過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2017年3月12日放送

特集

村立・町立ビジネスでがっちり!島根県の山間の町にいる「耕す」シェフって何者?

ゲスト

森永卓郎さん、IKKOさん

番組内容

今、地方では、過疎化や少子高齢化など、深刻な問題が山積み。
特に小さな「村」や「町」は存続すら危ないところも!
しかし、そんな逆境にも負けず、ピンチを逆手に取り、儲かり作戦を実行している村や町がある!?
民間企業にはマネできない、独自の方法とは?

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町のレストランが育てる未来のシェフたち

まずは島根県邑南町(おおなんちょう)。
東西に長い島根県の中央、広島との県境に位置する場所にあります。

商工観光課の寺本さんを訪ねました。
邑南町って、どんな町なんでしょうか?

寺本さん:人口は1万1000人ちょっとです。邑南町自体も、やはり高齢化が進んでいて、人口の42%くらいを65歳以上の方が占めています。

町の悩みは、やはり高齢化と過疎化。
「このままではまずい!」ということであるものを、町の全面協力で作りました。
それは…

レストラン!
「里山イタリアンAJIKURA(アジクラ)」
なかなかおしゃれな店構え。
落ち着いた趣の店内で、ランチを楽しむお客さんに聞いてみました。

スタッフ:今日はどちらから?
お客さん:愛知県の一宮市から来ました。新幹線だったので3時間くらいです。

来るのに3時間かかっても食べたいほどにお客さんが足を運ぶレストランなのです!
その人気のヒミツがメニュー。

地鶏と白ネギにキャビアでアクセントをつけた贅沢なパスタや…

希少部位のイチボに椎茸を添えた和牛のロースト。
予約制でコース料理を提供するスタイルなので客単価はランチでも4,000円!

実はAJIKURAの料理は95%以上を邑南町でとれた食材でまかなっています。

中国山地にあるこの町は昔から良質な米や野菜が育ち、ブランド和牛「石見牛」などの生産もさかん。

10年ほど前からはチョウザメを養殖し、キャビアまで商品化しています。
邑南町は、たくさんの特産品に恵まれた、まさに食材の宝庫なんです。
そんな地元の食材をふんだんに使うレストランAJIKURA責任者の佐藤聡さんにお店の繁盛ぶりを聞いてみました。

佐藤さん:年間5000人から6000人のお客様がいらっしゃいます。

年間5000人から6000人のお客さん、しかもそのうち8割は、邑南町以外からやって来るのだとか!
まさに観光の目玉と言えそうですね。

寺本さん:邑南町はAJIKURAでがっちり!でも、それだけじゃないんです!
スタッフ:それだけじゃない?

寺本さん:耕すシェフの研修制度というのがあるんです!

「耕すシェフ」?コックさんの格好で畑仕事するの?

寺本さん:野菜から自分たちで作って、作った野菜をAJIKURAで出す、ということを3年間勉強する、町の制度があるんです。

この「耕すシェフ」は、過疎化に悩む邑南町が独自に考えだした制度。
まず、全国から飲食店の起業を目指す人を募集し

調理技術や経営ノウハウを、3年間AJIKURAで研修します。

さらに農家さんが、野菜の栽培などもレクチャー。
研修期間中の3年間は、月16万7,000円のお給料までもらえちゃうんです!
お店を出したい人にとっては願ったり叶ったりの制度なのですが、応募にはある条件が伴います。

寺本さん:邑南町で農業と料理をしっかり学んだ後は邑南町で起業を目指していただきます。
邑南町を発展させていくための人材育成を町でやっているんです。

そう!卒業後は、邑南町で起業を目指すのが「耕すシェフ」のルールです。
みぞれまじりの雨がそぼ降る中、畑では農家さんから、白菜の収穫を学ぶ「耕すシェフ」東京出身の西潟さんと神戸出身の米倉さんの姿がありました。

スタッフ:やはり邑南町でお店を出すのを目指しているんですか?
米倉さん:自分は今年中にお店を出そうと思っています。

制度がスタートし、5年間で邑南町にはイタリアン・ラーメン・日本そばと、3店舗の飲食店がオープンしました。
「耕すシェフ」のおかげで邑南町へと移り住んだ人数は若者を中心に240人!
移住した人による経済効果は…

およそ3億円にもなるんだとか!
これは確かに大きい!

邑南町は、耕すシェフ制度で、がっちり! 

▼スタジオでお話をうかがいました。
加藤さん:行ってみたくなるレストランですね。
進藤さん:AJIKURAさん、本当に好調で町立だったんですが今は民営化されて、観光協会とローカルフードラボという会社が共同で運営しているんです。
森永さん:村や町の大改革には、やっぱりアイディアマンがいるんですね。
IKKOさん:私の出身の福智町でも役場の40代の若い人が、次々と企画案を出していて、すごく良い状態になっていますよ。

落ち葉が経費削減の切り札に!?

続いてやって来たのは…

茨城県との県境に位置する栃木県茂木町(もてぎまち)。
1万3000人ほどが暮らす、のどかな町です。
茂木町農林課の永嶋さんと待ち合わせたのは、とある山の近く。

スタッフ:儲かる町の施設って、この山ですか?
永嶋さん:はい、こちらの山で、一大プロジェクトが行われております!

山の中で行われている一大プロジェクト!?一体何でしょう?
山道を歩いて、永嶋さんの後をついていくこと10分。

山の斜面に、年配のおじさまたちがたくさん。
上の方でも、あっちでも、こっちでも、皆、落ち葉を熊手でかき集めています。

そして、集めた落ち葉を大きな袋に詰めて、斜面から落としています!
どんなプロジェクトなのか、さっぱり分かりません。おじいさんに聞いてみると…

おじいさん:町が買い取ってくれる。
スタッフ:買い取ってくれるんですか?落ち葉を?
おじいさん:そう。

茂木町の一大プロジェクトとは、山の落ち葉の買取りだったのです!

買取価格は、20キロ入る専用の袋で、1つ400円。
この日は8名で、合計100袋の落ち葉を回収したのでトータル4万円。
1人あたり5千円が町からもらえちゃうんです!

スタッフ:落ち葉代は何に使うんですか?
おじいさん:孫の小遣いとかね。

お小遣い稼ぎついでに体も動かせるというので、皆さんこぞって参加しているそうです。

しかし、茂木町は落ち葉を買い取ってどうするんでしょうか?
山のお掃除代ってことですか?

永嶋さん:茂木町にとっては、落ち葉は宝の山なんです。この落ち葉を、町立の美土里館でたい肥化しています。

茂木町の儲かる町立施設は、平成15年に建てられた有機物リサイクルセンター「美土里館(みどりかん)」。

町のおじいさんたちが集めた落ち葉を、こちらの施設で回収し、生ゴミや牛糞などと混ぜ合わせて、たい肥を作っているんです。

でき上がった「美土里たい肥」は、10kg入を一袋500円で販売しています。

スタッフ:売れてるんですか?
永嶋さん:売れてます!つくると全部完売しています!

この「美土里たい肥」、実は栃木県の農家さんに大人気。
道の駅でも、山積みで販売されています。

この日はニラ農家さんがトラックで乗りつけて、500キロもまとめ買い!!

農家さん:やっぱり、たい肥使わないと、良いモノできないから。
良いたい肥使うと、やっぱりお客さんの評判も違うんですよね。

農家さんいわく、栃木の野菜を育てるには、栃木の山の落ち葉で作ったたい肥を使うのが一番なんだとか。
落ち葉に含まれる菌が栃木の環境に合っているので、甘みが増し、野菜がグンとおいしくなるんだと言います。

そして、「美土里たい肥」を使って育てた野菜を道の駅などでは

分かりやすく「美土里シール」を貼って販売しています。
スタッフ:このシール付いてるのって美味しい?
お客さん:甘みがあって、美味しいです。
お客さん:なんか新鮮で、甘さを感じるっていうか。

お客さんにも大人気!堆肥がブランドになるんですね。
気になる「美土里たい肥」の売上げは?

永嶋さん:1,200万円くらいの金額で売れています。

年間売上1,200万円…って、けっこうな数字ではありますが、失礼ながら、町をあげての一大プロジェクトの割にはちょっと控えめでは?

永嶋さん:儲かるだけでなくて、経費を削減するのにもつながっています。

「美土里たい肥」で経費削減!?

永嶋さん:平成11年に牛糞を勝手に畑に撒くことができない法律ができました。

もともと酪農家さんが多かった茂木町。

牛糞の処理を義務付ける法律改正で、酪農家さんの負担が増加し、トータル数千万円かかることもあり頭を抱えることに…。

そこで茂木町は、牛糞に落ち葉、生ゴミなどを加えて「たい肥」にする、町立の「美土里館」をつくったんです。その結果…

永嶋さん:いろいろなことにかかる経費が、8,000万円分削減できました!

たい肥作りのコストは5,000万円。でも、今まで8,000万円かかっていた牛糞や生ゴミの処理費用が無くなるので、差し引き3,000万円のコストダウン。
これにたい肥の売上を入れると、4,200万円のプラスに。
たしかに、これは儲かるビッグプロジェクト!

茂木町は美土里たい肥で、がっちり!

▼スタジオでお話を伺いました。
森永さん:その土地土地のたい肥というのが環境に合っているんでしょうね。
野菜も、美土里シールが貼ってあるとお客さんからの評判も高いんですが、実はあのシールも1枚1円で売るっていうライセンスビジネスをやっているんですよ。その年間売上が220万円くらいあるんです。
加藤さん:シール貼ってある方がお客さんも喜んで買うっていうことなんですね。
森永さん:そして町も儲かるという。

日本全国から進学希望者が!村とともにある学校のヒミツ

続いてやって来たのは、一面の雪景色が広がる北海道。

札幌から、車で北上すること4時間。
稚内の南に位置する、音威子府村(おといねっぷむら)です。
村長の左近勝(さこん・まさる)さんを訪ねました。

スタッフ:音威子府は、どんな村ですか?
左近村長:一言で申しますと北海道で一番小さな自治体で人口が現在800名を切っています。
スタッフ:やっぱり過疎化進んでいますか?
左近村長:進んでますね。残念ですけども。

このままでは村がなくなってしまう!
危機を感じた音威子府村では、あまり例のない作戦で再生を目指しました。

左近村長:非常に特色のある取り組みで、“おとこう”を設置しています。
スタッフ:おとこう?

村長いわく、村を存続の危機から救った“おとこう”は、役場のすぐ近くにあるというので、ついて行ってみると…

左近村長:さぁ着きましたよ〜、これが先程紹介した、おとこうです。
スタッフ:学校ですか?
左近村長:そうです。村立の工芸高校です。

昭和59年に開校した、村立北海道おといねっぷ美術工芸高等学校、通称“おとこう”。
でも、学校が村を救うって、どういうことなんでしょうか?

左近村長:115名が学んでいます。115人の生徒は、すべて音威子府村以外から入学した子どもたちです。

本当に!?生徒さんに出身地を聞いてみると…

男子生徒:愛別町というところです。北海道の。
女子生徒:兵庫県の西宮市です。

道内をはじめ、東京や大分など日本全国から生徒が集まってきています。
授業の内容はというと木材加工が中心の「工芸コース」と、絵画などを学ぶ「美術コース」の2つ。
ここで、専門的な知識や技術を学んでいるんです。

実はこの「おとこう」、もともとは普通科の高校でした。
しかし、いつしか入学者数が1桁にまで落ち込み、廃校の危機に直面。

そこで、「どこにも真似出来ない高校を作って、全国から生徒を集めよう!」と考えたのです。
個性的な学校を作ることによって、生徒を集めるのに成功したのですね。

生徒全員、村外の出身なので、学校のすぐ近くに建つチセネシリ寮で、3年間寝食をともにします。
寮住まい、ということは…

左近村長:全員、音威子府村の村民なので、住民票を登録しています。
わが村の人口が概ね800人ですから、その2割に相当する数が
生徒であり教職員であり、その家族であると。

なんと、音威子府村は、人口のおよそ2割が学校関係者!
まさに学校とともに成り立ってる村なんです。
しかし、失礼ながらお世辞にも立地が良いとは言えないこの村に、なぜ、はるばる日本中から生徒が集まるのでしょうか?

西後教頭:遊ぶところは、公園とか川で散歩するしかないですから。何もないです。
スタッフ:ゲーセンは?
西後教頭:ありません。
スタッフ:カラオケ…
西後教頭:ありません。何もない環境で没頭できるというのがメリットだと思います。

音威子府村には、何にもない!
コンビニでさえ村に1店舗あるだけ。

女子生徒:外に行っても、雪か公園かコンビニしかないのであんまり外でないですね。
でも友達がデッサン頑張ってるのを見ると、やっぱりやんなきゃなって思うので。

都会とは違った静かな環境だからこそ、3年間じっくりと作品制作に打ち込めるんです。
芸術家のタマゴたちには、なによりの環境ですね。
さらに、工芸の実習に使う木材は、村のまわりに生えているものを提供!

女子生徒:木が無料なのでありがたいです。

とにかく「おとこう」の生徒達を、村がフルサポートしているんです!
しかし、村に人が増えても、学校運営や生徒さんの支援にはお金がかかります。
村が学校にかける予算は年間1億円以上。このままではマイナスなのでは…?

この村を救うヒントを聞いてみました。こちらの方に…

澤口さん:元々卒業生で、この仕事をしたくて、音威子府村に戻ってきました。

実習助手の澤口さんは13年前に「おとこう」を卒業しました。
大学も出て一時は札幌で就職しましたが、音威子府村が忘れられず戻ってきたのだとか。
他にもこの2年間で、そば農家や寮職員として、卒業生がこの村に戻ってきました。
村長いわく、今後もさらなる、卒業生の移住を期待しているとのことです。

音威子府村は「おとこう」で、がっちり!

▼スタジオでお話を伺いました。
森永さん:実は卒業生の中から、すでに美術の世界で評価される人が生まれてきているんです。
そうすると「あそこは芸術家のタマゴにとって良い学校だ!」と評判になれば、もっと人が集まるから、経済効果はありますね。

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