過去の議事録

2004年2月23日(月)開催 第19回TBSラジオ&コミュニケーションズ番組審議会より
「毒蝮三太夫のミュージックプレゼント」2月13日(金)10時30分〜11時00分生放送

出席者(敬称略)

委員長吉越浩一郎 
副委員長山野 勝 
委員ヨーコ・ゼッターランド 宮台真司 二宮清純 石橋エリ
(萩原委員欠席)

局側出席者

 清水 社長

 大沢 取締役

 斎藤 編成局長

 鈴木 番組審議会事務局長

 北山 プロデューサー

番組内容について

「大沢悠里のゆうゆうワイド」内のコーナー番組で、毒蝮三太夫がマイクを持ってスーパーや商店の店頭、工場、学校、グループなどの所へ行き、リクエストを受ける中継番組です。1969年10月の放送開始以来、35年を迎える長寿番組で、これまでの訪問先は8000軒にのぼっています。

議事の概要(主な意見)

◇芸術作品ですね。毒蝮さんは、毒舌のきわみみたいなところがありますけど、何かそれが悪口にとらえられない。それが、あの人のキャラで、蝮さんの毒に当てられたら、素人が光ってくるんですね。それとマイクの離し方で、それが外野の野次みたいになって、何か外野でまた言っているわみたいな感じの、でも面白い事言うなみたいな、あのマイクの遠近のテクニックを、一度教えてもらいたい気になりますね(笑)

◇とても面白かったです。先入観で、「汚ねえババア」とか言われて笑っているババアの方達の気持ちがちょっと分からなくて今まで聞かなかったんです。すごい毒舌ですけど、相手といい距離感をもって、相手の本質的なものとか人格を否定するのでなくて、その毒舌がユーモアに変身するその不思議さ、そういう技術をお持ちなので、言われた方は、それが快感なのかなと思いました。ババアの方達の気持ちがよく分かりましたので、とても面白かったです。

◇毒蝮さんの毒舌の無害さというのは、所謂、期待の地平問題に関係しています。長い間の芸歴を通じて、蝮さんと云う人は、こういう芸をする人だ、こういうツッコミをする人だ。みんながそれを知っていて、しかも叩く時には、相手の属性をたたくのでなく、相手の言葉とか、簡単に言うとどうでもいい部分を叩くわけです。つまり、毒蝮さんではない人がやれば「何でお前に言われなきゃならないんだよ」という問題になると云う事です。蝮さんがいらっしゃる時、皆さんは、ミットを構えた状態で登場するので、ああいうコミュニケーションが成り立つと思いました。

◇「ゆうゆうワイド」の中で、一番好きなコーナーで、途切れることのない期待感というかワクワク感みたいなものがあって、それは楽しいというだけでなく、次に一体何が起こるんだろうという不安もあるけど、ネガティブな不安でなく、多分いい結果に行くだろうという事を含んだものなので、ジェットコースター気分で聴いていられて、本当に楽しい番組でした。

◇これは、一種の世相を診断するという報道番組ととらえる事も出来ると思いました。日常的な細かい情報、会話の中から世相を切り取っているところがあるなと思うんです。35年前の放送を聞いてみたい気がします。35年前のそこに出てくる人達の会話が随分違うと思います。その頃には、どういうものが流行っていたとか、どういう日本人の考え方があったとかというのが多分あると思いました。ある意味では、非常に貴重な日本人の生き方とか物の考え方とか、生活の様式とか、そういうものがこの短い番組の中に出て来ているのかなと思います。

◇私から、言うことは一切ございません(笑)蛇崩の豆腐屋の親父さんが亡くなって「忌中」が出ていたと云う話がありましたが、そこら辺に蝮さんの性格の良さ、温かさが出ていると思います。口の悪さは天下一品ですが、ただそれが、裏腹のもので、聞いていて非常に心地良いですし、それがユーモアにも聞こえます。頂いた資料に「番組終了後も写真撮影に応じ、語らいの時間をとり、快くサインに応じる毒蝮さん」とありますが、やっぱりここら辺に蝮さんの性格というのが現れているのではないかと思いますね。

尚、「放送基準改正」案について当審議会に諮問しました。そして次回の審議会に答申を受ける予定です。

(TBSラジオ番組審議会事務局)