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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

番組からのお知らせ
プロフィール

堀尾正明

堀尾正明(ほりおまさあき)

生年月日:1955年4月24日
出身地:埼玉県
趣味:ゴルフ

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大学在学中に文学座附属演劇研究所に入り、研究生としてミュージカルに出演。81年にNHKにアナウンサーとして入局、初任地はNHK北九州放送局。
東京へ異動後は芸能畑を担当し、95年開始の『スタジオパークからこんにちは』メインキャスターとなり、人気を博す。
00年『NHKニュース10』のキャスターに抜擢され報道番組を担当。その後『サタデースポーツ』『サンデースポーツ』担当に廻りスポーツ畑へ。2002 FIFAワールドカップのメインキャスターを担当。

長峰由紀

長峰由紀(ながみねゆき)
TBSアナウンサー

生年月日:1963年6月28日
出身地:埼玉県
趣味:演劇鑑賞、相撲観戦

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●出身高校:埼玉県立松山女子高等学校
●出身大学:立命館大学 文学部 中国文学科
●身長:153cm
●血液型:O型
●入社年度:1987年

人権TODAY

人権に関わる身近な話題をテーマに掲げて、ホットなニュースをお伝えしています。

遺伝子のデータを、人権を守りながら生かすには

放送日:2008年09月13日
滋賀県長浜市は琵琶湖の北東部にある人口約8万5千人の街です。その長浜市が2008年の秋から京都大学と共同で、遺伝子分析を含む医学研究を市民の健康作りにつなげる事業を始めます。
具体的には長浜市が市民1万人を募り、健康診断の時に血液や尿などを試料として集めます。京都大学大学院医学研究科はそれを分析して遺伝子情報を含むデータを得るとともに、それぞれの個人の生活習慣や健康状態などを追跡調査します。
心筋梗塞、脳卒中、糖尿病といった生活習慣病の原因は遺伝的な体質に生活環境や食習慣などが複雑に絡んでいます。京都大学はデータを使って、原因の解明の研究に取り組みます。そして長浜市は研究成果をもとに病気の予防を図るなど市民の健康作りに役立てていきます。(長浜市は住民の出入りが少なく、献血などボランティア活動への参加意識が高いことから、研究の場として選ばれたということです)

2年かけてまとめられた「ながはまルール」
2年かけてまとめられた「ながはまルール」
ただ、一方で、個人の遺伝子情報が漏れたりするのではないか、という懸念もあります。長浜市はこの事業を始める前に、遺伝子情報の管理や運用についてのルール=通称「ながはまルール」を作り、条例にして2008年の7月に施行しました。(正式には「ながはま0次予防コホート事業における試料等の蓄積及び管理運用に関するルール」)
基礎研究に使う遺伝子情報については、国が定めた倫理の指針がすでにありますが、取材した崎山敏也記者の「なぜ、市で独自のルールを作ったのか?」という質問に対し、長浜市健康推進課副参事の明石圭子さんは「国のルールは、何の病気の研究に使うのか、といった目的などが明確であるようなものを対象にしています。しかし、今回の事業では、集めた研究試料は多目的に使われる、ということがわかってきたので、国のルールをそのまま当てはめることはできないと考えるようになりました。結果、かなり独自のルールの内容になったかな、と考えています」と答えています。
また、この事業は広く市民を対象にしていることもあり、生命倫理の研究者や法律の専門家に市民の代表も加わって、ルールの議論をし、2年かけて「ながはまルール」はまとめられました。

「ながはまルール」によりますと、この事業の基本理念にはまず、「市民の人間としての尊厳及び人権は事業における医学的、社会的利益より優先されなければならない」と書かれています。また長浜市、京都大学に、市民も一緒に加わる事業であることがあらためて強調されています。
長浜市の明石さんは「どんな方がこの事業に参加されても、その方の人権であるとか、人間としての尊厳が守られるような試料の取り扱い方などができる事業をしてほしいということです」と説明します。
具体的には、○血液などの試料は、「匿名化」=誰のものかわからない形にして使われます。個人情報の管理者は市に置き、試料の管理者を京都大学に置くことを義務付けています。また、○研究者には、研究の計画や進捗状況の報告の提出が義務づけられています。そして、○研究を行うためには大学の倫理委員会だけでなく、市が設置する事業審査会の審査と承認も必要です。ダブルチェックがあるわけです。

また、○試料を提供する市民一人一人には、十分な説明をしたうえで「同意」を得ます。いわゆる「インフォームドコンセント」です。この事業は、1万人という多くの遺伝子情報を貯えておいて様々な目的の研究に使えるのが特徴ですが、試料を新しい研究に使おうとする場合は、提供した市民にもそのつど知らせなくてはいけません。そして新しい研究に納得いかない場合は、同意を撤回することができるんです。これは国の倫理指針にもない内容です。明石さんは「どうかすると、一回同意をいただいたら、どう使っても良いという風に考えられがちですが、最初の事業計画を作ったときには明らかではなかった内容については情報提供を必ずして、実施方法に納得いかなければ、同意を撤回する、という機会を積極的に提供していくことが明示されています」と話します。市民にとって不利なことは科学研究であってもできない仕組みになっているわけです。

ルールができたことで長浜市では計画の審査などに入り、2008年11月頃から、協力してくれる市民を募って、本格的に事業が始まることになります。「ながはまルール」も試行錯誤しつつ運用されることになります。
生命科学や先端医療の研究は急速に進んでいます。遺伝子情報をどう扱うかは、長浜市の市民だけでなく、全ての人にとって無縁ではありません。「ながはまルール」はこういう課題について今後考えるためのモデルになってゆきそうです。

また、長浜市は歴史遺産を活用した街作りを進めてきていますが、明石さんによりますと、「1万人が協力するこの事業をきっかけにして、人と人とのつながりを大切にした健康作りを進め、街作りにもつなげて行きたい」と考えているということです。

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