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「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2012年8月19日放送

特集

藻から石油?新型ビタミンを発明!その裏にはスゴイ「化学式」が!

ゲスト

森永卓郎さん(経済アナリスト)、西川史子さん

番組内容

がっちりマンデー!今日のテーマは「儲かる化学式」!
「化学式」といえば、学校で習った、水はH₂Oとか、二酸化炭素はCO₂、などのこと。あのアルファベットのかたまりを見ただけで頭が痛くなる、なんて方もいるのでは?
しかし、あの式の中には、上手く使えば、儲かるチャンスがたくさん!化学式で、"がっちり"な人たちが、世の中にはいっぱいいるのです!
そんな、「儲かる化学式」のヒミツに迫ります。

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藻から油を作る化学反応式!「(株)デンソー」

最初の儲かる化学式はこちら!
「6CO₂+6H₂O→6O₂+C₆H₁₂O₆」
これは、植物の葉っぱが日光を浴びてやっている「光合成」の化学反応式のことです!二酸化炭素を葉っぱから、水を根っこから吸い込んだ植物が酸素を吐き出すことを表しています。

この式を使って、光合成で儲けているとは、一体どういうことなのか?伺ったのは、株式会社デンソーの善明製作所。出迎えてくれたのは、新事業推進室部長の渥美さんです。デンソーという会社、カーエアコンやカーナビなど、自動車関連部品を作って、売上実に3兆円以上という大企業なのですが、どうやって光合成の式で儲けているのでしょうか?

渥美さんについていくとそこには、全面ガラス張りの温室がありました。中には掃除をサボった流れるプールみたいな緑色の水がぐるぐる回っています。これは一体何なのでしょうか?

渥美さんによると、この緑色は「藻」の緑色だということ。でも、藻なんか育てて儲かるのでしょうか?

渥美さん:この藻は特別な藻で、体の中に油をつくるんですよ。

なんと、この温室で作っているのは「油」!石油の代わりを「藻」の光合成で作るという夢の技術なのです。どうしてそんなことができちゃうのでしょうか?

渥美さん:光と水と二酸化炭素で、光合成によって糖と酸素を出し、糖を体内で代謝させることで油を作っています。その油は中性脂肪といって私達の体内にある中性脂肪と同じなんです。

最初にでてきた、光合成の化学反応式をもう一度見てみると・・・
「6CO₂+6H₂O→6O₂+C₆H₁₂O₆」
二酸化炭素と、水で、酸素ができます。そして酸素と一緒にできている「C₆H₁₂O₆」が「ブドウ糖」なのです。ブドウ糖はあらゆる生き物のエネルギーのもとになる物質です。渥美さんによると、藻の中にブドウ糖ができた状態で藻にストレスを与えると、ブドウ糖が中性脂肪、つまり油になるのだそうです!

後はその油を、藻から取り出す作業です。まずは、水中の藻を乾燥させる。すると藻がパサパサでフワフワのパウダー状態になります。これを特殊な液体にまぜると下から黒っぽい液体が出てきます。これが、藻の中にある油です。

なんと、本当に藻から油が出来てしまいました!でも、光合成はいろんな植物がするのに、なぜわざわざ、藻から油を作るのでしょうか?

渥美さん:木ですと茎や葉や根や実になり、その実の中の3割が油になるが、藻は全体の3割が油になるため効率よく油を作れるんです。

そう、藻の光合成は、とにかく効率がいい!花も実もつくらないので、エネルギーのほとんどが油づくりに生かされるのです。しかも、デンソーが育てている藻はさらにスペシャルバージョン!

この藻はシュードコリシスティスといって、成長速度が非常に早いのだそうです。デンソーの研究者の方が、日本のとある温泉で見つけたそうで、藻の中でもとくに油をガンガン作る藻だそうです。世界的なすごい技術なので、どこの温泉かはナイショということです。
藻の油は車の燃料にするため現在開発中!2020年頃の実用化を目指しているのだそうです。

肝臓を助けてくれる化学反応式!「ゼリア新薬工業(株)」

続いての儲かる化学式はこちら!
「CH₃CH₂OH→CH₃CHO+H₂」
この式で最近儲かっているところがあるらしい!と、いうわけでお邪魔したのは、ゼリア新薬工業株式会社。ゼリア新薬さんは、何で儲かっているのでしょうか?

山田さん:当社では「ヘパリーゼ」を作っているんです!飲み会などで疲れがちな方に効く滋養強壮剤です!

この「ヘパリーゼ」、飲み会や接待などで疲れた時に効くということで、今すごく売れているとのこと!ドリンクだけで1000万本、昨年の売上げは68億円以上って言うからすごい!そのヒミツがこちらの式。
「CH₃CH₂OH→CH₃CHO+H₂」
これは「肝臓でのアルコール代謝の化学式」のことで、ひらたく言うと、「よっぱらい」を科学的に表した式です。
「CH₃CH₂OH」の部分がアルコール。これが、体の中に入ると、「H」つまり水素が2つ外れて、「アセトアルデヒド」という物質になります。実は、このアセトアルデヒドが悪い奴で体の中のタンパク質2つをくっつけてしまいます。するとタンパク質はまともに働く事が出来なくなって、頭痛や吐き気、だるさといった症状として表れるのです。

ある程度のアセトアルデヒドなら、体のなかの「肝臓」が分解してくれるのですが、飲み過ぎるとそれが追い付かなくなって、アセトアルデヒドが体内にたまり、二日酔いになったりするのです。そこでヘパリーゼの登場です!このヘパリーゼ、いったいどう働いているのでしょうか?

山田さん:肝臓にいい成分がいろいろ入っていますが、その中でもメイン成分が肝臓水解物です。肝臓水解物とは良質な豚の肝臓を細かく分解致しまして、肝臓の働きを元気にする成分を抽出したものです。

ヘパリーゼの主成分のもとになっているのは、なんと豚の肝臓!ブタさんの肝臓パワーを借りて、私達の肝臓をサポート!気分もスッキリ爽快というワケなのです。
さて、今や大ヒットドリンクのヘパリーゼですが、その開発は意外に古く、1969年。当初は錠剤でした。そこからおよそ40年間、地道に販売を続けてきましたが、ほとんどの人が知りませんでした。

山田さん:やはり製品がいいのはわかってるんで悔しかったですね。

そこでゼリア新薬では、3年前に思い切ってテレビCMを開始!すると、一気に大ブレイクしました。ヘパリーゼの売上げは、CM放送を開始する前の年と比べると、なんと50%もアップしたのでした。

新型ビタミンCの化学反応式!「(株)アスコルバイオ研究所」

続いての儲かる化学式はこちら!
C₆H₈O₆+C₆H₁₂O₆→C₁₂H₁₈O₁₁+H₂O
なんじゃこりゃ?という感じの式ですが、これ、皆さんも一度はお世話になったことのあるアレの化学反応式。しかもこれまた儲かっているらしい!
そんな儲かり式を生み出した方の元へ岡山県の「(株)アスコルバイオ研究所」に伺いました。出迎えてくれたのは山本格社長、72歳。山本さん、一体何を作ったのですか?

山本さん:新型のビタミンCなんですよ

新型のビタミンC?ビタミンCといえば果物や野菜に入っていて病気になりにくくなるなんていうけっこうおなじみの栄養素。それの「新型」って今までのものとどう違うのでしょうか?

山本さん:光あるいは熱に弱かったのが、そういう条件では壊れなくなりました。

なんと、山本さんが作ったのは壊れないビタミンC!そういえばビタミンCは熱に弱いから野菜はなるべく生で食べようなんて聞いたことあるような・・・。そう、ビタミンCは体にはいいのですが、熱や光で壊れやすいというのが大きな弱点。その理由は化学式にありました。

ビタミンCの化学式は「C₆H₈O₆」。形にするとこんな感じです。

山本さん:実はここのところに酸素がひっついてしまうとこれが分解していく性質を持っているんです。

そう、ビタミンCはそこが弱点で、そこに酸素がひっつきやすく、ひっつくとビタミンCがビタミンCでなくなってしまうのです。そこで山本先生考えました。

山本さん:だから違う分子をここに結合させればいいと、壊れやすい部分にフタをしました。

ビタミンCの弱いところに「ブドウ糖」という物質をピタッとくっつけちゃったのです!最初に出てきたこの式・・・
C₆H₈O₆+C₆H₁₂O₆→C₁₂H₁₈O₁₁+H₂O
これはビタミンCにブドウ糖をくっつけて新型ビタミンC完成!という意味だったのです。でも本当に成分が壊れないのでしょうか?

山本さん:それを今日はお見せしようと思ってます。
スタッフ:自信満々ですね。
山本さん:私に自信があるんじゃなくて化学がそれを証明してくれます!
スタッフ:恐れ入ります。

実験の内容は以下の通り。
1.左の試験管には従来のビタミンC、右の試験管には新型ビタミンCを用意します。
2.沸騰したお湯で15分加熱したあと、紫の試薬をそれぞれの試験管の中に入れます。

ここで、ビタミンCが残っていれば液体が黄色に変化するそうです。はたして新型ビタミンの実力はいかに!?

あれ?新型も紫のままですが・・・?

山本さん:酵素が働きますとブドウ糖(グルコース)が切れてビタミンCとして活性化するようになるわけです。

なんと、ブドウ糖がくっついたままだとビタミンCとしては働かない!そこで、新型ビタミンCが入った試験管に「酵素」をいれて、紫色の試薬と混ぜ合わせると、次第に色が薄くなり、黄色に変色しました。

この酵素は、私達みんなの体内にあるもの。つまり、山本さんが発明した新型ビタミンCは、体内に入ると酵素の力で「ビタミンC」に変身するという、すごいものなのです。

この新型ビタミンCの開発に成功したのは1989年、社長が岡山大学の研究室で大学の教授をしていた頃だそうです。そんな山本先生が生み出した「壊れにくい」新型ビタミンCは瞬く間にいろんな業界で引っ張りだこになりました。サプリメントだけにとどまらず今や国内8割の化粧品メーカーがこのビタミンCを採用っていうからスゴイ!さらに自ら会社を立ち上げ2005年から販売を始めた「プロビタC」も大ヒット!累計売上げは1億円を突破!

新型ビタミンCで今後も「がっちり!」間違いなしですね!

▼スタジオでお話を伺いました。
進藤:今後儲かりそうな化学式はありますか?

森永さん:「光硬化性樹脂」です。プラスチックで液体の樹脂に紫外線を当てると固まるという化学反応式があるんですけど、それを利用して、光硬化性樹脂に光を当てて3次元のものをプリントするという「3Dプリンター」として使うことができるんです。

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