過去の議事録

2005年6月27日(月)開催 第33回TBSラジオ&コミュニケーションズ番組審議会より
「全国こども電話相談室」

出席者(敬称略)

委員長吉越浩一郎 
副委員長山野 勝 
委員宮台真司 萩原健太 赤池 学 田中里沙 加藤悦子

局側出席者

 清水 社長

 大沢 取締役

 入江 編成局長

 水口 番組審議会事務局担当部長

 千葉 番組審議会事務局長

 坂本 プロデューサー

番組内容について

「全国こども電話相談室」は、昭和39年に始まった番組で、皆さんにお聞きいただきました放送が4,778回目の放送です。テーマ曲も番組開始当時から変わっておりません。スタイルも、先生がいらっしゃって、電話のお姉さんがいてという4人の出演者で回すという形を一切変えておりません。
番組は放送中に答えられなかったものに関してもすべてアフターケアという形で、その日のうちにお子さんたちにすべて回答を返すということで、41年間ずっとその姿勢で続けています。
番組では1問でも多く、1人でも多く、何とか放送中に答えを出してあげようというねらいも若干あって、先週の放送でもしり切れトンボのような形にはなりましたが、放送終了後にもちゃんとそのお子さんにも回答を出してあげるというスタイルで一応納得をしてもらっています。ただ、リスナーに対しては、もしかすると「ん、どうなったんだろう」というところの不満は残ったのかなと若干、反省はあります。
ただ、42年目ということもありますので、どこかで新しい形とか変革というのは必要なのかなと、みんないつも、スタッフともども考えながらも、なかなか、ただ変えてはいけないというものもあるのじゃないかというせめぎ合いの中で、現状は余り大きくは変わっていないという中で今放送が続いているという状況です。

議事の概要(主な意見)

◇この番組はこうしかありようがないというような形で、多分放送されていると思いますので、あえてテンポ感はどうなのかとか、答える人の人選はどうなのかとか考えてはみたのですが、何かすると全部つまらなくなりそうな感じでした。

◇今でも覚えているのですが「うちのお母さんが虫を飼っちゃいけないって言うんですけど、どうしたらいいですか」という質問で、お姉さんが「何を飼っているの?」と聞いたら「ゴキブリなんです」と答えたのです。スタジオはシーンとしたのですが、そのときに無着成恭先生だと思うのですが「確かにゴキブリも顔をよく見るとかわいくはあるよね」と言っていたんです。そういう理不尽系というか、余りにも奇妙な質問というのが、最近ちょっとないかなという気がしますね。

◇あえて長寿番組に課題があるとすれば、子供といっても幅が相当広いので、どんなふうに焦点を当てていくかということが、ちょっと課題になるのかなと思いました。

◇番組のテイストはどうなるかわからないのですが、男の子スペシャルとか女の子スペシャルとか、また何ヶ月に1回か例えば12歳の環境スペシャルとかいうような各論に迫るような番組のつくりがあってもいいのかなと、思いました。

◇マンネリ風なものの打破という意味では、10の質問のうち1個だけは大人の質問を受け付ける、そういうのを入れてみると、ちょっと変化が出るのかと思いました

◇内容が大分、やはり時代の変化で変わってきたな、平和な内容になってきたなと強く感じました。

◇この番組のいろんなスペシャルバージョンみたいなものは、多様に検討されていいのかなと思います。それこそ「全国おとな相談室」が必要なぐらいに、お父さんやお母さんに、より1歩、2歩進んで教えてあげたいような根源的な問いかけというのが子供たちから来ているので、そうしたもののおさらいや、そういう子供たちの真摯な問いかけに対して、そのテーマみたいなものをより大人の聴取者も聞けるような取り組みがあってもいいのかなと思います。

◇僕は逆にテーマ別スペシャルとか年齢別スペシャルというのは余り賛成ではありません。意外性がこの番組のポイントだと思うからです。まじめな質問の後にすごい突拍子もない質問が来て、スタジオが絶句しているという状況をみんな、「これどうやって答えるんだろう、これ?」と思って聞くという楽しみが非常に大きいと思います。そして、子供の年齢層が大きいと、聞きながら「ああ、そうだよな。小学校4年生ぐらいになると、女の子もこういうふうな喋り方をするようになるんだな」とか、「男の子は小学校4年でもだめなんだな」とか、発達ということをイメージしながらリスナーが聞くことができるというのもすごくいいところだと思います。

◇全体の構図としては、お子さんたちが一生懸命聞いていて、多分、後ろ側ではお母さんたちが「質問するときはこういうふうに質問しなさい」云々やっている。質問するお子さんはは電話で必死になって言わなくちゃいけないから大変だと思いますが、結局、家族が全部後ろで楽しんでいるという面が非常にあるのではないかと思います。

◇この番組の効用は2つあると思うんです。質問する子供たちにとっては、電話をかけて質問するというのは物すごく勇気が要ることだと思うんです。そういう子供たちの勇気を引き出しているということと、そして立場を変えて、いわゆる質問の仕方というか、つまり他人に聞いてもらう表現方法みたいなものを、聞いている方が学ぶのではないかなと思いました。

◇せっかくいろいろな分野の先生方がおられるので、1人の先生が中心に答える形式ではなくて、子供たちが示したきた問いに対して、出演者の先生方ががもっと解体していっちゃうような、そういう別のスペシャル系の展開みたいな番組も考えられるのかなという気がします。

◇昔この番組は、全国の誰もの共通項のようなな時期があって、出演していた無着成恭先生のものまねをテレビでタレントさんがしていたように、この番組を象徴する名物回答者とか、それを無理のない形で育てることがあってもいいのかな、とちょっと思いました。

◇ストレートな答え方をする回答者じゃないタイプの先生がいたりしてもいいのかなという気がしました。

◇24時間の「こども電話相談室」とかというのをやってみたらいいと思います。特に深夜の枠とかに相談がいって、パーソナリティーを生かしたまま生がどう解体していくかわからないみたいな子ども相談室は、24時間でも十分聞けるのではないかと思います。

◇私も子を持つ親として大変参考になる番組なので、「こういう質問が来た場合はこう答えましょう」とか、何かそういう情報交換のページができるとか、ホームページやインターネットを使いながらそういう形で親子で楽しんで聞くような番組にもできるのかなと思いました。

◇昔から聞いている質問とほとんど変わらないということですね。つまり、子供たちの根源的な疑問というのは変わっていないというのが、逆に言うとほっとするというか、世の中はすごく変化しているけれども、子供の世界はそんなに変わっていないんだなという、ある意味での安心感を持ちました。

◇僕はやっぱり、40年間変わらないというこの番組を非常に心地よく聞かせてもらいました。より多くの子供たちに機会を与えたいという番組の方針は、これでいいんだろうなと個人的には思っています。番組としては完成度が高くて、番組の主張というかミッションがはっきりしているので今のままでもいいと思うのですが、何かスペシャル版とか立体的な取り組みを含めてマルチユースを考えられたらいいと思います。

◇答える先生方のことですが、専門の先生も各分野ごとに1人か2人ぐらいに、つまり親も子供も名前を覚えられるぐらいの数の方がいいのではないかと思います。別に有名人じゃなくいいのですが「きょうは○○先生が出ているから、こういう質問をしよう」というインセンティブも生まれるし、そこにある種の芸を見たりする楽しみも生まれてくるのかなという気がします。

◇この番組も平日の夕方から日曜の朝になってしまった、週1回になってしまったとか、そういう動きがあったのだと思います。もう一度、この番組がちゃんと平日の夕方にまた戻ってこれるような、理想論ですけれども、そういう形にならないと社会はどうなってしまうんだろうな、と考えてしまいました。

◇僕は昔この番組を毎日聞いていたのですが、フォーマットは同じでも確実に変化していると感じました。例えば無着成恭さんのことをお話しすると、昔は専門家がいらっしゃって、専門の領域から答えた後で無着さんとお姉さんが「専門の話はそうなんだけれども、子供の世界ではそれはこうだよね」みたいな、そういう一段クッションというか、変換というか、別の状況を挟むということをやっていたような気がします。

◇番組でというのではないのですが、例えば年に1回、必ずTBSさんの事業として、文科省などと連携しながら、ことし1年のこども相談室を振り返ったときに、子供たちはどういう問いを必要としているかとか、過去と比べてどう変容しているかというようなことをシンポジウムでやるというような検討をされると、これからの教育を考えるという意味でも重要だと思います。

(TBSラジオ番組審議会事務局)