担当:山崎景子
今日は聴導犬の話です。
『盲導犬』は目の見えない人の歩行などをサポートする犬ですが
『聴導犬』は耳の聞こえない人をサポートする犬で、
例えば人が呼んでいたり、ドアのチャイムが鳴ったり、
赤ちゃんが泣いたりなどの「音」に気づいたら、
主人のところに行って前足でタッチして知らせ、先導してくれます。
耳の聞こえない人の「耳」のがわりになるわけなんですね。
私が取材したとき「シーズ犬」のコンちゃんがデモンストレーションしてくれました。
ラブラドールなどの大型犬を想像していたので小型犬のシーズで驚きました。
ですが、歩行を誘導する必要はないので小型犬でも大丈夫で、
また犬にはもともと「音を仲間に教える」という本能があるので、聴導犬は「犬種」というよりも
「平常心が保てて、ストレスに強い」性格の
犬が向いているそうです。
日本聴導犬協会では全国の保健所や動物愛護センターに捨てられた犬から聴導犬を育成していますが、
候補として選ばれるのは600頭のうち1頭
くらい。
それから1年半の訓練を経て最終的に聴導犬になれるのは
そのうちの半数以下だそうです。
聴導犬「コンちゃん」の主人、桑野 仁美さんは30歳の時に左耳の聴力を失い、
聴導犬と生活するようになりました。
今では右耳もほとんど聞こ
えなくなったそうですが、2年経っての感想を聞きました。
★ドアのチャイムに全く気付かなくて、家にいるのに不在票が入っているというのが繰り返しあったりして、
自分が本当に役たたずになっちゃったのかなって いう風なすごい暗い毎日を送っていたんですけど、
今、コンちゃんの生活楽しいですね。とても助かってます。
体自体は小さいですけど頼もしいパートナーです
億劫だった外出が、今では気軽に出来るようになったそうですよ。
耳の不自由な方の社会参加や自立のきっかけにもなっているんです。
ですが、聴導犬って街中でほどんど見かけませんよね?
日本には盲導犬が1000 頭以上いるのに対して、聴導犬は55頭しかいないそうなんです。
日本聴導犬協会の有馬さんによると、今は利用者の費用負担はほとんどかからない育成団体も多いんですが、
聴導犬の普及事業が始まった
およそ30年前は、
「多くて80万円」も負担することがあったそうで、
今でも「高い」と思われているのが理由の一つだそうです。
尚、日本聴導犬協会は「育成・貸与・アフターケア」代は全て無料です。
また、聴導犬の働きが十分に認知されていないというのも理由のようですが
有馬さんは特に「災害時に注目して欲しい」と話します。
★火災報知器、煙報知器の時はタッチして足元で伏せをするので、危ないことが起こっているなとちゃんと知らせます。
家の外にいた場合には、災害があったり危険が迫った時に、聴導犬を同伴することで、
周りの人が気づいてくれるという、命を守る役割をしていることを知っていただきたいと思います。
「危険を知らせる」役割もあるんですね。
東日本大震災以降、眠っている時などにも周りの変化や危機を
教えてくれる存在が欲しいと、
聴導犬への関心が高まっているそうです。
聴導犬を広めていくために、有馬さんはこんなお願いがあるそうです。
★障害が外見に現れない耳の不自由な方が、ペットと変わらない犬種の犬を 連れていると、
ペット犬ですか?入らないでくださいといわれてしまうんですね。同伴拒否は多いんですね。
耳の不自由な方は、相手が言っていることも 分からなければ、はっきりと喋れない方もいらっしゃるので、
説明ができなかったりするんですね。せっかく社会に出ようと思われた方が心が萎えてしまいかねない、
知られていないことが大きな要因だと思うので、是非ご理解頂きたいと思います。
盲導犬と比べてわかりにくいので、乗車や入店を断られることもあるそうなんです。
聴導犬は「聴導犬」と書かれたオレンジ系のコートを着ていますので目印にしてください
聴導犬を受け入れる環境づくりから始めていかないといけないですね。
※日本聴導犬協会では耳が不自由な方と暮らしている
ペット犬への「訓練の仕方」も無料で教えているそうです。
関連情報・お問い合わせ先
- 社会福祉法人 日本聴導犬協会
http://www.hearingdog.or.jp/