過去の議事録

2007年6月25日(月)開催 第53回TBSラジオ&コミュニケーションズ番組審議会より
「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」

出席者(敬称略)

委員長山野 勝 
副委員長田中珍彦 
委員宮台真司 萩原健太 野地秩嘉 田中里沙 榎本敬子

局側出席者

清水 社長

余田 編成制作局長

入江 番組審議会事務局長

河野 経営企画室長

橋本 プロデューサー

番組内容について

『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』は4月にスタートした音楽情報番組です。パーソナリティーはヒップホップグループ、ライムスターのMC・宇多丸さん。土曜日の夜9時半から11時半まで生放送でお送りしています。番組はヒップホップに限らず、面白い音楽、情報があれば精力的に取り上げ、宇多丸さんのフィルターを通して世の中をみていく、という作りになっています。放送は土曜日の夜ということもあり、楽しくワクワクするような、週末感のある内容となっています。

委員の主な発言

★ 番組を聴き終わった後、内容を理解できませんでした。まず、すごく“内輪ウケ”の感じがしたこと、もう1つはゲストが曲に合わせてかなりの時間踊るコーナーがあり、それが長過ぎると思いました。
★ 凄く面白いと思いました。TBSラジオの喋り手は、文化人やジャーナリストばかりですが、今後は、新しいジャンルの人も選んでいかなければならないと思います。大枠として面白いというよりは、「分からなけれど、何か面白そうだな」と感じました。分からない単語は出てきましたが、それはそれなりに解釈して前に進めば良いと思います。
★ 面白いラジオは、内輪っぽさを持っているものだと積極的に解釈して、そのような番組をこの時間帯に置くことは、ある種、ラジオの強さ、痛快な部分でもあるかなと・・・。
要するに足りないのは「説得力」です。切り口の提示は上手いですが、それを納得させるだけの要素がもう少しあればと思いました。何か引き込まれてしまう、丸め込まれてしまう部分が足りないのかなという感じがします。
★ 曲をもうちょっと長めに聴きたいというのがありますね。宇多丸さんが途中からバーッと喋ってしまうところがあったので、音楽ファンとしてはそう思いました。
★ 宇多丸さんの話には余計な説明がない分、サブカル系の人間には楽しく聴けました。けれど、何かしらの“祭り”をラジオで出現させた時、ノレた人は次の次元に進めますが、時にノレない人も出てくる。問題は「祭りの間口」をどのくらい広げるか、その事前設計にある気がします。
★ いとうせいこうさんの重要性は音楽史をやっている人にとっては、ある種、常識的な知識なんですが、90年代以降の日本のサブカルに時間軸は無いんです。この15年以上、何がどうなって、どう展開して、今こうなっているのかを意識する若い人がいなくなっている。そんな時期に、ラップの歴史を話すことは凄く大事で、教育的な効果としては非常に大きいという気がします。
★ 宇多丸さんが番組に凄く愛情を持っていますし、そのための努力を惜しまない感じが節々に感じられました。また、自分なりの芸術論や教育論を臆することなく語るところも素晴らしいと思いました。
★ 理屈はともかく、妙に盛り上がった、というのが素直な感想です。2時間の番組の中に、宇多丸さんのある種、一貫したキャラクターを感じることができて心地良かったです。
先ほど、説得力という話が出ましたが、それは彼が非常に客観的な一面を持っているため、客観的になった時はどうしても説得性が欠けてくる、ということなんでしょうね。
★ 宇多丸さんの「好きなことは好き」とはっきり言うところが良かったです。土曜日のこの時間帯、新しい才能が色々なものを発信し、新しい番組ができていくことは良いんじゃないかと思いました。
★ ラップというメディアは、近代芸術としての側面と、古い祝祭的な側面の両方を持ったものなんですね。それとの兼ね合いで言うと、内輪ウケがいけないんじゃなくて、「内輪ウケでよく分からないけど凄い」「俺たちもその内輪に入ってみたい」と思わせれば、OKなんです。演出の工夫でリスナーを上手く吸引できる仕掛けがあれば良いんじゃないかと思います。

(TBSラジオ番組審議会事務局)