過去の放送内容
2017年8月20日放送
特集
僕たち1,000億円企業になりました
ゲスト
森永卓郎さん、厚切りジェイソンさん
番組内容
日本全国に400万以上ある会社の中で、売上げが1,000億円を超えているのはわずか900社ほど。
まさに儲かり大会社のあかし!ならば、最近1,000億円を超えた会社には、きっと、超ホットな儲かり戦略があるはず!
北陸地方ばかりに増え続ける謎のドラッグストアが1,000億円超え!その正体は!?
回転寿司業界のパイオニアが、ついに1,000億円を突破!そのヒミツ会議で見たものとは…
超フレッシュな儲かりアイデアが満載の30分です!
1,000億円企業を支えるサイドメニューたち
まずは2016年に新社屋を建てたばかりの大阪にある会社、見た目はまるで巨大な「くら」のような…
そう、「くら寿司」です!
1977年に誕生した「くら寿司」は、回転寿司業界のパイオニアとして成長。
1999年に100億円、2008年に500億円。まさに右肩上がり!
そして2015年、ついに1,000億円を突破しました!
創業から40年足らずで、1,000億円企業の仲間入りを果たしたのです!
その決め手となったのは何なのか、久宗(ひさむね)常務にうかがいました。
久宗常務:なかなかひとことでは言い表すのは難しいですが、ひとつはやはりサイドメニューへの取り組みです。
2012年、唐揚げやフライドポテトくらいしかなかった回転寿司業界のサイドメニューにくら寿司が突如発表したのが「ラーメン」!
本格的な味に1杯370円という激安が受け、累計3000万食以上の大ヒットを記録しました。
その後も牛丼やカレーライスなど、次々と人気メニューを開発し、売上げを伸ばしたのです。
ところで、お寿司専門の「くら寿司」が、どうやって大人気サイドメニューを生み出すことができたのでしょう?
あの「ラーメン」の生みの親、商品開発部のリーダー・松島さんにうかがってみました。
スタッフ:年間どれぐらい試作されるんですか?
松島さん:だいたい3000種類くらいですね。そのうち商品になるのは年間で言うと50品くらいです。
とにかく作って作って作りまくる!
そして毎週、試食会を開いて、ひたすら検討!
その愚直なまでの繰り返しが、くら寿司の大ヒットサイドメニューを産んでいるのです。
特別に試食会の様子を見せていただきました。
松島さん:まずはカレーにゅうめんです。
試食した社員:カレーうどんあるのに?
試食した社員:麺が伸びてるね。
「ボツ」「ボツだね」「ダブルボツ!」の声が続きます。
サイドメニューは、ちょっとの時間で、すぐ味や質が落ちるものはダメ!
また、くら寿司にある、他のメニューや食材をうまく組み合わせて作るのもポイントです。
だからこんなユニークなメニューも!
松島さん:次は土星です!
え!? 「土星」!?
土星本体はハンバーグ。その中にシャリとチーズを入れ、輪っかはオニオンリング!
これはダメかと思ったその時…
試食した社員:味もめっちゃ本気で作ってる。美味しいですね。
高評価が出ました!
しかし、重要なのはここから。
パートやアルバイトでもちゃんと作れるメニューかどうかも検討していきます。
なぜなら、くら寿司の厨房ではラーメンやうどんも、出汁を取るところから始め、天丼の天ぷらも注文を受けてから揚げるのがこだわり。
だから「作りやすいレシピ」というのも大事なんです。
そして、売上げ1,000億円突破のもうひとつのポイントになったのが…
久宗常務:徹底した品質管理ですね。
くら寿司では2011年、フタ付きの皿「鮮度くん」を自社開発。
お寿司が長持ちするのはもちろんですが、大事なのは、フタの中にICチップが入っていること。
「鮮度くん」以前は、皿の裏にQRコードをつけて品質管理をしていましたが、これだと「何分回っているか」という「時間」しか管理できませんでした。
ところが、フタにICチップをつけたことで、どのネタの皿が取り出されたのか瞬時に分かるので、次に作るべきネタが把握できるのです。
その結果、廃棄ロスと作業時間を減らすことにつながりました。
くら寿司は、地道な商品開発と、徹底した品質管理で、がっちり!
▼スタジオでお話を伺いました。
加藤さん:寿司屋でラーメンって、怖かったと思うけれど、よく出しましたよね。
森永さん:つねに新しいものを、というスピード感が大事ですね。
ジェイソンさん:それはシリコンバレーのベンチャー企業でも同じですね。失敗を恐れずにどんどん挑戦して、ダメならすぐ止めて良いものだけを残しているんです。
ありそうでなかった意外な組み合わせで1,000億円超え
続いてやってきたのは、石川県白山市にある「クスリのアオキ」。
何で売上げ1,000億円を達成したのかというと…
青木専務:ドラッグストアで売上高1,000億円を達成しました。
「そんなドラッグストアあったっけ?」 と思うのも無理ないでしょう。
なぜなら、クスリのアオキは1985年の創業以来、北陸・日本海側に集中して展開しているドラックストア!
現在386店舗を展開するクスリのアオキは、1999年に100億円、2010年に500億円、そして2014年に1,000億円の大台を突破しました!
青木専務:今はもう、実は1,880億円を超える売上げになっております。
なんと1,000億円達成から、わずか3年で700億円以上も売上げがアップと、加速度的上昇ぶり!
それにしても北陸地方メインで1,000億円以上も売上げるなんて、どんなヒミツが?
青木専務:それは店舗を見ていただければ分かります。ビックリしますよ。
ビックリする店舗とは…!?
いざ店舗へ行ってみると…
とにかくデカイッ!
アオキは、ドラッグストアの常識を超える、売り場面積平均300坪!
もちろん駐車場も完備です。
お店の中を見ても、広々とした化粧品コーナーやお薬コーナーに、たくさんの種類のシャンプーや歯ブラシといった日用品が!
もちろん、病院の処方箋に対応できる調剤コーナーもあります。
たしかに、都心ではありえない品揃えですが、売り場を広くして1,000億円を突破したってことですか?
青木専務:こんなもんじゃないです。まだ伝わっていない部分がたくさんあります。
そう言われて案内された先にはなんとドラッグストア内に…
野菜コーナーが!
さらには…
お魚コーナーや
精肉コーナーまで!
ほかにも、出来立てのお惣菜に10種類以上のお弁当、そして冷凍食品まで売っているのです!
スタッフ:スーパーですか?
青木専務:いえ、ドラッグストアです。
クスリのアオキの最大の特徴は、ドラッグストアの中にスーパーを入れちゃったことなんです!
これが、北陸に住むお客さんにピッタリでした。
北陸地方は、スーパーやドラッグストアなど、いろいろなお店が入ったショッピングモールが少なかった。
雪が多い地域なので、冬ともなると、なるべく1ヶ所で買い物を済ませたいもの。
そんなニーズを読んだクスリのアオキは、2012年にドラッグストア内で野菜の販売をスタート。
2014年にはお肉とお魚も、と足していった結果、売り場が広くなっていった、というわけなんです。
現在26店舗にまで拡大!
クスリのアオキは、あるようで意外となかった、ドラッグストアとスーパーの組み合わせで、がっちり!
▼スタジオでお話を伺いました。
森永さん:ドラッグストアのビジネスモデルって、インスタント食品や飲み物とかを、すごく安く売っているんです。なぜかというと、薬と化粧品で儲ければ、目玉商品だけでいいっていう考え方なんです。
それが「1ヶ所で買い物をしたい」という北陸のニーズの中で拡大していったんでしょうね。
加藤さん:それで1,000億円をとうに超えて、2,000億円に近付いているんだから、すごいですね。
新製品の開発力で大きなマーケットを狙う
続いては、滋賀県にある会社、「イシダ」。
実は以前、超でっかいハカリを作る会社として、ちょこっと登場しました。
1893年に、日本初の「ハカリ」メーカーとして創業したイシダは、リーマンショックを跳ね返してググっとV字復活!
2015年、遂に1,000億円を達成しました。
そんなイシダの大ヒット製品といえば、
「CCWシリーズ」!
ピーマンを袋詰めするマシンなのですが、すごいのは、どの袋も重さをピッタリに揃えること!
マシンの周りにいくつも付いたカップが、落ちてきたピーマンの重さを量り、どれとどれを組み合わせれば同じ150gになるかを瞬時に計算し、その組合せで袋詰めします。
取締役の高井さんに、その後の「CCW」の売れ行きを聞いてみると…
高井さん:世界中で累計4万台売れております。
1つ1,000万円のハカリが4万台も!
それだけでも驚きですが、1,000億円超えの原動力は、高井さん曰く、次々と新製品を生み出せる開発力なんだとか。
「CCW」も進化系を開発したとのことで、見せていただきました。
高井さん:こちらです。「IMAS-G」です。
なんだかガラッと変わって、ずいぶん小さくなったような…。
2015年に開発した、このIMAS-G、一体、何がどう進化したのでしょうか?
商品企画部の林さんに教えていただきました。
林さん:サンプルのトマトを使って、合計が240gになる計量を行います。
まずは、重さがバラバラのトマトの模型が入った箱をセット。
スイッチを入れると…
トマトを持ち上げ、8つのレーンに振り分けていきます。
すると…
4つのトマトが出て来ました。重さを量ってみると、
ぴったり240g!
これがどうズゴイのかというと…
高井さん:商品を掴んで移載しながら計量する、世界初の技術です。
IMAS-G最大の特長は、アームで重さを量ること。
つまり、CCWと違ってハカリは1つでOK。
結果、コンパクトにできたのです。
しかも、運びながら同時に重さを量るので、作業時間も短縮できます。
気になるお値段は…
高井さん:この装置で70万円です。どの機械でも付けられますので、わざわざ装置を買い換えていただかなくても、取り付けることができます。
アームの先端に取り付けるだけで使えるので、国内外から注文が殺到しているんだとか!
さらにイシダの開発力は、重さを測る技術だけじゃありません。
意外なアレも測れるんです!
それは…
高井さん:水産業界の救世主、「i-Spector」です。
こちらも2015年に新開発した製品ですが、水産業界の何を救うのかというと…
高井さん:今話題の、アニサキスを検出する装置なんです。
アニサキスといえば、生魚に寄生する寄生虫。
とても厄介で、何かと世間を騒がせていますよね。
そんな厄介者を、i-Spectorはたちどころに見つけ出すのだという。
そこで、サバの切り身で検証!
見た目には、アニサキスがいるのかいないのか全く分からないサバでも、部屋を暗くして、i-Spectorに入れると…
いた! 線状のものが青く光っています!
高井さん:特殊な光を当てて、アニサキスだけを浮かび上がらせているんです。
イシダは京都大学との研究で、アニサキス「だけ」が反応する光を突き止めたんです。
まさに水産業界の救世主!
価格も20万円とお手頃とあって、あの人気居酒屋チェーン店「磯丸水産」の全店舗に採用されました。
他にも、全国の飲食店やスーパーなどを中心に1000台以上が売れていて、売上げ1,000億円突破も納得ですね。
イシダは、新製品の開発力で、がっちり!
▼スタジオでお話を伺いました。
森永さん:アニサキスだけじゃなくて、この会社はもともとX線で異物を発見する装置を前から作っているんです。だから、新しく問題になったものが出てきたら、いち早くそれに対応すると、こうして大きなマーケットを獲れるんですね。
加藤さん:攻めに転じているというか。
森永さん:あと、大きなマーケットに向き合っているということですよね。マニアックなところだけを攻めていても、なかなか1,000億円にはならないですよね。