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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

番組からのお知らせ
プロフィール

堀尾正明

堀尾正明(ほりおまさあき)

生年月日:1955年4月24日
出身地:埼玉県
趣味:ゴルフ

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大学在学中に文学座附属演劇研究所に入り、研究生としてミュージカルに出演。81年にNHKにアナウンサーとして入局、初任地はNHK北九州放送局。
東京へ異動後は芸能畑を担当し、95年開始の『スタジオパークからこんにちは』メインキャスターとなり、人気を博す。
00年『NHKニュース10』のキャスターに抜擢され報道番組を担当。その後『サタデースポーツ』『サンデースポーツ』担当に廻りスポーツ畑へ。2002 FIFAワールドカップのメインキャスターを担当。

長峰由紀

長峰由紀(ながみねゆき)
TBSアナウンサー

生年月日:1963年6月28日
出身地:埼玉県
趣味:演劇鑑賞、相撲観戦

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●出身高校:埼玉県立松山女子高等学校
●出身大学:立命館大学 文学部 中国文学科
●身長:153cm
●血液型:O型
●入社年度:1987年

人権TODAY

人権に関わる身近な話題をテーマに掲げて、ホットなニュースをお伝えしています。

バリアフリーで楽しめる演奏会

放送日:2007年08月11日
パンフレット
パンフレット
8月8日(水)、東京・葛飾区の「かめありリリオホール」で「The concert8.8 真夏の音楽夢飛行」と題したコンサートが開かれました。出演した6人の演奏家のうち、4人は視覚に障害を持ちながら音楽活動を続けています。
出演者が勢揃い
出演者が勢揃い
○ソプラノ歌手の塩谷靖子さんはロイヤルブルーの、ロングドレスにオーガンジーのショールという姿で登場、優しい歌声を聞かせました。「千の風になって」を自分で独自に訳して歌った「千の風」でも有名な方です。○ソプラノ歌手の大石亜矢子さんは可憐なピンクのドレス姿。演奏中もアイメイト=盲導犬のセロシアが一緒です。○フルートの綱川泰典さんは赤のシャツに白いズボン、白の靴で登場。フルートの暖かな音色を響かせました。○ヴァイオリンの穴澤雄介さんは真っ赤なシャツに黒革のパンツに黒のウェスタンブーツ。トレードマークの黒革のカウボーイハットをかぶりサングラスをかけ、様々なジャンルの音楽を奏でてくれました。
コンサートを企画した田村啓子さん
コンサートを企画した田村啓子さん
この4人の演奏家を結びつけたのは、区内に住む田村啓子さん。田村さんは主婦仲間と始めたグループ「座(ざ)・スーパーマーケット」で8年前から活動してきました。「座(ざ)」は「座る」という字で、「座ってくつろいで、スーパーマーケットのように、なるべく低料金で良いものを楽しんでほしい」という気持ちが込められています。自宅の広間を提供して朗読の会やコンサートを開いてきましたが、田村さんが失明してからは、夜間中学を描いた映画「こんばんは」の「副音声版作り」に関わったり、葛飾・柴又の商店街にAMラジオを使った音声案内システムをつけるよう働きかけるなど、バリアフリーに関わる活動も増えてきました。
「音声案内システム」を体験してみるための旅の途中で偶然知り合ったのがピアノの野田正純さん。そして葛飾在住、パーカッションの小川このんさん。この2人を合わせた出演者6人は「座・スーパーマーケット」の多様な活動を通じて田村さんが1人1人知り合った方たちなんです。

司会をつとめた藤沢典子さん
司会をつとめた藤沢典子さん
司会・進行は、「こんばんは」の副音声ナレーションを担当した藤沢典子さん。藤沢さんは鈴を持って、舞台を上手から下手へと歩きます。そして、「会場の大きさ、ホール全体の大きさを紹介しましょう」と言うと、葛飾区のシニアボランティアグループ「ベルボラ」の方たちがホール内でハンドベルを響かせます。舞台や会場の大きさを、鈴やハンドベルの音で感じてもらうんです。
このように、コンサートの会場には様々な工夫がありました。例えば、FMラジオで副音声が聞ける「音声ガイド」。視覚障害者と一緒に映画を楽しむための活動を行っている「シティライツ」が協力しました。声優・ナレーターの小堀望さんが、田村さんとはご近所のよしみ、ということで副音声を担当。演奏家が舞台のどこから登場してどこにいるのか?どういう順番で並んでいるのか?どんな服装なのか?小堀さんが耳から「言葉」で伝えました。コンサートの楽しみは音楽そのものを聞くだけではありません。会場を見回し、雰囲気を感じ取ったり、パンフレットをぱらぱらめくって読んでみたり。そういう楽しみを「言葉」を通じて味わってもらうわけです。中途失明だと点字が読めない方も多いので、パンフレットも点字と音声版が用意されました。「音声版」はコンサートが始まる前に、副音声でも流されていました。
田村さんは「言葉を使って、風景を見せてあげたいんです」と話します。「目が見えている頃、絵を描いたり、縫い物をするのは大好きでしたが、そういうことから離れて、とてもさびしい思いを私はしました。だから、なるべく色とりどり、いろんなことを、見えている人が言葉にして提供して、見えない人に想像してほしいんです」と話します。この日、6人の演奏家は「夏の思い出」など夏の曲から入り、最後の「アメージンググレース」まで、クラシックからジャズ、ボサノバからアニメ、オリジナルの曲まで、およそ2時間、満員の観客を楽しませました。
ラジオで副音声を聞いていたお客さんに聞くと、ある男性は「僕は中途失明なので、コンサートに行くと、どんな格好しているのかな、どんな並びでいるのかなとか気になるんですね。そういう部分が、曲に邪魔にならないように、いい感じで入っていて、ステージを丸ごと楽しめたという感じがしました」と話していました。またある女性は「すごく素晴らしくて、元気を与えてくれたって、感じです。皆さんの頑張りを見てると、見えない、見えない、って負けてられない感じです」と話していました。「音楽はCDでも聞けますが、出会って、みんなで一緒に感動するから、元気になるんです」と田村さんも話していました。

これまでの田村さんの活動は、代表をつとめる「座・スーパーマーケット」の仲間達、そして、今回のハンドベルのように、地元葛飾の方も大勢ボランティアで支えてきました。今回のコンサートはそういう方たちへの感謝の意味もあったんです。最後の挨拶でも、「来年もまた一緒に、みんなで楽しめるコンサートを作りたいな、と思っています」と話していました。

また、会場のロビーでは、視覚障害者に便利なパソコンのソフトや、音声で知らせる時計、使いやすい台所用品、文房具などが展示、販売されていました。田村さんは徐々に目が見えなくなっていったんですが、眼科に通っている頃はこういう機器や用具について全く情報がなかったそうです。まだ目が見えるうちに便利なものがあることを知ってほしい、と考えて企画したそうです。楽しんで、色んなことを知ることもできるコンサートでした。