過去の議事録

2011年1月24日(月)開催 第88回TBSラジオ&コミュニケーションズ番組審議会より
「〜ニュース探究ラジオ〜Dig」 1月12日放送分について

出席者(敬称略)

委員長山野 勝 
委員宮台真司 萩原健太 野地秩嘉 谷川真理 栗原 学 
(田中副委員長欠席)

局側出席者

 加藤 社長

 橋本 番組審議会事務局長

 入江 取締役

 鳥山 プロデューサー

 長谷川 ディレクター

 杉田 ディレクター

委員の主な発言

◇プロデューサーが説明されたように、これは「得意分野だ」と手ぐすね引いて聞いているリスナーも対象にできただろうし、そういうことも心配しなければならないんだなというノンポリティカルな私のような立場の人間にも聞きやすかったし、ある意味、夜のラジオのあの時間を色んな人が共有しているんだなというのが、深夜営業でのメールなんかを聞いていても思いました。F−Xではなくて防衛とか自衛隊というものを、しばらく経ってから、違った角度でまた聞きたいなと思いました。

◇自分もそこまでの知識もほとんどないので、色んなテーマで毎晩掘り下げてニュースにされているということは、私は自分の中の勉強の時間として、これからは機会があったら聞かせてもらわなきゃいけないみたいに感じました。今も、いろんなところで講演とかをさせていただく中での知識として、ちょっと何か入れられるような感じになればいいかなと思います。

◇僕は今回の放送は、ゲストの2人よりも外山さんの対応をずっと聞いていました。というのは、マニアックな問題を取り上げる番組は、別にこの番組に限らず幾つもあるだろうから、その時に司会者はどういう態度で臨むのかということに気をつけて聞いていたんです。というのは、マニアックな話題に出るゲストの人たちはマニアックだから、その話ばかりするんだろうけれども、一方、聞く人はどうするかというところを考えて、司会者はそもそもこの問題は普通の人に対してどういうものなのかということを言ってあげる役なんじゃないかなと思います。
そういうことを考えながらこの番組を聞いていると、外山さんが時々物すごく素朴に質問することは、僕はとても重要なことだなと思って聞いていました。あれがなくて、ただマニアックな人たちを放し飼いにすると、入ってくる人もいるけれどもきっとやめる人もいるんだろうなと思いました。

◇私も多少マニアックなラジオとか、そういう場ではできないような音楽に関するトークのイベントみたいなことを、ネイキッドロフトとか、クローズドな場所であえてやらせてもらったりすることもあるんですが、基本的には初心者向けの説明とかは一切しないようにしています。テクニカルタームだろうが何だろうが、つまり「これはこういうことなんです」とは言わないという姿勢で常にやっているんです。ただ、最終的なねらいとしては、家に帰ったらアマゾンでついポチっちゃうようにしたいなとかというところはあるんです。だから、多分、こちらもそういうマニアックな話をずっと積み重ねていって、よくわからないけれども、リスナーが自分から1つ能動的なアクションを起こすような何か種をまきたいと絶対に思っていらっしゃると思います。そこの部分では、もしかしたら居酒屋で隣の盛り上がっている人を横で見ているだけで終わってしまっているのかなという感じが、この回に関しては印象としてはありました。

◇軍事問題は憲法改正なのか永世中立なのかという漠然としたテーマにいつも偏りがちだったんですけれども、防衛という問題を考えるときには、いわゆるディテールというか、戦争というのはどういうことなのか、戦争を抑止するためにはどういう軍事力がないとできないのかというディテールの問題を議論しておかないと、ただ平和であればいいというだけでは防衛問題は語れないと思いました。
ですから、こういうやや専門的な話、すべてが理解できなくても、専門家の話、ゲストのお2人の方はまさに専門家ですから、どんな質問でも答えられたし、それは別に立ち位置がどこかということじゃなくて、そういう専門家の話というのは面白いし、わかりやすいし、1つのテーマにするときには、そういう詳しい人が出てきてそれを説明するということがいかに大切かと思いました。

◇番組を聴いていて、あまり知的な興奮がないんです。それはどうしてなのかということを言いますと、知的なものの中には事実情報、例えばテクニカルな情報、そういう側面の知性あるいは知的な側面等がありますよね。それとは別に、価値の問題にかかわる知的な側面があって、そのどちらに傾斜するかが大事なんです。テクニカルな問題について、今回かなりわかりやすくブレークダウンされたんだけれども、そうすると、当然のことながら、テクニカルな問題については、まあ要するに趣味であれ何であれ、専門的な方々はたくさんいらっしゃって、物足りないよという話になるか、これは間違っているじゃないかみたいな話になるんです。はっきり言って、それは僕に言わせるとつまらない方向性をねらっていると思う。
そうではなくて、やはり政治的なアリーナあるいは公共的なアリーナというのは価値の場であるべきで、価値の問題について議論をすれば、テクニカルな情報を知らなくても多くの人が入ってこられるんです。そういうふうにすることによって、今まで縁遠かった問題が価値の問題だということがわかってくると、実は多くの人が「何だ、そういうことか」という目からうろこ体験もできるし、実際にアクセスしやすくなるんです。そういう意味で言うと、もう少し価値の問題に傾斜するという形で、わかりやすさよりも知性をねらうという方向があるのかなと思います。

(TBSラジオ番組審議会事務局)