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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

番組からのお知らせ
プロフィール

堀尾正明

堀尾正明(ほりおまさあき)

生年月日:1955年4月24日
出身地:埼玉県
趣味:ゴルフ

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大学在学中に文学座附属演劇研究所に入り、研究生としてミュージカルに出演。81年にNHKにアナウンサーとして入局、初任地はNHK北九州放送局。
東京へ異動後は芸能畑を担当し、95年開始の『スタジオパークからこんにちは』メインキャスターとなり、人気を博す。
00年『NHKニュース10』のキャスターに抜擢され報道番組を担当。その後『サタデースポーツ』『サンデースポーツ』担当に廻りスポーツ畑へ。2002 FIFAワールドカップのメインキャスターを担当。

長峰由紀

長峰由紀(ながみねゆき)
TBSアナウンサー

生年月日:1963年6月28日
出身地:埼玉県
趣味:演劇鑑賞、相撲観戦

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●出身高校:埼玉県立松山女子高等学校
●出身大学:立命館大学 文学部 中国文学科
●身長:153cm
●血液型:O型
●入社年度:1987年

人権TODAY

人権に関わる身近な話題をテーマに掲げて、ホットなニュースをお伝えしています。

施設、里子経験者の下宿

放送日:2014年09月13日
担当:長田新

今日は、施設や里親家庭で育った、いわゆる「社会的養護」を経験した若者たちが、東京の下町に作っている「下宿」をご紹介します。

中山健太(なかやま・けんた)さんという26歳の若者が中心となって、準備を進めています。中山さんは、幼い頃に火事などでご両親を相次いで亡くし、小学校入学前に児童養護施設に入りました。しかし、施設になじめずに小学校3年生の時、里親の元に預けられるなど、紆余曲折あって育ちました。

そんな中山さんが作っている下宿の名前は、「下宿屋・白河」。江東区の白河にありますので、この名前になりました。リーダーの中山健太さんの話をお聞き下さい。

『まあ、要するに、同じ釜の飯を食ってきた弟分のひとりが、寮で生活するようになったんですけど、「俺の居場所は寮じゃなくて、前にお世話になった里親さんのところだ」って言ったのがきっかけですかね。まあ、社会に出ても、心寂しいところもあるし、お金を稼げなくなったりとかで、やっぱり、失敗はすることはあると思うんですけど、そういう時にまた、社会復帰するために、クッションとして、ルームシェアで人と人が磨かれて、「もう一回、やり直すべ!」って感じになれば良いなと思っています。』
 
保護者のいない児童や、虐待を受けている児童は、施設や里親のもとで暮らしていますが、児童福祉法では18歳になると施設を出て自立しなければなりません。しかし、現実には施設を出た人がみな、自立できるかというと、なかなかむずかしいのが現状です。ですからこうした下宿屋の存在は、今後重要になってくると思います。

ただ、ご近所の方にとっては、急に、若い人が暮らし始めることになりますから、当初は、近所の方の不安な気持ちも感じたといいます。この建物の持ち主で、中山さんと同じ里親の元で暮らした経験を持つ、大森直哉(おおもり・なおや)さん25歳の話です。

『最初はちょっと馴染むのは難しかった感じですけど、時間が経つにつれ、「やっぱ直哉は戻ってきてくれたんだ」という歓迎ムードになりまして、受け入れてくれた感じですね。この白河の家を土台にしてもらって、ここからどんどん、新たな下宿家を展開して行ってもらいたいです。』
                                    
実際に近所の方はどうみたのでしょうか。ご近所の佐久間さんにお話を伺うことができました。

『最初はねえ、「どうなるかな〜?」とも思ったんですけれども、若い人のグループが来てね。でも、とても感じも良い子だし、そんな全然、悪さもしないし、とても真面目でねえ、前向きで、健太君が一生懸命やっていますよねえ。偉いな〜と思っているんですけど。それで、すごく話しかけてくれるんですよあの子はね。普通、今、若い人って意外とそういうあれがないけど、結構会うと見せてくれるんです携帯を。「おばさんこうなったよ」なんて。』 

ご近所の佐久間さんも、今は味方になってくれているようです。中山さんは、さきほどインタビューで出てきた大森直哉さんが相続した、築40年以上の建物を借りて、「自ら室内をリフォームして」下宿の完成を急いでいます。本業は建築関係の仕事ですから、仕事が休みの日に仲間たちとコツコツ作業を進めています。

建物は、3階建てで、現在、3階には、中山さんと、11月に出産を控えた奥さんが暮らしています。そして、2階の3部屋のうち、2部屋のリフォームが既に終わって、残るは1部屋のみというところです。

「下宿屋・白河」に入居するための条件としては、年齢は25歳以下の方で、入居に当たっては面接をして、合格したら、まずは、1週間ほど、中山さんたちがお世話になった里親さんの所で生活してもらいます。そこで、「この人は、若者だけの共同生活が出来る」と判断されれば、晴れて住人になれるという仕組みです。賃料は光熱費を含めて1カ月3万円。入居期限は2年間です。

ここまで厳しくするには理由があるといいます。
中山さんたちがお世話になった里親の青葉紘宇(あおば・こうう)さんの話をお聞き下さい。

『こういう試みを何カ所かやっているんですけれども、みんな失敗しているんです。というのは、人任せになっちゃうの子どもの方が。お仕着せというか、「みんな大人がやってくれるから、私はそこへ行って暮らせば良いの」と思っちゃってるわけみんな。それでみんな失敗しちゃうの。大人が、家まで用意して、家賃をうんと安くしたりて、補助金もらったりしてやるんですけども、結局ダメなんですよ。だから、「その轍を踏むのはよそうな」ということには、みんなで申し合わせしているわけ。』

入居する人にも、「自立するんだ」という気持ちが生まれないとダメだということなんです。

厚生労働省の今年3月の調査によりますと、現在、全国で4万6000人が施設や里親の元で生活しています。その数は増えていまして、たとえば、里親に預けられる児童の数は、この10年で2・6倍に増えています。それだけ、問題は大きくなっているわけですが、そうしたなかで、中山さんや青葉さんが思い描いた下宿が形になろうとしています。

「下宿屋・白河」が成功して、この動きが広がっていくといいと思いました。
                                         
※問い合わせ先
下宿屋・白河:東京都江東区白河3―15−6

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