過去の議事録

2010年11月29日(月)開催 第86回TBSラジオ&コミュニケーションズ番組審議会より
「JUNK 山里亮太の不毛な議論」 11月18日放送分について

出席者(敬称略)

委員長山野 勝 
副委員長田中珍彦 
委員宮台真司 萩原健太 野地秩嘉 谷川真理 栗原 学 

局側出席者

 加藤 社長

 橋本 番組審議会事務局長

 入江 取締役

 池田 プロデューサー

委員の主な発言

◇リスナーがコーナーをどんどん盛り上げていくというのは、私の知っている深夜放送をフラッシュバックさせるようで懐かしかったです。多分、それがなかったら深夜放送はなくなってしまうようなものではないかと思います。深夜放送ですし、パーソナリティの個性をむき出しにしてというほうが、遠慮するよりは絶対、聞いている人が好めば面白いことになるんだろうと思います。

◇個人的には替え歌のところが非常に楽しかったなと思いました。人の替え歌を山里さんが実際に歌うということになると、何度か練習して歌わないとかなり難しいんじゃないのかなと思ったのですが、非常に上手に歌っておられたので、すごいなと思いました。

◇山里さんが喋っていることは、終始教訓とうんちくが全く含まれていないというか、よくこれだけ内容がないことをいっぱい喋れるというと失礼なように聞こえるんですけれども、でも程度が低いわけではない。どういうことかというと、今テレビに出ているコメンテーターの人とか新聞に書いている人もそうですけれども、ほとんどはその立場にいると教訓とうんちくがどうしても入って、何となく自分を賢そうに見せたいという欲望が入ってくるんですけれども、お笑いということだけでなく、山里さんは、自分を賢く見せようとしていない。これは意外とやれそうでやれない。すごいことだと思います。

◇妄想みたいなものだけで番組が構成されていくというのは、ある意味痛快な感じもしました。若くて、夜をどう過ごしていいかわからない、妄想で頭がムンムンになっている中高生は、自分の妄想のスキルアップのためにも、1つのライバルとして山里さんを捉えて、一緒に妄想に妄想を重ねるといった経験を経てみんなそれなりに大人になっていくんだと思うので、これこそAMの深夜の1つのあり方なのかなと。これがあって「ラジオ深夜便」がある。両方あって安心だなという感じは受けました。

◇若い人間たちの間の深夜放送と言うとある種の共同性というか、リスナー共同体みたいなものをみんな意識していた感じしますが、それとの比較で言うと、山里亮太さんの番組は、そういうリスナー共同体という感じを余り与えないというか、この番組だけでは恐らくなくて、そういう共同性というのはないのかなと。昔だったら、ある種の共同性とパーソナリティーという関係だったのが、パーソナリティーと個々の人間の分断されたつながりがメインになっているのかなというのは、僕としてはとても印象深く感じられました。

◇深夜放送、私も今から40年以上前の話ですけれども、今の中高生もそう変わっていないなという気がしました。個々の番組のコーナーについては、私なんかとはもう年が随分違いますので、「面白い」のとり方が多分違うんだと思います。でも、まあそれなりに理解はできたかなと思います。番組の中で紹介されましたけれども、62歳の主婦の方の感想を言っていましたよね。これはすごく力強いというか、この番組をしっかり聞いている62歳の主婦の方がいるということは大変面白いなと思いました。ということは、60代になっても笑いの根本みたいなものがそんなに大きく変わるわけではないので。特に今の若い人がどういうことを考えているのかということを逆に知るいい機会なのかなと思いました。

(TBSラジオ番組審議会事務局)