過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

過去の放送内容

2013年9月8日放送

特集

虫ビジネス

ゲスト

森永卓郎さん・大沢あかねさん

番組内容

がっちりマンデー!今回のテーマは「虫」。
子どもの頃夢中になったのに、大人になって嫌がってる人、多いんじゃありませんか?
しかし!そこには、ビジネスになるヒミツがたくさんありました!
そこで、今回は儲かる虫ビジネスの裏側に迫ります!

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トンボの羽のメカニズムでゆっくり飛行!

まず最初にやって来たのは、大分県にある日本文理大学の航空宇宙工学科。
航空宇宙工学と虫、一体どんな関係があるのでしょうか?
小幡章教授にお話を伺いました。

スタッフ:どんな虫の研究をしているんですか?
小幡さん:トンボなんです。スゴイですね。やればやるほどスゴイ。

教授を夢中にさせたトンボのスゴさ!
それは・・・

ゆっくり空を飛べちゃう所!

小幡さん:簡単に言うとプラモデルを軽くして飛ばしたら飛ぶかって話。数十センチの模型っていうのはよく飛ばないんです。今まで飛ばない理由がよくわからなかった。

飛行機が飛ぶ秘密、それは翼の形!
上の方が山のような形になっていますよね?
この形に強い風が流れると、下の方より上の方が空気が遠回りする分、ちょっと薄くなる。
すると、薄い方に羽根が引き寄せられ飛行機が空に浮く!というワケ。
しかし、この仕組みで飛行機を飛ばすためには、相当速いスピードが必要なんです。

小幡さん:トンボはちゃんと飛ぶんです。
スタッフ:トンボはゆっくり飛んでますよね?

確かにトンボはゆっくり空を飛んでる。
羽も真っ平らで薄っぺらく、飛行機の形とは違う!
そこで小幡教授はあることに気がついた!

小幡さん:羽が4枚ありますね、この断面がギザギザしてるんですよ。これがスゴイんです。

トンボの羽をよく見てみると、表面が凸凹しているのがわかりますよね?
小幡教授はここにスゴイ秘密があることを発見したのです。
水の力で風の流れを再現する水流装置でトンボの羽の断面を調べてみると・・・

真ん中のオレンジ色の線がトンボの羽、黄色に見えるのが風の流れ。
凸凹の羽によって、上の方に小さな渦がたくさん出来ています。
この渦が飛行機の翼のような形を作り、風もうまく流してくれるので、飛行機と同じように、空に浮かぶ。
速度が遅くても大丈夫ってワケなんです!
そんなトンボの羽を真似て作り上げたのが・・・

こちらのトンボロボット!
確かに羽の表面が凸凹しています。
小さく軽いのに、ゆっくりでも全くぶれずにスイスイ飛ぶ!
災害地での探索飛行ロボットなど、活躍が大きく期待されています。

さらに、トンボの羽のメカニズムを風車に応用。
わずかな風でも回るんだとか!

小幡さん:今までの小型風車だと値段が一桁高い、これですと一桁下がる可能性があるんです。

コンパクトで持ち運びもラクラクなのでこんなことも・・・

邪魔にならずに簡単に風力発電。
これはかなり儲かりの予感!
小幡教授のトンボの羽に対する情熱は、まだまだがっちりと何かを生み出しそうです!

タマムシを応用してステンレスが発色?

続いてやって来たのは、新潟県にある株式会社中野科学。
こちらはステンレスなどの金属加工の会社。
出迎えてくださったのは、中野俊介専務。

スタッフ:虫を使ってがっちりされてるって聞いたんですけど?
中野専務:はい、がっちりやってます!

では一体、何を作ってがっちりやっているのでしょうか?
それが・・・

こちら!

中野専務:これはステンレスの酸化発色です!

専務自慢の製品は、酸化発色ステンレス!
様々な色がキレイについていますが・・・

中野専務:ステンレスに全く着色しないで色をつける技術になります。人間の目には色がついて見えるんですけど、色素は一切入ってないんです。
スタッフ:そのままステンレスなんですか?
中野専務:ステンレスそのままです。ステンレスオンリーで色がついて見える!

着色なし、ステンレスオンリーなのはわかりましたが、どんな虫と関係があるのでしょうか?

中野専務:タマムシと関係があります。

そう!タマムシ!
羽の表面が、見る角度によって様々な色合いに輝くちょっと不思議な虫!

中野専務:タマムシの色の仕組みと酸化発色の色の仕組みが、同じ方法で色がついてるんですね。

タマムシがいろんな色に見える仕組みを簡単に説明すると、そもそも色は、光がモノについている色素に反射することで目に届いているのですが、タマムシの表面は多層膜構造と呼ばれ、光を反射する膜がいっぱいある。

見る角度によって、光が反射する膜も変わるのですが、その膜の厚さによって色も違うって仕組み!

中野専務:このステンレスの酸化発色も表面に透明な膜がついていて、色んな色がついて見えるんですね。

その方法は、ステンレスを強力な薬品の中にドボンと入れる!
表面を酸化させることで、人工的に反射する膜を作る!
膜の厚さを作り分けることで、様々な色に輝くステンレスができるというワケ。
酸化発色ステンレスは、さびにくく、何より色を着色してないので医療現場や、食品加工工場などにピッタリ!
会社の期待を背負う3代目の中村専務も、酸化発色のさらなる可能性を考えているそうなんです。

中村専務:加藤さん、森永さん、この酸化発色ステンレス、どういう所に使ったらいいか、ぜひ教えて下さい!

★スタジオでお聞きしました。
森永さん:色をつけてないから、塗料が落ちる心配はないですから携帯電話とか。

加藤:家電製品とかも表面これだったらカッコイイですよ。

家電といえば、今大人気の家電にも虫を応用した技術があるんです!
例えば・・・

こちらはトンボの羽をファンに使ったという、プラズマクラスター空気清浄機。
左が通常のファン、違いがわかりますか?

進藤:これでより空気の循環が良くなるし、音も静かなんです。

そして、こちらの扇風機の羽は、アサギマダラ蝶の羽のくびれを応用!

進藤:アサギマダラ蝶の羽のくびれを真似ることで、7枚の羽で14枚分のやわらかい風を生み出すんです。

ヒカリコメツキムシで薬を開発!?

続いてやって来たのは、茨城県つくば市にある産業技術総合研究所。
国からの支援を受ける大きな研究施設でも、今、昆虫が大注目!
早速、お邪魔することに。
出迎えてくださったのは、産業技術総合研究所 バイオメディカル研究部門の近江谷克裕博士。

スタッフ:ここはどんな場所なんでしょうか?
近江谷さん:創薬研究、薬を作るための基盤になるような技術を私たちは開発しております。
スタッフ:こちらでは何の虫でがっちりなんでしょうか?
近江谷さん:私は光る虫でがっちりやっております!
スタッフ:光る虫ってホタルですか?
近江谷さん:いやいや、もっとスゴい光る虫がいるんです!ヒカリコメツキムシです!

こちらがヒカリコメツキムシ、白い目玉のようなモノが発光器。
蛍の約10倍の明るさで、中南米だけに生息するめずらしい虫!

スタッフ:これがそんなにスゴい虫なんですか?
近江谷さん:スゴいです!コレによって新しい薬がきっと見つかると思います。

ヒカリコメツキムシの光は、新しい薬を開発する時、人間の細胞を見るのにスゴく役立つのだとか。

近江谷さん:細胞は色んな薬が来た時、あるいは毒が来た時に応答します。どんな風にシグナルを出しているか、なかなか見えないわけです。

新しい薬を試すには、人の細胞がどういう反応をしめすかを確かめなければダメ!
細胞が「大丈夫ですよ〜!」って合図しているのか、「こりゃダメですよ〜!」って合図しているのか、細胞の動きや形の変化を見極めなければいけない。
しかし、この合図、普通は見えません。
だから・・・

近江谷さん:そこで細胞の中に色をつけるってことで色の代わりに光を使ってみます。従来は蛍の光を使っていたんですけど、蛍の光だと弱くて困っていたんです。ちょっと弱すぎて微妙なシグナルが見えなかったんです。

白くポツポツ見えるのは、蛍の発光物質「ルシフェリン」を使い見やすくした人のがん細胞。
丁度、レントゲンのバリウムのような感じ。
でも、これでは微妙な形が見えずらかった!
もっと強いルシフェリンはないものかと、博士がブラジルで見つけたのがヒカリコメツキムシの光!

近江谷さん:森で見た瞬間「コレだ!」って思いました。こんなに明るい虫がいるんだと!!

そして、これがヒカリコメツキムシの発光物質を使ったガン細胞の画像。
蛍よりハッキリ光って、より細かく細胞の形が見える!

近江谷さん:最終的には白黒テレビのような情報から、カラーテレビの情報になるように細胞の中の色んな動きを色を通して全て見るようにする。そういうことを考えています。

ヒカリコメツキムシの発光物質を改良し、様々な試験薬を開発。
その技術を製薬会社に提供し、新しい薬の開発に役立てているのです!
この研究所から、日本だけでなく世界を救うイノベーションが生まれるかもしれません!

蚊を応用して注射針を開発!

続いてやって来たのは、兵庫県西宮にある一軒のお宅。
出迎えてくださったのは、株式会社ライトニックスの福田光男社長。
元々製薬会社に勤めていたという福田社長、ある虫に目をつけて10年前に脱サラ!
数人の仲間とベンチャー企業を立ち上げたのです。

スタッフ:どんな虫ビジネスなんでしょうか?
福田社長:飛んでる虫がいるでしょ?痒くてたまらないでしょ?
スタッフ:蚊ですか?
福田社長:蚊です!蚊に似せたものを作ったんです!

そう!福田社長が目を付けたのは蚊!
では一体、何を作ったのでしょうか?

福田社長:痛みが少なくなる針を作りました。

福田社長が作ったのは、痛みを軽減する注射針!それも病院で頻繁に使用される採血用の注射針!
今までも、針を細くして痛みを和らげた注射針はありましたが、福田社長が作った注射針がスゴいのは、ほとんど痛みを感じない所!

実際に使っている小児科の病院を覗いてみると・・・

ご覧の通り!
子ども達も痛みに気づかないほどのヒミツが蚊にあるというのです!
蚊に刺されても、気づかないって事ありますよね?
そこで社長は、気づかないのは蚊の口にヒミツがあると考えた!
蚊を真似た注射針の先を顕微鏡で見せて頂くと・・・

なんだか横にギザギザが付いてる!
これこそ、蚊に刺されてるのに気づかないヒミツ。

福田社長:面抵抗を全くなくすためにギザギザをつけているんです。

普通の注射針だと、針全体が細胞に触れるため、抵抗が大きい分痛みも大きい!
ところが、蚊を真似たギザギザの注射針だと、当たる面積もちょっとなので、痛みもそのぶん和らぐってワケ。
さらに・・・

福田社長:今までの注射針は金属なんですけども、この針は樹脂で出来ています。

そう!福田社長の作った注射針は、でんぷんから作った植物性の樹脂。
だから、金属の針に比べ処理が簡単。
去年の発売開始から既に10万本を出荷!評判も上々!

スタッフ:これから儲かるんじゃないですか?
福田社長:これからがっちりです!

最初は脱サラにビックリしたご家族も、今ではお父さんを応援!
ビジネスも軌道にのって、現在は三女の萠さんが営業を担当しているんだとか!
そんなライトニックスは、蚊の針でがっちり!

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