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みどころ

ローマ滞在と画風の変容

1621年2月9日、ボローニャでグエルチーノを重用したアレッサンドロ・ルドヴィージが教皇に選ばれ、グレゴリウス15世となります。同じ年の夏、彼と甥の枢機卿ルドヴィコ・ルドヴィージはグエルチーノをローマに呼び寄せました。グエルチーノは23年7月に教皇が亡くなるまでローマで活動します。ローマではルドヴィコの邸の一角にあったヴィラ、カジーノ・ルドヴィージの天井装飾、サン・ピエトロ大聖堂のための祭壇画 《聖ペトロネラの殉教と昇天》 などの大作を描いたほか、教皇の肖像画なども手掛けました。本展ではローマ滞在中に制作された作品を2点ご紹介します (fig.6fig.7)。

ローマ滞在によってグエルチーノの画風は転機を迎えます。芸術の最先端であったこの町では古代美術やラファエロら盛期ルネサンスの美術を理想とする古典主義が流行していたため、グエルチーノは画風を変えることにしたのです。チェント帰郷後も彼は探求を続けました (fig.8fig.9)。この時期にはピアチェンツァ大聖堂の天井画も描いています。20年代を通じて作品の構図や形態は徐々に明瞭になっていきました。

fig.6
グエルチーノ
《聖母被昇天》
1622年 油彩/カンヴァス 224×166cm
チェント、サンティッシモ・ロザリオ聖堂

fig.7
グエルチーノ
《放蕩息子の帰還》
1627-28年頃 油彩/カンヴァス
125×163cm
ローマ、ボルゲーゼ美術館

fig.8
グエルチーノ 《聖母と祝福を授ける幼児キリスト》
1629年 油彩/カンヴァス 134×103.5cm チェント市立絵画館

fig.9
グエルチーノ 《聖母のもとに現れる復活したキリスト》
1628-30年 油彩/カンヴァス 260×179.5cm チェント市立絵画館


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