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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

番組からのお知らせ
プロフィール

堀尾正明

堀尾正明(ほりおまさあき)

生年月日:1955年4月24日
出身地:埼玉県
趣味:ゴルフ

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大学在学中に文学座附属演劇研究所に入り、研究生としてミュージカルに出演。81年にNHKにアナウンサーとして入局、初任地はNHK北九州放送局。
東京へ異動後は芸能畑を担当し、95年開始の『スタジオパークからこんにちは』メインキャスターとなり、人気を博す。
00年『NHKニュース10』のキャスターに抜擢され報道番組を担当。その後『サタデースポーツ』『サンデースポーツ』担当に廻りスポーツ畑へ。2002 FIFAワールドカップのメインキャスターを担当。

長峰由紀

長峰由紀(ながみねゆき)
TBSアナウンサー

生年月日:1963年6月28日
出身地:埼玉県
趣味:演劇鑑賞、相撲観戦

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●出身高校:埼玉県立松山女子高等学校
●出身大学:立命館大学 文学部 中国文学科
●身長:153cm
●血液型:O型
●入社年度:1987年

人権TODAY

人権に関わる身近な話題をテーマに掲げて、ホットなニュースをお伝えしています。

児童養護施設のリービングケア

放送日:2012年10月20日
担当:長田新

今日は、「児童養護施設のリービングケア」についてご紹介します。

「リービングケア」とは、学校でたとえると、「進路指導」のような意味。
つまり、児童養護施設の子供たちを社会に送り出す「出助け」のことです。
児童養護施設には今、親と一緒に暮らすことができない子どもが9割を占めています。
厚生労働省の2008年の調査では、両親と一緒に暮らすことの出来ない理由は、
「虐待」が半数を超え、次いで親の放任・怠惰や親の精神障害などが続いていて、
児童養護施設は、「シェルター」のような役割になってきているんです。
人数も、現在、3万人を超える子どもたちが全国で570の児童養護施設で生活しています。
そして、満18歳を迎えると、児童福祉法の規定で、子どもたちは、
施設から巣立たなくてはなりません。

そこで、「リービングケア」が必要になるわけです。
施設を出る子どもたちの中には、進学を希望する子も多くいます。
しかし、大学などへの進学率は2008年の調査で18・2%。
一般の進学率が68・6%ですから、三分の一以下なんです。
足立区の児童養護施設の施設長は、現状について、こう話しています。

『一般の世の中ででも、22歳がある意味では社会自立して行く年齢と考えますと、
18歳での自立は、やっぱり厳しい。実際上、資格もない。
高卒という学歴の中で就職していくには、そう、選択肢は多くはないわけですよね。
ですので、「やっぱり出来たら上級の学校に行かせたい」というのが、私たちの気持ちなんですね」


親から離れて生活してきた子どもたちに、
「進学の道を作ってやりたい」というのは、ごく自然な気持ちなんです。

この児童養護施設では今年の4月、5人の子どもが巣立って行って、
このうち4人が大学や専門学校に進学しました。東京都の制度では、
進学する子どもに対して補助金が出ますので、進学を選ぶケースも多いそうです。
どことが、ここに一つ超えなくてはならない「ハードル」があるんです。
それは、補助金が出るのは1年目に限られているという点なんです。
それ以降は、奨学金やアルバイトで学費や生活費を稼ぎながらの生活になります。

「学ぶことと働くことを両立させる」と言うのは簡単ですが、
学費だけでなく、生活費まで稼がなくてはならないわけですから、
本当に「大変」だと思います。

そこで、今回取材した足立区の児童養護施設では、
「学費と生活費を稼がなくてはならない」という状況を手助けしようと、
今年4月、NPO法人を作り、大学や専門学校に対して働きかけています。
NPO法人OAC=「社会的養護で育つ子どもたちの地位向上ネットワーク」理事長の坂本輝子(さかもと・てるこ)さんの話です。

『学校さんにご理解頂いて、AO入試=「社会的養護枠」という特別枠を作って頂きました。それで、入試のハードルは少し低くなりました。あとは、4年間、大学に行くとだいたい、700万近く借金が残る。「それをなんとか、300万以内ぐらいに抑える。短い専門学校であれば、100万から150万ぐらいで資格が取れて就労につながる」というような形で今、皆さんにご相談をしているところです』

そして、その結果、NPO法人OACでは、看護士や栄養士といった国家資格が取得できる学校に協力を求めていて、
すでに3つの学校法人がこの提案に応じてくれているそうです。

ただ、全ての希望者が入学できるわけではなく、
1学部2〜3名という枠があるなど、課題は多くあります。

それでも、今回の取材の過程で、東京都内の児童養護施設から京都の短大に入学し、
保育士の勉強をしている2年生の女性からは、こんな話を聞くことができました。

『親がいないという状況を、包み隠さず話して、「私はこれだけの苦労をしてきたけれども、それでも、こういう道、将来を歩んで行きたい」という思いを伝えて支援して頂いたことは、すごく感謝していますし、今、こうして、短大で通って、保育の勉強が出来ていることも、とても良かったなと思っています』

彼女は、2つの奨学金をもらい、クリーニング店でアルバイトをしながら、
学生生活を送っています。
奨学金の返済は、月々2万円程度。
それが37歳まで続くそうですが、彼女はかつて自分が暮らした児童養護施設の職員を目指して今、
就職活動に臨んでいます。

そして、こうした声が一つでも多く聞けるよう、NPO法人OACの坂本輝子さんらは、
支援の道を広げようと活動を続けています。

地味な活動に見えても、こうした活動は、施設にいる子どもたちにとって、
とても大きな支えになると思います。こうした活動が続くことを期待します。

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