過去の議事録

2005年11月28日(月)開催 第36回TBSラジオ&コミュニケーションズ番組審議会より
「弁護士・丸山和也の正義のミカタ!」

出席者(敬称略)

委員長吉越浩一郎 
副委員長山野 勝 
委員宮台真司 萩原健太 田中里沙 加藤悦子
(赤池委員欠席)

局側出席者

 清水 社長

 大沢 取締役

 入江 編成局長

 千葉 番組審議会事務局長

 水口 担当部長

 鈴木 プロデューサー

番組内容について

ナイターオフの「おとなの時間割」がこの10月で第2期目を迎え、去年から、立川談志さんと、丸山弁護士が新しくパーソナリティに加わりました。丸山さんは特に大人の男、サラリーマンに何か1つためになることがあればというコンセプトで、番組をつくっています。
お聞き頂いた10月15日の放送分は、それがかなり顕著にあらわれている回ではないかと思っております。人生相談と法律相談にしても、サラリーマンにちょっと特化し過ぎてしまったかなという気持ちもあるぐらい、コンセプトどおりになっているのかなと思っております。
やはり国際弁護士でありますので、あるときは鋭く、あるときは温かく、そして、結構やんちゃなんですね。マラソンを走っちゃうぐらいですから、かなりチャレンジ精神旺盛な、もう60近い、今59歳ですか、人生をある意味では謳歌している大人であろうと、我々はそういう位置づけでパーソナリティーとして見ております。
 専門家として攻めるのか、あと人柄、人間のパーソナリティーで攻めるのかというところは、最初にご本人とかなり議論したところです。ただ、いろいろ話しているうちに、ある意味で自分勝手なポジティブというんですか、そういうようなことを言われていて、これは1つ、番組の色にできるかもしれないということがありまして、それで法律という1つの枠組みを借りて、ある意味でわがままおやじが若い子に話しているという構図をつくってみました。
独立した番組とはいえ、やはり5曜日ありますので、それぞれの色がありつつもトータルでまとまっていきたいということもあって、火曜日はこういう形にさせていただいたということです。
相談によっては、やはり専門的なことでありますとか、国際弁護士であるだけの、日本の枠にとらわれないかなり大胆な判決といいますか、コメントを出す方でもありますので、この日は、最初に申し上げましたように、本当に酒場でのおやじトークになってしまったかなということはあるんですけれども、それもその回に応じて、鋭い回もあるということはぜひまたお聞きいただいてお感じいただければと思います。

議事の概要(主な意見)

◇新鮮な話はなく、おっさんのよた話という感じはしましたが、私はそれが結構面白いと思ったんです。というのは、この丸山さんはかなりミスマッチングなことを言っているわけです。「全身で考えよう」「電波に魂を込めて」とかって、はっきり言ってネタで言っているエンターテイナーか、でなければかなりおかしなおじさんですよね。そのおかしさが最初から炸裂していて、これは結構面白いぞと思いました。

◇僕のような若い世代が聞いた場合の面白さは、落差にあると思うんです。それは、専門性とおっさん性の落差であったりとか。僕はテレビをほとんど見ないので、丸山さんがテレビでどういうふうに映っているかわからないんですが、一応経歴を見るとコスモポリタンぽいですよね。コスモポリタンぽさと演歌のおやじっぽさみたいな落差が番組の中にパッケージされていると、やっぱり面白いんだろうなと思いました。そういう落差には割と満ち満ちている人なので。コスモポリタンがこの凡庸さなの?みたいなのはなかなか驚きであるし、エキスパートがこういうおっさん的弾け方をするのかというのもやはり驚きではあると思うんです

◇番組を聞いていて一番重みがあったのは、丸山弁護士のご自身の上京の話を事細かに話したのですが、本当にご両親を好きだなという感じがしたんです。自分自身がここまで来た道のりとか、いわゆる東京に出てくる前の決断とか細かく話してくれまして、この部分は、大人のサラリーマンだけではなく、もう年代を問わず、これから社会に出ていこうという人たちや途中で挫折しかかっている人たちも聞いていたらすごくいい内容ではなかったかな、中身の濃いものではなかったかなと思いました

◇丸山弁護士も、その世界にいらっしゃれば、非常に砕けた話題の豊富な方なのかもしれませんけれども、番組を通じて、特に切り口として鋭い何かを感じさせてくれるとかという点はなかったかなというのが正直なところです。僕が法律家に対して物すごい偏見を持っているのかもしれませんが。

◇全体として、丸山弁護士の人となりがよく出ていて、それが売りなんでしょうけれども、彼そのものが今それが売られているということで、そういったほのぼのしいところが今の世の中に求められているのかな。それは全体を通して如実に出ていると思いますし、非常に楽しくは聞かせていだきました。

◇番組の冒頭、営業から配置替えされたので転職するべきかどうかという質問者に対して「たらいで冷水を10回浴びろ」という、この回答は普通は絶対出ませんよね。弁護士から出る回答と思えない。その心は「全身で考えなければ後で後悔をする」。そうも言えるかみたいな、これは放送ライターが書いたんじゃないかというぐらい現実離れした回答で、僕はいいと思いました。

◇この「おとなの時間割」自体が、30代、40代の男性中心かなと思ったことに加えて、私自身、丸山弁護士にはそれほど興味がなかったので聞くのはきついかなと思って聞き始めたのですが、人生相談のところで、、「全身で考える」とか、ちょっと丸山さんらしい、物事を考えるもうちょっと根本のところとか、そういうことのお話が出てきて、これは油断して聞いているとなかなか面白い内容なんあだなとだんだん思ってきました。

◇番組のなかで寒中水泳の話があって、「オホーツクでアザラシとともに泳ぐ、それが夢だ」と話していたのを聞いて、それこそ60歳になるおじ様が本当にかわいいなというイメージでした。テレビの番組でマラソンに挑戦したときから感じていたんですけれども、本当に何でも外見のイメージと違う方だなと思いました。

◇人生相談で丸山さんが「全身で考えると結論が出る」「ギリギリの結論は自分で決めないと」「体で感じて自分で決める。ほかの人の考えを聞いても自分の考えではない」結局そういったことばかり言っていて、「水をかぶれ」と言っているわけですよね。人生相談で「水をかぶれ」という答えというのも本当に面白いと思うし、次回からどうやって答えていくのかなと、それが非常に楽しみになりました。

◇非常に個人的な体験から、僕は出版社に編集者として勤めていた時期があって、大学の先生とかとお酒を飲んだときにいろいろお話を伺って、「そうですか。こういうことがあるんじゃないですか」と言っている気持ちが、相方の広重さんの受け答えを聞いていてよみがえってきてしまった。ある意味で、サラリーマンの人が聞いていて、つらい瞬間を、OLの方とかが上司に飲みに連れていかれたときの感じとダブる可能性もなくはないなというのはちょっと危惧として感じましたけれども、これも私の取り越し苦労だとは思いますが…

◇人それぞれだとは思うんですけれども、飲み屋で女の子相手に悩み相談しているおやじとか、結構雑学を披露していたりとか、僕は嫌いなんですよ、そういうシーンが。そういう立場から聞くと、この番組全体がそういうものに聞こえるんですよね。なので、聞いていてちょっと気分が悪かったんです。

◇弁護士だから弁護士の素養みたいなものをバーッと出す番組がいいのか。あるいは単なる丸山さんということで、弁護士とは関係なしにこの人の人間性を出すことによって、ほわっとしたような雰囲気の番組をつくるかということで、ねらいどころが多少違うと思うんです。私はやはり後者のねらいの方がいいのかなと思いました。

◇全体を通して、受け手の方の広重玲子さんは受けがすごく上手で、広重さんは丸山さんの言った言葉をよく拾っていらっしゃるというか、また次につながるように言っていらっしゃるので、そこがなかなか上手なのかなというふうにも感じたりしました。

◇もう少し欲を言えば、丸山さんのちょっととぼけたというか違うところがいい形で出てくるような演出があるといいのかなと感じました。

◇丸山さんと私は比較的年齢が近いということもあって、多分僕なんかも飲み屋でそんなことを言っているんだと思うんです。そういう意味じゃ、鏡を見ているような気がしないでもないんですが。普通、弁護士という職業は堅めというイメージもなくもないんですが、最近はテレビなんかでそういう法律相談の番組があって、弁護士さんは近い存在になりつつあるような時代ですよね。その中で、特にこの丸山さんの、弁護士でありながら弁護士らしくないというか、そういう人間性が端々の言葉に出てきて、おふろでゆったりつかりながら聞くにはいいトーンかなと思いました。

◇この番組に限らず、僕は法律家のような専門職の方に対して思っているイメージというのは、専門のことだけやっていて欲しいと思うわけです。そういう意味では、聞いていて新鮮な切り口というのは余り用意できていないんじゃないかなと思いました。

(TBSラジオ番組審議会事務局)