担当:崎山敏也
都内の体育館で月一回、パラリンピックの正式種目、ゴールボールの練習会「TOKYOゴールボール道場」が開かれています。
ゴールボールとは、目隠しをした1チーム3名のプレーヤー同士がコートの中で、鈴の入ったボールを転がすように投げ合って、味方のゴールを守る一方、相手ゴールにボールをいれることを目指します、アイシェードという目隠しは、完全に見えません。コートのラインは、たこ紐が張ってあって、触って確認します。
「TOKYOゴールボール道場」を指導している一人が、ゴールボール男子日本代表主将の信沢用秀さん。信沢さんは総合人材サービスの「アソウ・ヒューマニーセンター」が運営する「障害者スポーツ選手雇用センター」に所属し、具体的には「フコクしんらい生命保険」でマッサージの仕事や社会貢献事業として、小学校でのゴールボール体験会も担当しています。
信沢さんを応援しようと、「アソウ」と「フコク」の二つの会社が、練習会をやっていたのですが、それを、「もっとゴールボールの面白さを広めよう」と今年の4月から、「東京ゴールボール道場」として、広く一般に参加者を募っているんです。
取材した日は信沢さんの出身校、文京区の筑波大学附属視覚特別支援学校で、学校の先生から指導を受けながら、視覚に障害のある生徒たちとの対戦を交え、練習していました。晴眼者(視覚に障害がない)のチームでは、時折、味方同士でぶつかったりして、笑い声も起きます。先生は、「自分がどこにいるのかわからなくなったら、床をたたいたり、声を掛け合って自分のいる所を知らせてください」と指導します。
「フコクしんらい生命保険」の小松原さんによると、音のするボールに飛びついて止めるのは、身体能力も多少必要だけど、声や音を頼りに、相手の動き、こちらのフェイントなど、かなり頭を使って戦略をたて、攻撃している、ということでした。また、「アソウ・ヒューマニーセンター」の牟田さんは「目隠しをして、最初から視覚に頼らないコミュニケーションをするので、初めて会った人ともあっという間に仲良くなれる、プレイを通した人間関係が深まる競技だ、と」話していました。
参加者に話を聞くと、1年程度経験のある二人の男女は「視覚を奪われると、距離感、方向感覚が全くない状態になる。そこが難しいですが、音で相手にフェイントをかけたり、相手を出し抜く戦略があるところが面白いです」「床にリボンでしるしがついてるけど、みつけられなくて、そういうときに、ボールが来ると、パニックになります。さっき一本ゴールできたんですけど、ゴールできた時に、難しい中で入れられたという達成感があります」と難しいながらも、面白さを見つけてきたようです。また、この日、初めてやってみたという女性は「なんかすごく音を聴くようになりました。私運動は苦手ですが、これならできるかもしれない」と話していました。
気軽に始められるそうな「ゴールボール」ですが、最後に、信沢選手に話を聞くと、「いろんな人がゴールボールを経験してくれることで、ゴールボールを知ってもらえるし、やってくれることは、僕としてはありがたいです。観客の方は、選手たちがしゃべっていることを聞いてほしい。何を頼りに動いているのか、どういう狙いを持って試合をしているのか、わかるので、ボールの行方を追うというよりは、選手の声を聴いて、そのうえで目で見てほしいです」と話していました。
この「TOKYOゴールボール道場」に参加したい方は、「TOKYOゴールボール道場」で検索してみてください。ボールと目隠し(アイシェード)は用意しているそうです。
関連情報・お問い合わせ先
- TOKYOゴールボール道場
tokyo.goalball@gmail.com(牟田さん)