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「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2012年1月22日放送

特集

せまい業界シリーズ第13弾!「アミ業界」

ゲスト

森永卓郎さん(経済アナリスト)、岡本夏生さん

番組内容

今日のがっちりマンデーは大好評のせまい業界シリーズ!
第13弾となる今回のテーマは、「アミ業界」!
そのトータル出荷額は、2026億円!
意外にがっちり儲かっている「アミ業界」の裏側に迫ります。

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お魚を育てる最新網

儲かる網を求めて、やってきたのは、長崎県諫早市の粕谷製網株式会社。
迎えてくれたのは、粕谷勝会長。
どんな網を作っているのか、さっそくお話を聞いてみる事に。

粕谷会長:養殖。魚を育てる網ですね。

そう、粕谷製網は、漁師さんが使う「漁網」の大手メーカー。
なかでも、養殖用の巨大イケスの網で、アミ業界を揺るがす大ヒット商品を生み出したのです!
それが「KIKKO NET」(亀甲網)!この網、一体、どんな網なのでしょうか?

粕谷会長:錆びなくて長持ちするというのが一番の特徴なんですよ。

そう、錆びない。
これまでの養殖網は、サメなどに網を噛まれても耐えられるよう、がっちりとした金網が主流だった!
しかし、3年もすると、錆びてあちこちが痛みだす。
そうなると交換するしかないのだが、これが高い!
例えば、養殖マグロ用の金網生簀だと、1セット約1000万円!設備投資も大変!

粕谷会長:錆びない網はない物か?という漁民からの声があってですね。

そこで目をつけたのが、ポリエステル樹脂。
確かに錆びないが、金網に比べ重さがない分、どうしてもユラユラ動いちゃう。

で、しばらく経つと、摩擦で切れてしまう。
実際に、網が切れてしまって、魚が逃げた事もあったのだとか。
網が切れてしまうのは、アミ業者にとっては一番の恥。
なんとか網が緩まないように、と会長が考えたのが、「ネジり」を加えた六角形の網目!

そうして、「KIKKO NET」(亀甲網)ということで売り出しました。
では、本当に、海の中でも緩まずしっかりしているものなのか?  
実際に使っている現場を案内してもらうことに。
長崎沖、軍艦島の程近く。
今回見せて頂いた生簀は直径40mという最大級のもの。
通常の金網は3年が寿命。こちらは使ってから5年目とのことですが…

確かに何ともないようです。
「KIKKO NET」を利用する株式会社カヤキの代表取締役・馬越さんに話を聞いてみると…

馬越さん:「KIKKO NET」自体がですね、衝撃を吸収するんですよね。マグロっていうのは、結構、衝突死する魚なんですが、この網のおかげで衝突しても助かって生き残ってるのが、結構いるんですよ。骨をみれば、分かるんですよ。

大きいマグロだと、一本100万円で卸されるだけに貴重な商品。
交換いらずの「キッコーネット」、お値段は金網の倍くらい。
直径40mのもので、一張約2000万円だが、23年間使ったもののサンプルを見ても、網に全く問題はなし。
この「KIKKO NET」は、"錆びなくて、長持ちする網"と養殖業者さんたちの間で、口コミで評判となり10年前くらいから広まり始めました。
そんな「KIKKO NET」を作る様子を今回特別に見せて頂けることに!
工場に入ってみると、なんとも独特で巨大な編みこみマシンが!
大量の糸が、一斉にマシンに送り込まれ網を作っています。
ポイントは糸が集まるこの部分。

粕谷会長:温められてここを通過するんです。

ポリエステル樹脂は、曲げても元に戻ろうとする性質がある。
そこで90度の熱で、柔らかくして、ネジネジネジと3ねじり。
これにより、糸同士が擦れずしっかりと固定できる。

試行錯誤の末行き着いた、この「ネジる技術」が丈夫で錆びない網を可能にしました!
こうして出来た「KIKKO NET」。
これをつなぎ合わせると、最大40mの巨大養殖網になります。

スタッフ:ぶっちゃけた話、儲かってますか?
粕谷会長:おかげさまで、通常の3倍〜4倍の売り上げになったんです。

去年売れた意外な網

続いてやってきたのは、静岡県島田市にある、ナカダ産業株式会社。
迎えてくれたのは、常務取締役の仲田佳浩さん。
実は、この会社、街で見かける色んな網を作っています。
ゴルフのネットに、動物の侵入を防ぐ網、サッカーのゴールネットから、ゴミ押さえ用ネットまで!
製品総数実に約1000種類という、網の大型デパート!!
ナカダ産業がスゴイのは、それぞれ網ごとに、機械を持っているところ。
例えば、不気味な動きをしてるこちらの機械。

真ん中でなにやら編んでいます。
この機械で編んでいるのは、結び目がない「無結節網」。
3本の糸が、2対1で、複雑に絡み合い、結び目がないので、動物や人間がぶつかっても体を傷つけない!

テニスコートのネットなどにも使われています。
そして巨大なマシンで作っているのは、「ラッセル網」という網。

簡単に作っているように見えますが、6本の糸を複雑に編んでいく。
がっちり結ぶのではなく、輪のようなっているので、伸び縮みしやすいのが特徴。

工事現場の安全ネット用などに、大活躍しています。
中でも、去年の夏、売れに売れたラッセル網があります。
それが、「クールルーフネット」。
屋根につけて、光を遮って、省エネにつなげる商品。
実際に、クールルーフネットを使っている会社にお邪魔して、その様子を見せてもらうことにしました。
屋上を見てみると、一面、網が張られています!

網をはることで、太陽の光を7割遮り、直射日光を防いで、さらに、空気を通すことで、熱気を逃がすという仕組み。
実はこれ、かつての日本家屋の茅葺屋根と同じ原理なんだそうです。
張るだけで室内温度の上昇が約3度抑えられると、電力不足と猛暑が襲った去年の夏、売れまくり!
そのお値段は、1平方メートル当たり約5000円です!

京都の手編み金網

続いて向かったのは、京都市北区の「金網つじ」。
迎えてくれたのは、主人の辻賢一さん。
一体、どんな網を作っているのでしょうか?

辻さん:手仕事で調理道具を作っています。

そう、こちらで作っているのは、「手編み金網」。
豆腐すくいや、茶こしといった昔ながらの日本の道具を、京都に伝わる手編みの製法で作っているんです。
子供の頃から、父親の仕事の手伝いをしていたという辻さんは、手作りの伝統を守る数少ない職人。

辻さん:道具によって、細かい網目から大きい網目まで、自由自在にお客様の要望で、色んなものを作る事ができます。

手作りで網を作る上でのポイントとは?

辻さん:右の指で押さえて、左手の人差し指を使っての針金を送り方、指の動かし方が非常に重要になってきます。

2巻きずつ、力を入れ過ぎず、弱過ぎず。
すると、やさしさを感じる六角形が並びます。
機械ではなかなか出来ない細かい加工が出来るのが、手編みの金網のいいところ。
例えばこの豆腐すくいは、亀甲模様の中に菊の模様を入れた"菊出し"という技法。

こちらは平安時代から伝わるお香の陶器に合わせ、飾りの蓋を"七宝編み"という編み方で作ったもの。

網もこうなると、もはや芸術品。

辻さん:編んでいる時の気持ちが重要。夫婦喧嘩の後はできないんですよ。

そして最近一番のヒット網がこちら!

セラミック付き金網、4515円!
これでパンを焼くと、ふっくら美味しいと、大評判なんだそう。

今なぜか 蚊帳が!

続いてやってきたのは、兵庫県宝塚市にある、住友化学の健康・農業関連事業研究所。
迎えてくれたのは、主席研究員の庄野さん。
さっそく、どんな網を作っているのか聞いてみました。

庄野さん:我々が作っているのは、蚊帳です。

そう、住友化学が作っている網は、昔ながらの「蚊帳」!
でも、今時「蚊帳」って、そんなに売れるのでしょうか? 

庄野さん:マラリアという病気があって、蚊が寄生虫を媒介する病気なんです。今、アフリカを中心とした国々では、依然として深刻な問題になっています。

アフリカや東南アジアなどでは、今でも蚊に刺されると「マラリア」という危険な病気にかかる恐れがある。
そんな地域では、住友化学の「蚊帳」が大いに効果を発揮しているんです。
こちらで作る蚊帳には、あちこちに独自の工夫が!

庄野さん:普通の蚊帳と比べて、目が粗いですね。

日本の従来の蚊帳は、網目が2ミリ四方ですが、この蚊帳は4ミリと、ちょっと大きめ。

でも、どうしてなのでしょうか?

庄野さん:蚊の羽の幅の広さというのが、4ミリ以上は必ずありますので。アフリカとか熱帯地方で使う時に、中で寝るだけでも非常に暑いということがありますので。

蚊は通さず、かつ通気性が良い。
研究の結果はじき出されたのが、この「幅4ミリの六角形」!
さらに、この蚊帳には、住友化学の得意技を生かした、とっておきのヒミツ兵器が!

庄野さん:殺虫剤を練り込んだ樹脂から、この蚊帳は作られています。

実は住友化学、国内大手の殺虫剤メーカーに薬剤を提供する殺虫剤の隠れたトップメーカー。
このノウハウをいかし、天然の除虫菊からとれる「ペルメトリン」という殺虫成分を繊維に練り込んで作っているんです。
しかも!防虫効果が5年も持続するというスグレモノ。
ケニアのある村では、この蚊帳でマラリアの感染率が55%から13%に大きく減少したっていうから、スゴイ!
蚊帳という昔からある網が、多くの命を救いました。

細かすぎ!究極の網

続いては、兵庫県県神戸市の布引製作所。
何やら、ちょっと変わった網を作っているそうですが… 
ということで、安藤隆社長にお話を伺いました。

安藤社長:こういう製品を作っております。金属の板に小さい穴をいっぱい開けている製品です。

一見タダの金属の板。
でも、よく見るとびっしりと穴が開いている!A4の大きさに、約40万個もの穴が!
なんと0、25ミリという、シャープペンシルの芯が通らないほどの小さい穴!
でもこれ、一体何に使うのでしょうか?

安藤社長:これは砂糖や塩ですね。

そう、この網、砂糖作りには欠かせないんです!
砂糖作りは、サトウキビから糖分を絞り出し、最終的に遠心分離機で、漉していくのですが、その遠心分離機のこの部分!

フィルターに使われているのが、細かい穴の開いた先ほどの精密金網。
これによって、網の目よりほんの少しだけ大きい砂糖だけが中に残るってわけ。
実は、精密金網は他にも、シェーバーの肌と接する部分やスピーカーのネットなど様々な商品に使われています。
そんな精密金網のトップメーカーが、布引製作所なんです。
こうした精密金網は、金属の板に穴を開けて作るのですが、穴を開けるのは、金型に埋め込まれた釘。
だから、金型が正確じゃなくちゃならないんです。
生産技術部長の岡さん曰く、「金型が命」!
そんな金型作りは、まず、釘を入れるための穴作りから。
ぴったり等間隔に、細いドリルを操作。

途中で一回でもドリルが折れると、一からやり直し。
気の遠くなりそうな作業です。
金型職人は、ドリルの刃は必ず自分で研ぎます。
素材の硬さによって、刃の角度を変え、ドリルが折れにくいよう、硬いものほどトンガリを抑え、刃の抵抗を減らすなど、こまめに調整
金型が出来たら、0、8ミリ間隔で釘をつけていく。
それをマシンにセットしたら、いよいよ穴開け開始!精密な金網が作られていきます。
取引先は2000社以上!地味だけど、儲かっています!

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