過去の議事録

2005年5月23日(月)開催 第32回TBSラジオ&コミュニケーションズ番組審議会より
「アンタッチャブルのシカゴマンゴ」

出席者(敬称略)

委員長吉越浩一郎 
副委員長山野 勝 
委員萩原健太 赤池 学 田中里沙 加藤悦子
(宮台委員欠席)

局側出席者

 清水 社長

 大沢 取締役

 入江 編成局長

 水口 番組審議会事務局担当部長

 千葉 番組審議会事務局長

 池田 プロデューサー

番組内容について

4月から「JUNK」「JUNK2」という深夜1時から4時まで、お笑いゾーンという枠を設けて、4月から新たなメンバーに加わったのがアンタッチャブルという若手のお笑い2人組の芸人です。
アンタッチャブルについてですが、芸歴11年の芸人で、去年「M−1グランプリ」という、芸人にとってはとても栄誉のあるグランプリで優勝し、現在テレビで大量露出中ということになっていますが、ラジオではまだまだ未熟な2人だというふうに僕は認識しています。もともとアンタッチャブルは伊集院光の番組の中で5年ほど前からコーナーリポーターまたはスペシャル番組の企画で出演しています。
通常、番組はタレントが1時間前に入って、すべて用意された原稿を読んで終わるという番組も多いですが、伊集院光というタレントは6時間ぐらい前に入っておりまして、すべてのはがき、メールに目を通して番組に挑むというスタイルを、このアンタッチャブルにも僕は引き継ぎたいと思っております。番組の6時間前とはいきませんが、4時間前にスタジオに入らせまして、メール、はがき、その順番、喋る内容みたいなものを、彼ら本人が基本的にすべて目を通して放送で喋っているというスタイルでやっております。
まだまだオンエアーには、フリートークの面とかつたない部分も多いんですけれども、ラジオをすごく楽しんでいるなという感じは伝わったのではないかと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

議事の概要(主な意見)

◇これは2時間番組で、そういえば子供のころ、こういう面白いラジオを聞いていたな、これは中高生が対象なんだなと思っていたんですけれども、大体そのあたりをねらっていらっしゃるんですよね。全体を通して聞いて、8割5分は声を出して笑ってしまうというぐらいの面白いものでした。

◇アンタッチャブルのふたりは自分たちのことを割と冷静に、客観的に見ながら、この番組をしっかりとらえて参加しているというイメージがありまして、そのスタイルはすごくいいのかなと感じました。

◇「眼鏡」というテーマで、2時間ずっと、これだけよく眼鏡の話ができるなと思いましたけれども、360度の切り口でここまで出てくるかということで大いに笑わせていただきました。

◇リスナーの方たちも、この番組との一体感が既に相当出ていて、こんなに急速にできるというのはすごいことだなと思いましたけれども、アンタッチャブルが対象とする人たちに、リスナーがみんながっちり参加をしてきているという印象を持ちました。始まって5分で、「深夜1時なのにうるさいです」とかああいうのも思い切り、番組をこれから盛り上げていく上でのノリがうまくできているなと思いました。

◇音楽もこの対象に、私なんかは全然知らない音楽だったんですけれども、リスナー層にはすごくバランスよく入っていて、入る感じもちょうどいいのかなと思いました。

◇2時半ぐらいのあたりで下ネタ系の話も少しやって、そこは女性の私には聞いていて、ちょっとつらいかなというのはありました。

◇1個1個のコーナーはちょっと長い感じもあるんですけれども、聞いていると、ちょうど2時間がうまく分割されていて、それこそ第1章、第2章、第3章みたいな感じになっていて、いい形で構成されているなと思いました。

◇JUNKのラインアップのなかでほかの人たちのメジャー度に比べるとアンタッチャブルというのは少し落ちるかなと思うんですけれども、僕の考える、特にラジオ、AMの深夜枠というのは、そこから新しい動きみたいなのがもっと出てくる場所なんじゃないかなという期待を持っていので、こういうキャスティングがもっとされた方がいいなと感じました。

◇テレビでアンタッチャブルを観ていると、どうしても山崎さんが目立っちゃうことが多いわけですけれども、柴田さんが完全に仕切っている、ラジオの中では非常に生き生きとしているというのは、で、その中で位置をうまくつかんでいる彼らですから、そういう立場でないとこういうアンサンブルというかコンビネーションができるんだなという発見なんかもあって、ラジオというのがアンタッチャブルに結構合っているんだなというのも発見させてもらいました。

◇僕は非常に古い世代なものですから、深夜放送というと、僕の場合はアナウンサー系の人を中心に音楽をガンガンかけて、ディスクジョッキーブームというのが起こったころの人間でもあるので、どうしても記憶がそういうところに残っています。ですからその時代その時代の一番旬なジャンルの人たちが出てくる枠という今の感じは、「なるほど、今はお笑いなんだな」と思うんですが、一色に塗り過ぎていないかなというのがちょっと気になりました。

◇深夜の3時間というのを、僕は逆にマーケティング的に見て、常套なのかどうかわからないですけれども、これはお笑い系のタレントのメジャー度とか世代観みたいなものを意識して、そっくり固めてセールスをされようというのは非常に面白い戦略だなというふうに、物づくりを現実にしている立場で参考になりました。

◇「JUNK」と「JUNK2」のもうちょっと何か戦略的なすみ分けみたいなことをある程度プロデュースの段階でつくり込んでもいいのかなと感じました。

◇今回の眼鏡のようにアンタッチャブルの2人が物に徹底してこだわっていく。そして、その商品とかに対するある種のマーケティング的なものというのを逆にリスナーに問いかけて、それがまた返ってくるみたいなと思いました。

◇正直申しまして、私はお笑いに余り興味がなかったんですが、2時間たっぷりラジオで山崎さん、柴田さんだけのトークが聞けるのはすごくよかったと思っています。私はこの放送をあえて家の片づけをしながら、夜中の1時から3時と聞いてみたんですが、テンポが速くて、意味がわからないんだけれども、何か楽しくて1人で笑いながらウケていました。

◇眼鏡の話ですが、牛乳ビンの底のような1センチの厚さの眼鏡をかけている柴田さんが「僕もかけたくないんだよ」とか、「見えないからしようがないんだ」とか、それが何となく本音のように聞こえて、ちょっとかわいそうだなというか、何かいじめられているような感じで。私は、実は次男が同じ立場で、本当に7万もする眼鏡を小学生がかけているんです。一番いいのでないと、本当にくらくらしちゃうということで、同じ立場だったので、何となくそれが、子供がいじめられているようなイメージに見えてしまったので、多少「そんなに山崎さん、意地悪しないで」みたいな感覚で聞いていました。

◇私はこういう番組は大好きなので、本当に面白かったです。昭和40年代から50年ぐらいにかけての第1次深夜放送ブームですか、あのころに初めて深夜放送を聞いた世代なんです。そのころ、私は、個人的な話ですけれども、少年漫画の編集部にいて、この深夜放送をグラビアでよく取り上げたことを思い出しました。今回、いわゆる深夜放送の進化の度合いといいますか、これが物すごくあるんだなということは実感しました。

◇聴取者のはがきを聞いて感じたことは、今の若い人の言語感覚のすばらしさというか、つまり、「てにをは」は合っていなくても、いわゆる現在の風潮というか空気みたいなものを1つの言葉でパッとあらわせるのね。これがやっぱりすばらしいと思いました。それを受けているアンタッチャブルの反応の仕方というかな、それが今風で物すごく面白いなと思います。僕はもう60過ぎていますけれども、十分にこの面白さは感知できたと思います。

◇テレビで観ているときは、ある種、台本のもとに完成形で話していますので、なかなかその裏に含まれているようなことが出てこないんですけれども、ラジオはやっぱり長時間あって、なおかつ生で話しているわけですから、ちらちらっとテレビでは見られないような、そういうところが出てきて大変面白かったです。

◇この手の深夜放送は下ネタに行く傾向が強いんですよね。下ネタのはがきも多いと思うんですけれども、今ぐらいにとどめておいてほしい。。だから、なるべく下ネタも限度をとってほしいと思います。

◇2人の個人的な体験みたいなものがもう少し出た方がいいのかなと感じました。1枚1枚のはがきを読んだときに、自分たちの体験からこうなんだというような、そういうリアクションが入ってくるともっと面白いかなと思いました。

◇コーナーの「粋な噂」の歌の声、彼女の声はしびれさせますね。毎回あの歌が出るたびにオオッと思う。非常にあれはよかったなと思います。

◇「6回目(の放送)でなれていない。最初に反省みたいなことをずっとおっしゃっていましたね。やっぱりあれは、「まじめなんだな、この人たち。一生懸命やっているんだな」というのがひしひしと伝わって、非常によかったと思います。とてもまじめだという印象を受けました。

◇番組の中からいろいろ新しい運動みたいなものが生まれてくる。いろんなディレクションの仕方はあると思うんです。ここで聞いた発話とかおはがきみたいなものが、次にアンタッチャブルさんの持ちネタになっているとか、あるいは、さっき本を出すとかということだけではなくて、ここから新しい1つの成果物みたいなものというのは緩やかに生まれてくる、何かそういう誘導の実験なんかもやられたら面白いと思いますね。

(TBSラジオ番組審議会事務局)