやりたい!(笑)そのやりたい願望を、今回の作品でぶつけられたらいいなと思っています。

——今回は3パターンの『メタルマクベス』があり、同じ役を2人の方と競演するということに関してはいかがでしょうか。
大先輩のおふたりが演じるランダムスター夫人を観てみたいという想いはもちろんあるんですが、逆に観てしまうと影響されてしまいそうな気もして、迷いますね。でもどれも違った魅力のある作品に絶対なるでしょうし、その違った魅力をぜひ出せたらいいなと思っています。でも私自身としてはもうひたすら、目の前のことを一生懸命がんばるだけです、まずはそれに尽きますね!