過去の議事録

2017年3月27日(月)開催 第150回 TBSラジオ番組審議会より
「三島由紀夫を聴く〜1970年2月19日のインタビューテープ〜」 2017年3月1日放送分について

出席者(敬称略)

委員長大石 裕 
副委員長伊藤 英敏 
委員横山 真司 増田 弥生 ペリー荻野 水科 孝之 伊藤 美希子

局側出席者

 入江 社長

 須郷番組審議会事務局長

 柳澤編成局長

 石垣制作部長

 番組プロデューサー

番 組 内 容

TBSのアーカイブから発見された、小説家、三島由紀夫氏のインタビューテープに基づいて制作された番組。
インタビュー時期が自決事件の9カ月前ということもあり、テープ発見時にはニュースでも取り上げられた。

出演は、岩下尚史(作家)、吉田大八(映画監督)、山中剛史(三島由紀夫文学館特別研究員)。

委員の主な発言

◇ 非常に聞きやすくて、構成も飽きない構成になっていた。三島が発している一つ一つの言葉を、初めて聞くような内容も含めて、大変興味深く聞けた印象があります。

◇ 3人のうち岩下さんが結構饒舌な方なので、他の方々が話されている時とかに、パッと割って入る時があって、もしかしたらもう1人、仕切るアナウンサーなのか、そういう方が入っても良かったかも。

◇ インタビューを聞かせるとか、三島さんの快活で屈託のない朗らかな感じが出ている感じが伝わってきましたが、「自分は若者側に立っている」ということをわざわざ言ってしまう三島さんの人柄というか、その自信がある反面、実はちょっと自信がないことの現れなのではないかと想像させたりする部分の余白が感じられて良かった。

◇ 気になったところは、放送禁止というテープ群の中からこれが出てきたということだが、なぜ放送禁止のところにあったのかというのが番組の中で結局明かされなかったので、そういうところもちょっとフォローして頂けたら良かったかなと思った。

◇ 三島自決の時、私はちょうど中学1年だった。たまたま市ヶ谷の駐屯地の近くの学校にいたので、安全のために緊急下校させられたのを覚えている。そんな訳で興味深く聴いたが、三島の創作姿勢がインタビューの中に現れていて、例えば「読む人は多種多様である。さまざまな解釈の仕方をされたくないから、自分は塗り潰してしまうんだ」という発言などは実に三島らしいと感じた。

◇ 新たに発見されたインタビューテープに基づく特番と言うわりに、鼎談とか、レコード音声などが多く、一般論的な三島由紀夫紹介となってしまったように感じる。ニュース価値という部分をもっと強調すべきだったのでは。

◇ 80分のインタビューのテープというので、同じ取材者として大変羨ましく、それだけに内容に期待して聴いたが、少し期待はずれ。少し解説に傾いた構成だった。1時間という限られた時間で、三島のいうことがよく理解できないままでも、オリジナル音声に拘った構成にすべきだったのでは。

◇ 1970年の録音なので、いたし方ないところもあると思うが、録音状態は決していい状態ではないので、インタビュアーのジョン・ベスターさんが何と聞いたのかも聞こえないところがある。三島さんの声だけが聞こえてくる。そうすると、<こういうことを聞いたのかな>という想像しかできない。TBSにあった秘蔵のテープか、埋もれていたテープの中から出てきたけれども、これが何のために収録されたものだったのかなということが全くわからず、誰の証言もない。欲求不満のたまる内容であった。私としては、同じ年の11月に自決したけれども、このテープは2月ですから、そこから半年ちょっとでなぜ自決するところまでいったのかというのを知りたかったなとすごく思った。

◇ 番組としては、全体的に言えば、いわゆる傑作の部類だと思います。非常に力を入れた力作の部類だと思います。ただ、何のためのインタビューだったのかという謎が解かれないままで、番組として尻切れトンボという印象。


以上



(TBSラジオ番組審議会事務局)