過去の議事録

2010年10月25日(月)開催 第85回TBSラジオ&コミュニケーションズ番組審議会より
「文化系トークラジオ〜Life」 9月27日放送分について

出席者(敬称略)

委員長山野 勝 
副委員長田中珍彦 
委員宮台真司 萩原健太 野地秩嘉 谷川真理 
(栗原委員欠席)

局側出席者

 加藤 社長

 橋本 番組審議会事務局長

 入江 取締役

 長谷川 プロデューサー

委員の主な発言

◇番組は2時間30分という長時間ですが、ほかの情報番組とか歌番組等とは確実に差別化できていましたし、特殊な感じで、まさにプロデューサーが説明していた通り、居酒屋で隣のテーブルでどういった話をしているのかというふうなものが聞けるような自然なトークにはなっていたと思います。
ただ、出演者の数が非常に多いので、メインの鈴木さんを初め、そのほかライターさんやフリーの編集者の方、7人の方がいらっしゃるんですが、時には名前も出ていたんですけれども、どれをどなたが話をされているのかすぐに理解できなかったところも多々ありました。

◇50代半ばになっている人間としては、ある種の疎外感というか拒絶感みたいなものを感じながらこの番組に接していたんですけれども、多分それもねらいのうちだろうと思いました。

◇ある意味、非常に方向性がきっちり絞り込まれたつくりになっているなと。個人的には余りそこに入り込むことはできなかったですけれども、方向性としてはこういう感じかなというのはありだなと思いました。色は非常にしっかりと、多分プロデューサーがねらっていることは反映されたつくりになっていたなと思います。

◇69年、70年、このあたりに深夜放送のブームがあったんです。
そのちょうど8年後、9年後あたりに「オールナイトニッポン」を中心として、やはりまた深夜放送の小さなブームがあった。こうしたブームの背景にあるのは、やはり場をつくる力なんです。場をつくり、聞き手の人たちに居場所感を与える力があるもの。これが、規模は小さくても非常に強い印象を残して、場合によってはいろいろな文化をつくる(クリエーションする)ことに実際につながっていったんです。まずこの番組の印象は、非常にサブカル色が強いですよね。あと、メトニミカル、つまり、しりとり的で取りとめのない話が続くこと。あと、人が多過ぎること。あと、脱アカデミズム的なところです。ほとんど、あるいは全くと言っていいほど鈴木氏は社会学の所見を使っていないんです。そのことが、実は居場所感と結びついている。サブカル的で、メトニミカルで、アカデミズム的なものを使わず、人がいっぱいわさわさしている。居場所感がある。しかし、残念ながら、これは居場所を提供することが目的なので、多分、居場所感がある人間たちにとっても何が話されたのか恐らく記憶していないということがあります。実際に話されているメッセージに非常に重要な意味のあるものはないというか、学問的に言えば余り実りのあるものではない。その問題は別にネガティブではないんです。やっていることは何かというと居場所の提供だから、そのために重要なことをセオリーどおりやっていくことが多分大事なんだと思います。

◇今までこの審議会で取り上げた番組は、どちらかというと、多数のリスナーにどう支持されるか、そのためにはどうすればいいかという観点からの議論が多かったと思いますけれども、この番組に関しましては、それは全く関係なくて、要するに、非常にディープというんですか、非常に専門紙的な、そういうつくり方の番組であるから、多くの方に支持されるためにはどうするかという観点から話をすると全くかみ合わないんだろうなと思いました。要するに、こういう専門的なというか、ある種リスナーを限定したような番組があったほうが、むしろ放送の多様性みたいなことを考えるといいのではないかということで、分からないなりにも、やはりこういう番組はあったほうがいいんだろうなと感じました。

(TBSラジオ番組審議会事務局)