過去の議事録

2010年1月25日(月)開催 第78回TBSラジオ&コミュニケーションズ番組審議会より
「森繁久弥追悼特別番組『森繁の重役読本』座談会」

出席者(敬称略)

委員長山野 勝 
副委員長田中珍彦 
委員宮台真司 萩原健太 野地秩嘉 谷川真理 高尾佐姫子

局側出席者

 加藤 社長

 入江 取締役

 水野 番組審議会事務局長

 池田 プロデューサー

番組内容について

昨年11月に亡くなられた森繁久弥さんを偲ぶ追悼特別番組。
TBSラジオで1962年から放送された「森繁の重役読本」のうち、ライブラリーに現存する数本のテープを聴きながら座談会形式で行われた。
出演は、爆笑問題(太田・田中)と向田和子さん(「森繁の重役読本」の台本を書いていた故・向田邦子さんの妹)、それに「森繁の重役読本」という番組を今も引き継いだ形で放送している「小沢昭一的こころ」の小沢昭一さん、の4人です。

委員の主な発言

★森繁さんの一人芝居がさすがというか、よくこんなにも出来るものだなと、あらためて感心しました。
★当時の番組にホテルオークラのCMが流れていたのが懐かしい感じで、今回の特番にもホテルオークラの提供がついていて、新旧のCMに落差があって面白かった。
★メディアはいっぱいあるけれど、これから生き残るメディアは、そのメディアでしかやれない企画をやるしかないのだと感じました。「重役読本」もこの座談会も、テレビや本ではなく、ラジオでしか出来ない番組だと思いました。
★音楽の世界でも、これから先、もしそれを聞く人がいなくなったら、それはこの世から失われてしまうのだ、と思うことがよくあります。それは文化として何か寂しい気がします。ラジオの番組でも、今の放送とはまるで違うものであっても、こういうものがあって今があるという、ひとつの歴史観みたいなものを維持しながらラジオというものが存在していてほしい、と思います。
★森繁さんを語る小沢昭一、森繁さんを語る太田光という、そちらの比重が多いように感じました。もっと森繁久弥そのものにフォーカスされた番組を聴きたかった。
★トークが緩かったので、どうしてもっと素材だけを集められないのかと感じましたが、(当時のテープが)9本しか残っていないのでは仕方なかったのでしょうか。
★トークの緩さを回避するためには、森繁久弥という存在についてもっと突っ込む、「重役読本」の時代、昭和の時代とは何だったのかということにももう少し突っ込む、そうしないとトークをしている意味がないような気がしました。この番組の魅力は、実はアフタートークの部分にあるのではなくて、素材の魅力に非常に大きく依存している気がしました、
★森繁さんの存在なしに「重役読本」は考えられなかっただろうと思いますし、小沢昭一さんの番組も素晴らしいけれど、森繁さんの番組があって「小沢昭一的こころ」という番組が成立したんだろうと思います。
★森繁さんという人は、芝居も喋りも全部生そのものという気がします。表情や動き、目の配り、そういったものが、日常お茶を飲んだり、座談している時も、ラジオや映画や芝居に出ている時も、ほとんど何ひとつ変わらずにやっている人なんだろう、と感じました。それは森繁さんそのものが自然だからだと思うのです。
★森繁さんと向田さんが素晴らしいのは言うまでもありませんが、この二人の組み合わせを考えた人も偉いと思いました。
★この番組を聴いて感じたのは、自分たちの世代ではなく若い人たちはこの番組を聴いただろうか、どう感じただろうか、それを一番聞いてみたいと思いました。
★若い人たちがこれを聴くかどうかということが大切で、そのためには、森繁久弥とは何なのか、向田邦子とは何なのか、これをもう少し若い人たちにアクセスしやすいように、どこかに階段を作っておく必要があるのではないかと思いました。
★今回の「重役読本」は、森繁さんが亡くなったから出てきたものですが、こういうものがもっと日常的に放送されていたらいいな、と思わせてくれる番組でした。
★古いものを今見直すことの意味について、考えさせられる番組でした。こういう番組が今後もあればいいなと思いました。

(TBSラジオ番組審議会事務局)