過去の放送内容
2019年11月10日放送

特集
新企画…「不毛の地」
大阪は納豆のにおいを抑えてがっちり!?
ゲスト
森永卓郎さん、小峠英二(バイきんぐ)さん
番組内容
今回のテーマは儲かる「不毛の地」ビジネス!
「不毛の地」…土地がやせていて作物や草木が育たない場所。
同じようにビジネスでも、ある地域だけではなぜか、特定の商売が全く根付かない、そんな「不毛の地」が存在する。
しかし!
そんな不毛の地でもし、ビジネスを成功させれば、超かっこいい1人勝ちでかなり儲かるはず!
ということで、日本全国を調べてみると…ありました!
あえて不毛の地に挑み、がっちり儲かっている会社が!
儲かる「不毛の地ビジネス」!チャンスはピンチの中にある!
儲かりの種を解き明かす30分です!
プロスポーツ不毛の地「沖縄」でなぜかプロバスケットチームが大人気!
最初にやって来たのは、沖縄県沖縄市。
お出迎えいただいたのは、とある会社の広報担当、松原さん。
早速ですが、沖縄は何の不毛の地なんでしょうか?
松原さん:プロスポーツの不毛地帯といわれています。
そう、沖縄は、プロスポーツチームにとっては、なかなか大変な、不毛の地。
プロ野球のセ・リーグとパ・リーグに所属する球団は1つもなく、サッカーはJリーグ2部のFC琉球があるけど、1部のチームはゼロ。
実は、沖縄でプロスポーツチームが活動しづらいのには、ある大きな理由が…
松原さん:他府県と異なりまして、遠征行くにしても飛行機。交通費だったり人件費だったり…。
そう、沖縄が本拠地だと、アウェイの試合に行くための移動は当然、飛行機。大人数のチームがまるごと動くとなると、費用がかなりかかってしまう…。結果、なかなかプロスポーツチームが育ちづらい沖縄で、今、ぐいぐい来てるのが、松原さんたちが運営する、あるスポーツのチームらしい。
一体どんなスポーツなのでしょうか?
やって来たのは…

沖縄市体育館。
中に入ってみると…

スタッフ:スゴい!めちゃくちゃ人がいますね。すごい!
平日の夜にも関わらず、約3,200人が収容できる会場は、お客さんで満席!
しかも、とんでもない熱気!
お客さん:ゴーゴーキングス!ゴーゴーキングス!

そう、みなさんのお目当てが、2006年に創設された「琉球ゴールデンキングス」。
今、沖縄で熱いのは、プロの「バスケットボール」なんです!
売上げは年々右肩上がり!
昨シーズンにはなんと年商約10億円を達成!と、かなり儲かっています!
でも、プロスポーツチーム不毛の地といわれる沖縄で、「ゴールデンキングス」はどうして儲かっているのでしょうか?
松原さん:バスケに関してはコートに立ってるのが5名、控えも含めて12名なんです。サッカーだと、ピッチに立つのは11名+αなので…
確かに!野球やサッカーに比べて、選手の人数が半分近くになるバスケットボールなら、遠征の交通費なども、その分、抑えられる!というわけ。
さらに、ゴールデンキングスは、ある意味、沖縄ならではの、お客さんを集める様々な工夫をしているんです!
その一つが…
「スポーツのレベルを超えたド派手な演出!」
例えばサッカーや野球などは、選手の紹介をする時、大きなモニターに写真を表示して、アナウンスで名前を読み上げるというのが一般的ですが、琉球ゴールデンキングスは…

場内アナウンス:それでは琉球ゴールデンキングス、選手の紹介です。
真っ暗な体育館に、まるでライブ会場のようなレーザービームと大きな音楽が鳴り響く、ド派手演出。
そして、選手も、かなり派手に登場!
これには、お客さんも、試合前から大興奮!
さらに試合中も…
琉球ゴールデンキングスが攻撃に移り変わると…
沖縄風にアレンジした音楽でお客さんを盛り上げるんです!
松原さん:勝敗だけではなくてショーの様な、会場来て楽しんで頂ける様な工夫をしております。
この盛り上げ演出が、お祭り好きな沖縄の方々にぴったり!
お客さん:楽しいですね。負けても楽しいです。
ちなみに、普段は1階にある体育館の入り口は、琉球ゴールデンキングスの試合の時は、わざわざ遠回りな裏口の、しかも2階に移動。
実はこれ、お客さんが会場に入った瞬間の目線を計算していて…

1階からだとこんな感じに見えますが…
2階から入ると…

会場を上から見渡せるので、サポーターの姿がたくさん目に入るんです!すると、会場に入った瞬間から、テンションがアップするというわけ。緻密な戦略が大当たりして、ホームゲームのチケットは、発売当日にほぼ完売!
2016年に地元の千葉から琉球ゴールデンキングスに加入した、キャプテンの田代直希選手は…
田代選手:他のチームのブースター(応援団)も応援してくれてるんですけど、沖縄は熱量が違うと思います。モチベーションになってます。
さらに、沖縄のファンを獲得するための、もうひとつの作戦がありました。
その仕掛け人ともいえるのが…

試合を熱心に見つめるこちらの男性。
スタッフ:何をやってる方ですか?
真栄城さん:ラジオ局に務めております。ラジオ沖縄ではキングスの試合を中継してますので、今シーズンに向けて取材しています。
こちらの真栄城さんがやっているのは、ラジオ中継の準備。
でもスポーツ中継というと、テレビというイメージですが、どうしてラジオなのでしょうか?
松原さん:沖縄の場合は車社会ということもありまして、ラジオが普及していますので、ラジオ中継を入れてます。
しかも、テレビに比べてコストも抑えられるとあって、テレビ中継の倍近い約20試合を地元のラジオ局でガンガンオンエア!
これまた、じわじわファンを増やしているんです!
来年には…

1万人以上が収容できる新アリーナがオープン予定というから、これはまだまだ儲かりそうです!
琉球ゴールデンキングスは、プロスポーツチーム不毛の地でがっちり!
▼スタジオでお話を伺いました。
加藤さん:沖縄の人達は待ち望んでたんでしょうね。
森永さん:もともと沖縄の人ってスポーツに熱いんですよ。高校野球で沖縄のチーム出てくると甲子園の応援、すごいじゃないですか。だから、その基盤があったところに、バスケットって目をつけたのがスゴいですね。
あの有名牛丼チェーンがあえて離島に進出するワケとは?
続いてやって来たのは…
新潟県の新潟港からフェリーで約2時間半…

日本海に浮かぶ離島、「佐渡ヶ島」
お出迎え頂いたのは、とある会社のエリアマネージャー長妻さん。
早速ですが、佐渡ヶ島は何の不毛の地なんでしょうか?
長妻さん:「24時間営業の外食チェーン」の不毛の地です。
そう、佐渡ヶ島は外食チェーン不毛の地。
中でも24時間営業の飲食店をやっていくのには、かなり厳しい立地。
しかし2016年、あるお店が佐渡ヶ島初の24時間営業外食チェーンとしてオープン!
それが…

長妻さん:牛丼の吉野家です。
不毛の地佐渡ヶ島にオープンしたのが、「吉野家佐渡佐和田店」、昼時の店内は…お客さんがたくさん!
お客さん:美味しいですね、いつ来ても最高です。
でも、長妻さん、どうしてわざわざ離島の佐渡ヶ島にオープンしたんですか?
長妻さん:今、全国で牛丼チェーンが多くなっておりまして、競争が激しい状態です。他のチェーンもお店の数を増やしていて、どこを歩いても牛丼屋があると。

実は、大手牛丼チェーン3社だけでも、日本国内に約4,300店舗を出店。まさに、牛丼店の飽和状態なのです。
そこで、どこか良い場所はないかと思い、目をつけたのが…「島」!だったのです。
長妻さん:本州では2万人から3万人に1店舗牛丼チェーンがあります。佐渡島には人口5万8,000人の中で牛丼チェーン1店舗もありませんでした。独り占めです!
そう、佐渡ヶ島は、離島であることを除けば、人口5万人以上という、なかなかの町。
そこで吉野家さん、佐渡ヶ島のお客さんに来てもらうために、様々な儲かりの仕掛けを考えました!
1つ目が「ドライブスルー」

鉄道の通っていない佐渡ヶ島では、車で移動する方がかなり多い。そこで、車に乗ったまま手軽に牛丼が購入できる
ドライブスルーを、佐渡ヶ島の飲食チェーンで初めて導入。
長妻さん:売上げの3割のお客様がドライブスルーを利用されてます。
そして2つ目の戦略が…

「靴を脱いで上がれるお座敷タイプのスペース」
小さなお子さんを連れたファミリー客が、椅子が倒れる心配のないお座敷席を目当てに結構、やって来るんです。
しかし、佐渡ヶ島でわざわざ、24時間営業にまでしなくてもいい気がしますが…、実はここにも、吉野家の狙いがあったんのです!
深夜の営業を見てみると…
午前2時過ぎ、2人組のお客さんが来店。
スタッフ:今日はなんで吉野家いらっしゃったんですか?
お客さん:仕事帰りです。
スタッフ:お仕事は何系ですか?
お客さん:漁業関係です。
そう、実は佐渡ヶ島は漁業が盛んな島。漁師さんや市場に勤める漁業関系のお客さんは、夜中や明け方にけっこう動いてる!
そんな彼らにとって、24時間営業の吉野家は、待ちに待ったお店だったんです!
お客さん:他の店じゃアウトだよね。12時に飯食って終わって帰るみたいな。
スタッフ:漁業関係の方にとっては結構、変わりましたか?
お客さん:変わりました全然。
しかし、離島で外食チェーンとなると、大変なのは、食材などを運びこむ手段。
船などで運ぶしかないため、お金も時間もかかるんです。
このコストが、島に外食チェーンが進出する際のネックになってきたんです。
しかし、吉野家は、とある方法で、うまく輸送コストを削減していました!
午前10時、運送業者さんがフェリーで本州から届いた食材を吉野家に運び込みます。
すると、その足で向かったのは…

500mほど離れた場所にある「はなまるうどん」?
一体なぜ、「吉野家」と「はなまるうどん」の食材を一緒に運んでいるのでしょうか?
長妻さん:実は「吉野家」と「はなまるうどん」はグループ会社です。
そう、グループ会社の2店舗の食材をいっぺんに運ぶことで、輸送コストをグッと削減!
この店舗の売上げは、いかほどなんでしょうか?
長妻さん:年間約9,000万円です。

年間売上げは、約9,000万円!
しかも、新潟県の14店舗中、3番目の売上げというからスゴい!

佐渡ヶ島での成功を受けて吉野家は、2年前に宮古島にも出店。
島に目をつけた吉野家の作戦。
これは、まだまだがっちり!いきそうですね!
▼スタジオでお話を伺いました。
加藤さん:うまいこと考えましたね。
森永さん:離島で一番難しいのは、人を集めることなんです。佐渡ヶ島って大学がないので学生バイトが雇えないんですよ。フリーも少ないのでどうしても人材確保が難しい。
進藤さん:今後、吉野家の本社から社員の方が常駐で移住されるそうです。
加藤さん:そのくらい、今大事な店舗になってるってことですね。
納豆が極端に売れない不毛の地「大阪」でバカ売れする納豆の秘密
続いてやってきたのは…
大阪府は大東市にある…

「小金屋食品」という会社。
お出迎え頂いたのは、大阪生まれ大阪育ちの女性社長、吉田さん。
社長によると、大阪はある食べ物が極端に売れない、不毛の地らしい。
それが…
吉田社長:「納豆」の不毛地帯になります。昔から納豆は食文化に馴染みがない地域でした。
そう、納豆!
実際に大阪の方々に聞いてみると…
スタッフ:納豆はお好きですか?
男性:嫌いだね。口の中がなんか変なにおいするじゃん。
女性:においが苦手です。
確かに納豆の、特ににおいが苦手って方がかなり多い。

納豆の消費額のデータを見てみても、大阪市は47都市中42位、神戸市は41位、和歌山市は47位と。
まさに、大阪を中心とする関西地方は、納豆、不毛の地。
しかし、こちらの小金屋食品、従業員わずか9名、大阪の小さな納豆メーカーながら…
吉田社長:今、年商で約8,000万円ですね。
かなりの売上げ!なぜ、大阪でそんなに納豆が売れるのか、その秘密は、5年前に発売した、とある新商品にありました!
それが…

新型納豆「糸物語」!
大阪府内のスーパーや、高島屋大阪店などで販売され、売上げはここ10年で3倍!
こちらの納豆、普通の納豆との違いは、その作り方にあるということで、現場を見せていただくと…

久保工場長:これは小粒納豆になります。大豆が炊き上がった状態です。
直径1メートルほどの大きな釜で、大豆の芯がなくなるまでじっくりと煮込んだら…

霧状にした納豆菌を大豆の表面に吹きかけ、容器に入れたら、小さな部屋に運び込んで、大豆を「発酵」させます。
と、ここまでは、普通の納豆作りと特に変わりませんが、この先がちょっと違うんです!
久保工場長:うちの納豆は温度が低めで時間をかけてゆっくりと発酵させているので、納豆のにおいが控えめなんです。
そう、低温で長時間発酵させることで、納豆のにおいを少なくしたんです!納豆嫌いというカメラマンに頼み込み、小金屋食品の納豆を食べてもらうと…
カメラマン:おっ!納豆のにおい、あまりしない、これいけるね。
なんと、36年間嫌いだった納豆が食べられちゃった!
しかし、なんでこんな納豆を作るようになったのか。

もともとは、この会社、今から57年前に、吉田社長のお父様が創業、当時は普通の納豆を作っていました。
しかし、20年程前から大手メーカーが参入し、ただでさえ厳しい大阪での売上げがガクッと落ち込んでしまいました。
「このままではつぶれちゃう!」と、お父様から社長を引き継いだ吉田さんが、従業員の声を参考に、においを抑えた関西向けの納豆を考案したというわけです。
その納豆には関西人に食べてもらうための、さらなる工夫が…
吉田社長:納豆のタレがやっぱり醤油味だけだと、関西の人は辛いという印象で…

一般的な納豆のタレは、醤油をベースに作っていることが多いのですが、関東でポピュラーな「濃い口醤油」に対し、関西で人気なのは「薄口醬油」。
そこで吉田さん、タレのベースの「濃い口醤油」を「薄口醤油」にチェンジ。
そして、関西人にはせっかちな方が多いので…

卵やキムチなどのトッピングを、あらかじめ小分けにして同封した商品も販売。

極めつけは3年前、トッピングを30種類以上取り揃えた、納豆だけの専門店までオープン。
こちらのお店だけでも、年間売上げは約1,200万円というからスゴい。
小金屋食品は納豆不毛の地でがっちり!
▼スタジオでお話を伺いました。
加藤さん:関西の方は昔から食べてなかったんですよね?
吉田社長:昔は漬物屋さんの横にちょこっておいてあっただけで、スーパーにも並んでなかったので、今は並んでるので嬉しく思ってます。