過去の放送内容

「がっちりマンデー!!」毎週日曜あさ7時30分から

がっちりマンデー!!

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2011年3月27日放送

特集

スゴイ人が選ぶ スゴイ人 大田区町工場編

ゲスト

森永卓郎さん(経済アナリスト)、眞鍋かをりさん

番組内容

今回のがっちりマンデーは、新企画「スゴイ人が選ぶスゴイ人」!
どんなスゴイ人にも、きっと「この人にはかなわない」って人がいるはず。
それをずっとたどっていけば、とんでもない "すごい人"が見つかるに違いない。
今回は職人さんの街・東京都大田区でスゴイ人を探します!

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金属加工がスゴイ!因幡嘉仁さん

まず、スタッフが情報収集のため、やってきたのは「大田区産業振興協会」。
さっそく広報の大橋弘さんに聞いてみました。

スタッフ:ここはスゴイよ!みたいな情報を教えて頂きたいのですが…
大橋さん:たくさんあるんですけどね。矢口に何でもやってくれる工場があります。まずは、そこに行ってみては?

ということで、大田区矢口にある(有)アイエヌビーを訪ねました。
迎えてくれたのは、『なんでもやってくれる』という、有限会社アイエヌビーの因幡嘉仁専務(40歳)。
因幡さんのお仕事は、金属を削り、いろんなカタチの部品を作ること。
例えばこちら、某大手金属メーカーに依頼された、試作品。

因幡さん:これは空気の通り道を作ってるんですけど、この穴はここには繋がってるけど、ここには繋がってないとか。こういのは他の工場では嫌がられるかもしれないですね。

因幡さんがそう語る試作品。
一見、穴のあいた金属のかたまりにしか見えませんが、実は一つ一つの穴が、複雑にからみあっていて、中は迷路状態なのだという!

あまりの複雑さに、大手メーカーでも作ることができず、因幡さんの所に持ち込まれたらしい。
設計図通りにデータを入力すれば 簡単にできそうですが、扱う金属の種類や削る形など、 依頼によって微妙に違うため、なかなかデータどおりにいかない。
この製品の場合、何でも作っちゃう因幡さんをもってしても、2日間徹夜してやっとだったとか。

因幡さんが作るのは、全国の名だたる大手メーカーのものばかり。
大手メーカーが依頼してくるものの多くは、新製品の試作品。
ちょっとでも難しい加工があれば、『因幡さんにお願いしよう!』ってことで、持ち込んでくるそう。
もちろん、大手だけではなく、自転車の修理を手伝ったり、ゴルフクラブの修理を手伝ったりと、因幡さんはどんな仕事も拒みません!
お向かいにある、バイク屋さんのお仕事だって断らない!
実際に向かいの自転車屋さんにお話を伺ってみると…

自転車屋さん:ボルトやネジを締め過ぎたりした時、因幡さんにお願いします。技術的な面を持っているからだいぶ助かってます。

因幡さん:なんというか、なんでもやりますね!

穴あけの正確さがスゴイ!藤田健一さん

続いては、『なんでもやってくれる』因幡さんが、『自分よりスゴイ!』と紹介してくれたスゴイ人!
スタッフがやって来たのは、大田区西六郷の「ふじさん」という会社。
迎えてくれたのは、「ジググラインダー」という機械を扱うスゴイ人、有限会社ふじさんの藤田健一社長(47歳)!
藤田さんのお仕事は、金属に穴を正確に開けること。
どれくらいスゴイのか、さっそくやって頂きましょう!
円盤に開いた直径46.90mmの穴に、少し大きい直径46.93mmの鉄柱が、「ピタッ」と入るよう、広げて頂きます。

それに使うのが…「ジググラインダー研磨機」!通称「ジグケン」。

こちらの機械は、穴の内側を少しずつこすることで、"径"を少しずつ大きくしてくというシンプルなもの。

聞こえてくるのは、機械音だけ。
藤田さんは、じっとその音に聞き入っている様子。
実は、この『聞く』ところに 藤田さんのスゴさが!
どんなところを聞いているのか、藤田さんに伺ってみました。

藤田さん:シャーって音がだんだん小さくなるんですよ。

シャーという音だけで仕上がりを判断しているそうですが、肝心の音はさっきから全然変わりません。

藤田さん:これでいいと思います。

音の変化なんて、全然わかりませんでしたが、藤田さんは作業をストップ。
本当に46.93mmの鉄柱がぴったり入るようになったのか?
穴の直径を測ってみると…なんと46.94mm!
鉄柱の直径よりも0.01mmだけ大きい!

この穴に、鉄柱を慎重に入れると…入った! 

隙間なく!!ぴったり!
確かめるため水を入れてみても…

漏れません!ほんとにぴったり!

スタッフ:素人だと、あの音はわからないですよね?
藤田さん:多分わからないと思います。十何年か過ぎた頃から、音の違いが分かるようになってきます。

これぞ、大田区が、いや、日本が誇る『穴職人』だ!
そんなジグケン使いの藤田さんにも、『自分よりスゴイ人』を紹介してもらいます。

藤田さん:旋盤加工で、かなり熟練工の方なんですけど、あの人は間違いなくスゴイ人です。

金属削りがスゴイ!岩井仁さん

藤田さんが教えてくれたスゴイ人を訪ね、やってきたのは、南蒲田のとある住宅街。
たどり着いた先には、年期の入った一軒の古い建物が。

本当にこんなところにスゴイ人がいるのか?
中に入ってみると、藤田さんが言っていた旋盤加工でスゴイ人、岩井製作所の岩井仁社長(74歳)が迎えてくれました!
さっそくお話を伺いました。

スタッフ:この仕事をして何年くらいですか?
岩井さん:もう40年くらい。

岩井さんのお仕事は旋盤という機械で、加工したい金属の柱をグルグル回転させながら、刃で削っていくというもの。
岩井さんは、削る金属の太さを手の感覚だけで、ぴったりと合わせられるっていうからスゴイ!
どういうことかというと…
例えば、現在、直径51.19mmの鉄柱を0.19mmだけ削って、ぴったり51.00mmにするのだという。
ハンドルを少しずつ動かして刃のあたり具合を調整し、位置の確認をしたら、一気に削ります。 

すぐに作業終了。鉄柱の直径を測ってみると、ぴったり51.00mm!お見事!
岩井さんが、この技術を生かして主に作っているのが、「シリンダー」という部品。

シリンダーは、ピストン運動をするため、擦れ擦れの隙間を作るのがポイント。

その隙間 なんと0.05mm! 
でも、なんで岩井さんじゃなきゃダメなのか?
材料屋さんに伺ってみました。

材料屋さん:自動機じゃできないものがあるんです。そういうのはなんでもお手の物ですね!岩井さんは!

というのも、自動機械で作るのは大量生産向けで、それで出来るのは 同じ形のモノばかり。
岩井さんが作るのは、特注品や試作品などの一点もの。
少量で難しいモノを正確にちゃちゃっと作っちゃうんです!
実は、新幹線で使われる横揺れ制御シリンダーを作ったのも、瀬戸大橋のケーブル部分のシリンダーを作ったのも、岩井さん!
どれも数千万円はするそう!
そんな日本の旋盤加工業界の人間国宝とも言える岩井さんに、『自分よりスゴイと思う人』なんているのでしょうか…?

岩井さん:あいつは上手いよ!ってのはいるよ。業種は違うんだけど、細い穴を専門に開けてる人がいる。

小さな穴あけがスゴイ!高橋健太さん

続いてやってきたのは東六郷の信栄テクノ。
迎えてくれたのは、旋盤加工のプロ!岩井師匠が教えてくれたスゴイ人、信栄テクノの高橋健太常務(33歳)。若い!
高橋さんは、とにかく小さい穴を開けるプロなんだそう。
さっそくその技術を見せてもらいました。

高橋さん:このシャーペンの芯の先に穴が開いてます。

直径0.5mmのシャーペンの芯の側面に穴を開けたのだそう。
芯の側面を拡大してみると…

なんと、一つ一つの穴で会社名になっています!

高橋さん:こちらの一つ一つの穴の直径は、30μ。0.03mmになります。

そんな加工ができるのが「微細加工機」。

これを使って、実際はどんな作業をしているのか、高橋さんに伺いました。
しかし…

高橋さん:セッティングをするところは、ノウハウもありますので、勘弁して下さい。

残念ながら、材料のセッティングの様子、さらには、穴あけの様子は撮影NG!
では、小さな穴が、何に使われているのか伺いました。

高橋さん:半導体などに使われているチップを吸って搬送するためのノズルになるんです。

そう、薄型テレビなどの半導体は薄くて小さいため、手では掴めない!
だから、高橋さんが作る小さな穴で吸って、所定の位置まで運ぶのです。

ということで、小さな穴のスペシャリストにも『自分よりスゴイ人』を紹介してもらいました。

高橋さん:うちの加工は機械を使っているのですが、素手で細かい文字を彫っちゃう人がいます。

小さな文字作りがスゴイ!赤塚正和さん

やってきたのは、大田区下丸子の住宅街にある赤塚刻印製作所。
迎えてくれたのは、素手で小さな文字を彫っちゃう、赤塚刻印製作所の赤塚正和代表(60歳)!
赤塚さんのお仕事は、刻印の製作。
刻印とは、金属でできたハンコを「ガチャン!」とプレスすることで、本物であることを証明する、まさにブランドの印鑑!

時計やバックの金具に、打ちこまれたロゴや文字が入ってますよね?
あれが「刻印」。
大田区が誇る刻印師・赤塚さんの取引先は、ポール・スミスやオメガなど、国内外の有名どころばかり。
多くのブランドが赤塚さんにお願いする理由。
それは、誰よりも精密な刻印を作れるから!
では、その作業工程を見せて頂きましょう。
最初にやるのは、彫刻機という機械を使った、「荒彫り」という作業。
赤塚さんの右側にあるのが、刻印となる文字やマークが拡大された「原版」。

「原版」の文字は、ちょこっとだけ浮き出ており、それをペン先のようなものでなぞっていくと、彫刻機で縮小されて文字が刻まれるというわけ。

でも、赤塚さん、原版を全く見ていません。

赤塚さん:拡大鏡を覗いていると、拡大しちゃってね、全体が見えないんだよね。

キレイに彫るコツは、頭の中に文字やマークのカタチをイメージし、どこをなぞっているかを感じながら彫ることなんだそう。
ここまで細かく彫っても、まだ「荒彫り」。
大事な最終仕上げは、機械では彫りきれなかった細かい部分を、「タガネ」という工具でそぎ落としていきます。

彫刻機では、このあたりがどうしても取り除けない!

だから、細かいデザイン性を求める会社ほど、赤塚さんに手掘り刻印をお願いするんだとか。
これまでに手掛けた刻印の数は、なんと1万点以上!

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