過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2015年2月1日放送

特集

職人のスゴ技炸裂!『儲かる 黄綬褒章』 黄色いメダルを手にした男の溶接は一味違う!!

ゲスト

森永卓郎さん、春香クリスティーンさん

番組内容

今回のがっちりマンデーは、「儲かる!黄綬褒章2015」。
長年、仕事一筋で頑張って業績を残し、日本国民の模範になる人に贈られるという凄い栄誉。ってことは、黄綬褒章をもらった人に会いに行けば、儲かりの秘訣もわかるはず!そこで今回は、黄綬褒章でがっちりな企業のヒミツに迫ります!

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◎メリヤス針で黄綬褒章!?

まず最初に、黄綬褒章をもらった人を訪ねてやってきたのは、奈良県葛城市にあるシバタ製針株式会社。
出迎えてくださったのは、三代目の柴田健司社長。

スタッフ:黄綬褒章をもらったスゴい人がいるって聞いてきたんですが?

柴田社長:廣川ですね、匠の技を持っています!

すると、いかにも年代物の機械が並ぶ工場の中に廣川さんを発見!
それが・・・

こちら!
昨年秋の受章者、廣川允一さん。
では一体、何の技術が評価されて黄綬褒章をもらったのでしょうか?

柴田社長:ニットを編むメリヤス針という編み針を作る技術です。

これがそのメリヤス針。
肌着やセーターなどを編むニット編み機に欠かせないもの。

ニット編み機一台で1600本ものメリヤス針が動きながらニットを編んでいくのです。
針の先についたラッチと呼ばれる可動部が開閉して、糸をたぐりながら編んでいくのですが、先端部分の長さ3mm程のラッチ作りが極めて繊細!
そんな仕事に、50年以上携わってきたのが廣川さんなのです。
今では、ラッチ作りのほぼすべての工程が自動になっていますが、ひとつだけ廣川さんにしかできない匠の技があるらしい。
それが・・・

廣川さん:ラッチのスプーンを作る金型というんですか?そういうのが最後まで残っているということです。

スプーンとは小さなラッチの先端にあるさらに小さいくぼみ。
ラッチが閉じた時に針先がスプーンにぴったり収まらないと、高速で動く編み機では、ずれたり引っかかったりして使い物にならない。

まだ細い針金状態のラッチに、上から金型を押してくぼみをつける。
この金型を作るのが廣川さんにしかできないのです!
顕微鏡を見ながら、金型の先端を手作業で削っていくのです。

スタッフ:手作業じゃないとダメなんですか?

廣川さん:先端が小さいので機械では潰れてしまうんです。手作業で左右対称に攻めて落としていくんですよ。

どうあがいても機械では出来ないという廣川さんの匠の技!

作業前と作業後を比較してみると、金型の先端部が見事左右対称に削られているのがわかりますよね?
実は肌着作りに使われるメリヤス針のシェア7割を誇る日本のトップメーカー!
そんなシバタ製針は、廣川さんのメリヤス針でがっちり!

▼スタジオでお聞きしました。


進藤:メリヤス針をお借りしてきました。

加藤:本当に恥ずかしいんですが、メリヤス針を手にするのは人生初です。あっ!凹んでますね!スゴいですね!

森永さん:人間の感覚の精度って機械では越えられないんですよ。だから本当に超精細になってくると最後は人間の感性なんです。

◎アーク溶接で黄綬褒章!

次にやってきたのは、愛知県名古屋市にある三菱重工業株式会社 名古屋航空宇宙システム製作所。
国産ロケット「H2A」やF15戦闘機の部品などを作っている日本のモノづくり最先端の工場。
ここにも黄綬褒章の受賞者がいらっしゃいました!
それが・・・

こちら!
2013年秋の受章者、加藤一也さん。
では一体、どんなお仕事で受賞されたのでしょうか?

加藤さん:航空機・ロケットの溶接の分野で頂きました。アーク溶接の一種ですね。

アーク溶接とは、電気プラズマの熱で、溶接棒と呼ばれる金属を溶かしながらくっつける溶接法で、加藤さんは飛行機やロケットなど、空を飛ぶマシン専門のアーク溶接工なのです。
この道一筋40年の技術が評価されて黄綬褒章を受賞しました。
現在は管理職として後進の指導に当たっているらしいのですが、飛行機やロケットの溶接って他の溶接と何か違うのでしょうか?

加藤さん:やっぱり航空機なんで、機体を軽くしたい。溶接の表の高さと裏の高さの規定がちゃんとされているんです。

そう!機体を軽くするために、あらゆる部品の溶接部分を薄くて丈夫にくっつけないといけない。
普通のアーク溶接でくっつけた鉄板と、ロケットの燃料パイプの溶接を比べてみると・・・

こんなに厚みが違う!
今は現場を離れている加藤さんのことを、後輩の佐藤巌秀さんにお聞きしました。

佐藤さん:入社当時の話になりますけど、これが人間のやる溶接なのかというくらい衝撃を受けました。ロボットがやったんじゃないかというような溶接だったんで!

こちらが加藤さんが溶接した航空機の部品。
溶接部、確かにキレイです!
では、その溶接の技、実際に見せていただきましょう!
という事で、入社3年目の西村拓馬さんと溶接対決!
2枚のステンレス板をピタッとくっつけます。
まずは西村さんから。
すると・・・

加藤さん:西村くん、緊張して手が震えてるよ。

続いては加藤さん!
溶接棒を小刻みにリズムよく送りながら一気に溶接していく。
西村さんや後輩の社員も興味津々。
では二人の溶接を比べてみましょう。

さすが黄綬褒章受賞者!その差は歴然!
一定のスピードで溶接してるから、まっすぐでムラがない!
そんな加藤さんの溶接技術は、今年の春、試験飛行する国産初のジェット旅客機「MRJ」にも使われているんです。
そんな三菱重工は加藤さんのアーク溶接でがっちり!

▼スタジオでお聞きしました。


加藤:森永さん、何が違うんですかね?

森永さん:10年で一人前になると言われているんですけど、わたしアーク溶接経験10年の人に聞いたら、その人でも会心の作ができるのは、100個に一個だって言ってました。だからもうアーティストに近いんですよ。

◎ハサミの修理で黄綬褒章!

次に黄綬褒章をもらった人を訪ねてやってきたのは、岩手県岩手町にある株式会社東光舎。
早速、作業場におじゃますると職人さん達が黙々と作業していました。
一体、何を作っているのでしょうか?
岩手工場 副工場長の庄司洋介さんにお聞きしました。

庄司さん:理美容師さんが使う専用のハサミになります。

そう!こちらの会社が作っているのは、理容師さんや美容師さんが使う専用のハサミ。
普通のハサミより硬い刃物鋼と呼ばれる特殊なステンレスを使い、職人さんが手作業で仕上げている。
一丁3万円から高いものでは7万円を超えるものもあるんだとか。
東光舎はそんな理美容ハサミを全世界に輸出する、日本のトップメーカーなのです。
そして、黄綬褒章を受賞された方が・・・

こちら!
2013年秋の受賞者、久多良弘さん。

理美容ハサミ作りの達人らしいのですが、一人、みんなと違う場所で作業しています。
そのワケは?

庄司さん:これはハサミの修理になります。

久多良さんのお仕事は、全世界の理美容師さんから送られてくるハサミの修理。
理美容ハサミは、新品を作るよりも修理の方がずっと難しい!
理美容師さんの使い方によって、一本ずつ微妙に傷み具合が違うので、それを見極めるのが重要なのです。
そして、久多良さんにしか出来ない作業が・・・

久多良さん:裏スキと申します。ハサミを使いすぎて細くなりますと、元々ひねりがついているんですよ、そのひねりが少なくってかみ合わせが悪くなるんです。それを矯正して今直しているんです。

ハサミの裏側を見ると、なだらかに凹んでいるのです。
この凹みを作りながら、微妙にひねりを加えるのが裏スキで、裏スキしたハサミを閉じた状態で横から見ると・・・

キッチリ隙間ができている!
ハサミを開閉した時に、常に刃の一点だけが交わり、切れ味のいいハサミになるってわけ。

久多良さん:手だと動きが自由に自分で足りないところをカバーできる。機械はそのまま真っすぐ取るだけですからね。

これぞ黄綬褒章を受賞した匠の技なのです。
ハサミを見ただけで、使っている人の癖や、そのハサミが今どんな状態になっているかがわかるらしい。
試しに、スタッフ行きつけの美容室から借りてきた、他社製のハサミを久多良さんに見てもらうと・・・

久多良さん:丸くなって切れない状態になってますね。毛が滑る、多分そう言うと思います。
 
作業場のウィッグで試し切りしてみると・・・

ハサミから切りたい毛が逃げていく感じで滑っているのわかりますか?
これを久多良さんが調整すると切れ味が格段にアップし毛が滑りません!
現在、東光舎では他社製のハサミも含めて、一丁3000円程度で、月に1500本の修理を行っているんだとか。
そんな東光舎は、久多良さんの理美容ハサミでがっちり!

◎三次元測定機で黄綬褒章!

最後にやってきたのは、栃木県宇都宮市にある株式会社ミツトヨ。
こちらの会社、とにかくモノの長さを測るプロフェッショナル!
ノギスやマイクロメーターでは、国内90%のシェアを誇るナンバー1メーカーなのです。
ここにも黄綬褒章をもらった凄腕の職人さんがいるらしい。
生産技術部の小倉勝行部長にお話を伺いました。

小倉さん:アメリカでゴッドハンドと呼ばれた方なんです。

精密測定機を作り出すゴッドハンド!
それが・・・
昨年春の受賞者、大金房さん。
ゴッドハンドで黄綬褒章ってどういうことなのでしょうか?

小倉さん:大金さんに作って頂きました、世界ナンバーワンの測定精度を達成した三次元測定機になります。

大金さんが開発に参加した世界一の三次元測定機「LEGEX9106」。
お値段、なんと4700万円!
三次元測定機とは、立体物の形状を1000分の1mmの精度で測る最先端の測定マシン。
新聞紙の厚さが0.1mmなので、それをさらに100枚にスライスした厚さまで測ることができる!
もはやよくわからいほどのスゴさ!
でもそのお陰で、複雑な形をした車のエンジンやボディまで自動で測ることができ、データが正確だから製品の大量生産にものすごく役立つってことらしい。
では、大金さんのゴッドハンド、三次元測定機のどこに使われているのでしょうか?

小倉さん:超高精度の三次元測定機にはXYZの3つの軸があります。その軸のガイド案内のガイドをラップ仕上げをして、精度を追い込むという作業で大金さんのゴッドハンドが必要になってくるんです。

三次元測定機で一番大事なのは、縦、横、上下の3方向に測定機をスライドさせるためのガイドとよばれる柱。
超正確な測定のためには、このガイドの表面が限りなく平でないといけないのです!

大金さんはこのガイドを、ラップと呼ばれる手作業で削る達人!
でも正直、人の手でやるより機械の方が正確にできそうな気もしますが?

小倉さん:機械の加工精度は限界があります。それ以上の精度を要求しようとすると、ゴッドハンドのようなラップ作業が必要になってくる。

肉眼では真っ平らに見えるガイドも表面を正確に測り、縦方向を10万倍に拡大すると・・・
デコボコ!
板の両サイドが1000分の3mmも出っ張っている!
これがラップ作業でどこまで平らになるのでしょうか?
入社4年目の市本健太さんと比較してみることに。
まずは市本さんから!
研磨材を塗ってラップ定盤と呼ばれる金属で表面を削るのですが、この時に参考にするのがラップ前の面の状態。

続いて大金さんもゴッドハンド解禁!ラップ作業に入った!
どれくらい削れているのか手元の感触でわかるのでしょうか?

大金さん:わかるくらいだと逆に失敗しちゃいます。弱い力で時間で調整するようなかたち。

そして、3分ほどでラップ対決が終了。
まずは、市本さんの削った面を測ってみると・・・
平面に近づいてはいるけれど、両サイドをちょっと削りすぎたような。
一方、大金さんはというと・・・

ご覧の通り平面になってる!さすがゴッドハンド!
大金さんのラップ技術で磨かれた三次元測定機は、これからのミツトヨの儲かりの柱になること間違いなし!
そんなミツトヨは大金さんのゴッドハンドでがっちり!

▼スタジオでお聞きしました。


加藤:なぜできるのか全然わからない!森永さんどういうことですか?

森永さん:だから本当に感性なんですよ、本当に神の領域なんですね。だから機械でまっすぐ削るっていうのは出来ても本当にその先に行こうと思うと機械では無理なんです。

加藤:スゴい作業だな、なんか本当に大金さんは達人みたいでしたよね!やっぱあの様な技術は継承していかないといけないですね。

森永さん:黄綬褒章をとられる方って後進の指導が一番大切だって必ずおっしゃいますよね。

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